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2018/8/30、109シネマズ木場。
3番スクリーン。いい席のK列を選択。
いつもは、鑑賞後、数日で感想を書き上げるのだが、
今回ばかりは1週間以上かかった。
映画自体は面白かったが、もやもやが残ったせいでもある。
*
木村拓哉、二宮和也、吉高由里子、松重豊、平岳大、大倉孝二、酒匂芳、八嶋智人、山崎努。
*
ベテラン検察官、最上毅(木村拓哉)による新任研修を受ける中に沖野啓一郎(二宮和也)がいた。
4年後、沖野は最上のいる東京地検刑事部に配属になり、最上の配下で検察官として働くことになった。
同室の検察事務官は橘沙穂(吉高由里子)
最上は正義感に燃える辣腕検事で趣味はガベル(木槌)の収集。
バツイチ子持ちの女性と結婚し家では嫌がられるため、検事室に保管しているような人物。
*
鎌田で老夫婦殺人事件が発生。
被害者は包丁で滅多刺しにされ、折れた刃が夫人の背に突き刺さったままの状態だった。
捜査本部が立てられ、被害者から借金をしていた者のリストが作られる。
その中に「松倉重生」の名前を見た最上は色めき立つ。
時効廃止になる前に時効を迎えた殺人事件の被害者は最上がまだ学生だった頃の寮の娘だった。
松倉はその重要参考人でありながら証拠不十分で起訴されなかった。
最上は松倉(酒向芳)に狙いを定め、捜査を誘導していく。
最上と同級生の国会議員丹野(平岳大)に収賄嫌疑で特捜部の捜査の手が迫っていた。
最上は丹野とひそかに会い、助言を与えるようなことをしていた。
老夫婦殺しの参考人の一人に闇ブローカーの諏訪部(松重豊)がいた。
諏訪部は祖父が第2次大戦のインパール作戦のいきさつから最上の祖父に畏敬の念を抱いていた。
最上は諏訪部に松倉を探らせ、バイト先で横領していることを知り、別件逮捕する。
最上はなんとしても松倉を犯人に仕立て上げ罪を償わせようとしていく。
沖野は疑問を感じつつも最上についていくが、新たな容疑者、弓岡嗣郎(大倉孝二)が浮上する。
果たして最上の計画はうまくいくのか。
沖野はどうするのか。
そして、橘の思惑とは。
*
二人の熱演は認める。
物語の展開も面白く、サスペンスとして十分な見ごたえはあった。
しかし、「検察側の罪人」の最も根幹の部分で疑念があった。
*
元検察官の方が原作に取材協力しておられるそうだから、基本的な部分での間違いは
ないと思われるが、気になった点はいくつかある。
事件発生まもなく、検察官が事件現場で警察と一緒になって捜査をするものなのか。
捜査が難航していたり、未解決事案では特別刑事部(東京地検にはない)が
捜査指揮することもあるらしいが。
特捜部が警察を経ないで、捜査することがあるのは知っている。
しかし、その場合も警察に捜査の協力を求めることはあっても、
警察の捜査に検察が首を突っ込むのとは違う気がする。
それに通常の殺人事件を特捜部が捜査するとも思えない。
まずは警察が捜査して、被疑者を逮捕し、検察に送致(送検)してから検察の捜査なり
取り調べが行われると思っていたから、まだ被疑者が特定もされない段階で検察が動くのは
奇異に感じた。(被疑者不詳、または不明での送致はありそうだが)
検事が捜査会議に出ているのも不思議と言えば不思議。
また、別件だろうが何だろうが、逮捕送検され、検察での取り調べの最中に
所轄に戻して取り調べするなんてことがあるのか。
殺人事件であっても「捜査本部が立つような場合、初動時から検察が捜査に加わる」と
書いてある記事もあった。
実務を知らないで言っているので実際はそうなのかもしれないが、
初期段階から検察が警察と一緒に捜査して、送検後に予断をもってしまわないのか。
Wikiによれば、検察からの警察への指示/指揮については次のようなものがある。
どれも該当するとは思えない。
・一般的指示(公訴の遂行を全うするため)
個々の事件捜査を直接指示することがないよう国会で付帯決議がなされている。
・一般的指揮(捜査の協力を求めるため)
複数の捜査機関が捜査する場合の調整
・具体的指揮(補助命令、検察官の独自捜査を補助)
警察官でなければ実施が難しい捜査を補助
*
最上の言う「殺しは依頼しない」が信条だとしても、片岡は逮捕、起訴しつつ、
松倉は制裁するという手立てはなかったのか。
証拠をでっち上げるにしても不用意すぎる。
また、いくら、片岡が口が軽い、あるいは犯罪自慢だとしても、初対面の最上に
そうそうべらべらと喋るものか。
検察官は嘘かもしれない(身分証は偽造)。「逃がしてやる」のも嘘かもしれない。
いくら「お前が犯人だと困るんだよ」と言われてもあっさり信用できるとは思えないし、
安全とは思えない。
片岡は千鳥にも狙われていたのだから、千鳥に始末させてもよかった。
千鳥の部下に「自白したぞ」と言って渡せば済む話だ。
そこまでしなくても、弓岡を逮捕起訴し、刑に服させても構わない。
最上の目的は松倉に対する制裁であって、弓岡は単にその障害でしかない。
この障害を排除する必要はなく、制裁に至る別のルートを見つければよい。
とはいえ、まっとうな検事であったはずの人物が、ここまでやるものなのか。
実は最上は今まで数多くの冤罪事件を演出し、あるいは過剰な刑を科す
悪魔のような存在であり、一部では問題視されていたため、
橘がそれを暴こうとしていたのであればまだ辻褄が合う。
*
小説では結末が大きく違うらしい。
松倉の裁判中に弓岡の死体が発見され、最上の犯行はばれるらしい。
一方で松倉は釈放され生き延びるが、ろくでなしであることには変わりない。
しかしながら、そもそも映画のようなモンスターではないらしい。
沖野は最上の面会に行き、最上は最後まで検事だったと感じ慟哭する、といった具合。
理不尽だ。
3番スクリーン。いい席のK列を選択。
いつもは、鑑賞後、数日で感想を書き上げるのだが、
今回ばかりは1週間以上かかった。
映画自体は面白かったが、もやもやが残ったせいでもある。
*
木村拓哉、二宮和也、吉高由里子、松重豊、平岳大、大倉孝二、酒匂芳、八嶋智人、山崎努。
*
ベテラン検察官、最上毅(木村拓哉)による新任研修を受ける中に沖野啓一郎(二宮和也)がいた。
4年後、沖野は最上のいる東京地検刑事部に配属になり、最上の配下で検察官として働くことになった。
同室の検察事務官は橘沙穂(吉高由里子)
最上は正義感に燃える辣腕検事で趣味はガベル(木槌)の収集。
バツイチ子持ちの女性と結婚し家では嫌がられるため、検事室に保管しているような人物。
*
鎌田で老夫婦殺人事件が発生。
被害者は包丁で滅多刺しにされ、折れた刃が夫人の背に突き刺さったままの状態だった。
捜査本部が立てられ、被害者から借金をしていた者のリストが作られる。
その中に「松倉重生」の名前を見た最上は色めき立つ。
時効廃止になる前に時効を迎えた殺人事件の被害者は最上がまだ学生だった頃の寮の娘だった。
松倉はその重要参考人でありながら証拠不十分で起訴されなかった。
最上は松倉(酒向芳)に狙いを定め、捜査を誘導していく。
最上と同級生の国会議員丹野(平岳大)に収賄嫌疑で特捜部の捜査の手が迫っていた。
最上は丹野とひそかに会い、助言を与えるようなことをしていた。
老夫婦殺しの参考人の一人に闇ブローカーの諏訪部(松重豊)がいた。
諏訪部は祖父が第2次大戦のインパール作戦のいきさつから最上の祖父に畏敬の念を抱いていた。
最上は諏訪部に松倉を探らせ、バイト先で横領していることを知り、別件逮捕する。
最上はなんとしても松倉を犯人に仕立て上げ罪を償わせようとしていく。
沖野は疑問を感じつつも最上についていくが、新たな容疑者、弓岡嗣郎(大倉孝二)が浮上する。
果たして最上の計画はうまくいくのか。
沖野はどうするのか。
そして、橘の思惑とは。
*
二人の熱演は認める。
物語の展開も面白く、サスペンスとして十分な見ごたえはあった。
しかし、「検察側の罪人」の最も根幹の部分で疑念があった。
*
元検察官の方が原作に取材協力しておられるそうだから、基本的な部分での間違いは
ないと思われるが、気になった点はいくつかある。
事件発生まもなく、検察官が事件現場で警察と一緒になって捜査をするものなのか。
捜査が難航していたり、未解決事案では特別刑事部(東京地検にはない)が
捜査指揮することもあるらしいが。
特捜部が警察を経ないで、捜査することがあるのは知っている。
しかし、その場合も警察に捜査の協力を求めることはあっても、
警察の捜査に検察が首を突っ込むのとは違う気がする。
それに通常の殺人事件を特捜部が捜査するとも思えない。
まずは警察が捜査して、被疑者を逮捕し、検察に送致(送検)してから検察の捜査なり
取り調べが行われると思っていたから、まだ被疑者が特定もされない段階で検察が動くのは
奇異に感じた。(被疑者不詳、または不明での送致はありそうだが)
検事が捜査会議に出ているのも不思議と言えば不思議。
また、別件だろうが何だろうが、逮捕送検され、検察での取り調べの最中に
所轄に戻して取り調べするなんてことがあるのか。
殺人事件であっても「捜査本部が立つような場合、初動時から検察が捜査に加わる」と
書いてある記事もあった。
実務を知らないで言っているので実際はそうなのかもしれないが、
初期段階から検察が警察と一緒に捜査して、送検後に予断をもってしまわないのか。
Wikiによれば、検察からの警察への指示/指揮については次のようなものがある。
どれも該当するとは思えない。
・一般的指示(公訴の遂行を全うするため)
個々の事件捜査を直接指示することがないよう国会で付帯決議がなされている。
・一般的指揮(捜査の協力を求めるため)
複数の捜査機関が捜査する場合の調整
・具体的指揮(補助命令、検察官の独自捜査を補助)
警察官でなければ実施が難しい捜査を補助
*
最上の言う「殺しは依頼しない」が信条だとしても、片岡は逮捕、起訴しつつ、
松倉は制裁するという手立てはなかったのか。
証拠をでっち上げるにしても不用意すぎる。
また、いくら、片岡が口が軽い、あるいは犯罪自慢だとしても、初対面の最上に
そうそうべらべらと喋るものか。
検察官は嘘かもしれない(身分証は偽造)。「逃がしてやる」のも嘘かもしれない。
いくら「お前が犯人だと困るんだよ」と言われてもあっさり信用できるとは思えないし、
安全とは思えない。
片岡は千鳥にも狙われていたのだから、千鳥に始末させてもよかった。
千鳥の部下に「自白したぞ」と言って渡せば済む話だ。
そこまでしなくても、弓岡を逮捕起訴し、刑に服させても構わない。
最上の目的は松倉に対する制裁であって、弓岡は単にその障害でしかない。
この障害を排除する必要はなく、制裁に至る別のルートを見つければよい。
とはいえ、まっとうな検事であったはずの人物が、ここまでやるものなのか。
実は最上は今まで数多くの冤罪事件を演出し、あるいは過剰な刑を科す
悪魔のような存在であり、一部では問題視されていたため、
橘がそれを暴こうとしていたのであればまだ辻褄が合う。
*
小説では結末が大きく違うらしい。
松倉の裁判中に弓岡の死体が発見され、最上の犯行はばれるらしい。
一方で松倉は釈放され生き延びるが、ろくでなしであることには変わりない。
しかしながら、そもそも映画のようなモンスターではないらしい。
沖野は最上の面会に行き、最上は最後まで検事だったと感じ慟哭する、といった具合。
理不尽だ。
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