『ビバリーヒルズ・コップ』(84)(1988.5.8.日曜洋画劇場)
ロサンゼルスの高級住宅街ビバリーヒルズへ単身出向くことになった、デトロイトの刑事アクセル・フォーリー(エディ・マーフィ)の活躍を描く。
この映画でマーフィが演じた刑事役は、先駆者シドニー・ポワチエが演じた役柄とは明らかに違う。また、『黒いジャガー』(71)のリチャード・ラウンドトゥリーに代表される、ひと昔前の黒人ヒーローとも違う。
それは、過去のそうした黒人を主役にした映画には、黒人に対する無理解や物珍しさ、あるいは異端視する傾向があったことが、残念ながら否めないからだ。
だが、やっと黒人が白人にも素直に受け入れられるような主役を演じられる時代がきたのだ。マーフィは今や、最も注目を集めるスターの一人だし、映画界、音楽界、スポーツ界といった、あらゆるジャンルが、黒人たちの存在を抜きにしては語れない。
確かに、いまだに人種差別は歴然と存在する。だが、これらがほんの一例だとしても、時代はいい方向に向かって歩み始めていると思いたい。
前置きが長くなったが、この映画の面白さは、ニューヨーク、シカゴ、ボストン、そして舞台となったデトロイトといった、アメリカの犯罪多発都市に比べると、ロサンゼルスのビバリーヒルズか、いかにも平和そうなのん気な街に見えてくるという対照の妙であり、改めて、アメリカという国の巨大さを感じさせられるところだろう。
そうした街の対比に加えて、デトロイトとビバリーヒルズの警官の対比も見せることで、マーフィの持ち味である柄の悪さや下品さに感化されていく警官たちの姿が笑いを誘うことに成功し、肩の凝らないアクションコメディとして楽しませてくれたのである。
グレン・フライが…
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