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デジタル化して捨てる

2021-07-31 19:36:14 | IT
世の中、断捨離がブームになっているからと言うわけでもないだろうが、ある「プロ仕事家」が
紙の資料はバッサリ捨てるべきとアドバイスしているらしい。

紙の資料は一切要らないと言っているのではなく、「紙の資料とデジタル資料が混在」していると
混乱のもとであり、そういう場合は紙の資料は捨てろと言っている。

もちろん、何でもかんでも捨てろと言っているわけではなく「捨てる基準」が必要だそうだ。

それには3つのキーワードがあるという。

・再利用性
  その資料をもう一度使うかどうか。使わないなら捨てる。

・再入手性
  必要になった場合もう一度入手できるかどうか。入手できるなら捨てる。

・入手価値
  そもそも保管価値のある資料かどうか。価値の低い物は捨てる。
  (入手価値と言うより保管価値、保存価値、資料の価値そのもの)

これらの基準に照らし合わせて、合わない物は捨て、残ったものをデジタル化して保管すればいいとのこと。

また、再入手性については、「ネットや社内サーバーから入手し印刷した紙資料をデジタル化するのは
情報の重複化を招くので、使うたびに入手すればいい」と言っている。

しかし、これらには大いに疑義がある。
以下、私見を述べる。

まず「再利用性」

資料を作り利用したときにはこんなの二度と使わねえだろうな、と思うことはよくある。
しかし、後になって「ほら、あの時あれ作ったよね。あれ使えばいいんじゃない」となることも山ほどある。
みんなが、捨てちゃった、どこにあるかわかんない、いまさら言うな、となったときに「取ってありますよ」の
一言程ありがたいことはしばしば。
また作ればいいけれど、0から作るのとあれを利用してアレンジしよう、と言うのでは労力もできも桁違い。
そもそも、また使うかどうかわからないからみんな心配で残しておくので重複して残す必要はないけど、
取っておくことはかなり重要。デジタルデータがどこにあるかがはっきりわかることが肝要。
原本に当たれることが大事なこともある。
政府や官公庁が「資料捨てちゃった」でよく怒られているじゃないか。

続いて「再入手性」

再利用はまずしないだろうな、と思っても必要になることはある。
その時元の資料がどこにあるかはっきりしていて、簡単に入手できるなら置いておく必要はない。
それはその通りで大いに同意する。

社内資料ならどこかの部署が後生大事に取っておいてくれるだろうし、アーカイブがあるかもしれない。
しかし、問題はネット情報。
記事では「使うたびに入手すればいい」と言っているがこれが疑問。

確かにどうでもいいデータや資料も何年もネットに残っていることはよくある。
しかし、二度と手に入らないことも多い。
前回の入手手段をはっきり覚えていて、その通り辿っていっても一向にたどり着けないことは普通のこと。
前回と何が違うのかわからない。
手順が違うのか、それとも・・・・・
もっとも大きい違いは前回と今会の時間差。
確かに前回はその入手手段で手に入ったものだとしても、今回までの間に新たにネット上に追加された
類似情報がそれこそ五万とあれば、容易にたどり着けなくなることはよくある。
URLが変わっていることもしばしばなので、仮にブクマしていても見つからないことはよくある。
さらにシビアな情報程削除されている可能性が高い。
ネット上のデータに「絶対に」再入手できる保証などないのだ。

せっかく見つけても、コピペなどで再利用できない形で保存されていることもよくあり、結局一から書き起こし。
元のデータがあるだけましと言えばましだが、表などは計算式が無くなぜそうなるのかわからないことも。

最後に「入手価値」

入手する価値があるか? かと思ったら、保管価値があるか、だった。
その時点でこりゃ要らねえなと思える資料でも後々必要になることはよくあるわけで、先々の必要性など
見通せるはずがない。
断捨離と同じでむやみに捨てて後々後悔する羽目にならないよう、「価値」についてはよく考える必要がある。
もちろん資料の価値が正確に判断できるのであればそれでいいが。



少し話はそれるが、「武士の家計簿」という本をご存じか。
歴史研究家でもある磯田道史の著書で映画化もされた。

江戸末期の加賀藩の御算用者が自身の家の家計を丁寧に綴った文書から、当時の武家の台所事情、ひいては
当時の経済状況などをあぶりだしている。
これを古い家計簿か、要らねえな、となれば当時の世相、武家の懐事情などはうかがい知ることができない。

同じ磯田道史の著書「無私の日本人」に出てくる穀田屋十三郎の物語は「殿!利息でござる」として映画化された。

歴史研究家でもある山本博文の著書には「「忠臣蔵」の決算書」があり、「決算!忠臣蔵」として映画化されている。
吉良家への討ち入りにどれだけ金がかかったのか、どうやって工面し、どう使ったのか。
低予算と言うか金のない中でどう工夫したのかを解き明かしている。

映画化されたことがすごいことだと言うわけではない。
古い文献、古い資料、ただすらすらっと読んでいけば大したことが書いてないようなものでも、
そこから読み解かれる事実にはそれまでの歴史の定説をひっくり返すようなものが含まれていたり、
逆に定説をしっかりと裏打ちするようなものであったりすることもある。

歴史的文書、古文書などと、日常仕事で使う資料を一緒にするわけではないが、思わぬところに
当初意図していなかった事実が隠れていることもあると言うお話です。
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