筆者は小規模の自作農の出身で、ここ住宅型有料老人ホームでお世話になっていていても、農作業のことをよく思い出します。
今の時期は田の畔草刈に追われていました。今丁寧に刈っておかないと田植えが終わった頃雑草が伸びて稲を押し倒し著しく収穫減を招きます。
昔は軍手をはめカマで丁寧に刈りました。蛇は逃げていくから怖くありませんが、ムカデはじーっと動かなくなり自分の体に触れられると反射的に咬みつきます。
そうすると全治するのに2週間、夜温まるとズイズイと痛み眠れません。
最近は50CCのエンジンが付いた草刈り機で刈っているようですが、機械で刈った後は刈った草があちこちに飛び散り見た目が実に汚い。
手で刈っていた頃は刈った草はキチンと揃えて置かれ、夕方よく枯れたころ竹ぼうきで掃き集めて火を点けて燃やし灰も掃いて田に落とし歩道は綺麗にしておりました。
日本の百姓は「よそ様に迷惑を掛けない」が道徳の大原則で仕事の仕上がりが綺麗でした。ところがエンジン付き草刈り機で刈るようになってからは、刈った草があちこちに飛び散り簡易舗装の車道に草が乱雑に飛び散り実に汚いのに箒で掃いたりしなくなりました。
江戸時代から培われた百姓の美意識がアメリカから入ってきた近代化によって見事に荒らされた感じがします。
敗戦ももう少し誇りを持って処理したかったと悔やまれます。(T)
田おこし