田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『女と男の観覧車』

2018-05-13 06:55:46 | 新作映画を見てみた
いつも同じ場所を回るだけの人生か



 82歳のウディ・アレン監督の新作。セクハラだ何だと騒がれながらも、その枯れない創作欲には頭が下がる。

 舞台は1950年代のニューヨーク、コニー・アイランド。ウエイトレスのジニー(ケイト・ウィンスレット)は、夫(ジム・ベルーシ)と、自身の連れ子と暮らしていたが、海水浴場でライフガードのアルバイトをする大学生のミッキー(ジャスティン・ティンバーレイク)と浮気をする。元女優のジニーは平凡な毎日に失望し、ミッキーとの未来を夢見るが、そこに夫の娘キャロライナ(ジュノー・テンプル)が現れて…。

 原題の「Wonder Wheel」はコニー・アイランドの観覧車の名前。眺めはいいが、いつも同じ場所を回転しているだけで、決して別の場所に行くことはできない、という意味で象徴的なものとして映る。

 ウィンスレットは熱演しているが、「ここではないどこかに、もっといい人生が待っているはず」と思い込み、自分勝手な行動を取るジニーに、感情移入ができるか否かが、この映画の評価の分かれ目になるだろう。

 狂言回し的な役割を果たすミッキーのキャラクターの造形にアレンらしさが感じられる。ベルーシとの久しぶりの再会もうれしかった。

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