
2009/7/13、なかのZEROホール、
定員は1200席強で1階席はほぼ満杯とまずまずの入り。
「ホチキスしていないのありませんか」は今日も空振り。
**
スパイク・リー監督の戦争映画。
**
1983年12月、ニューヨークの郵便局。
窓口の黒人男性は、切手を買いにきた客の男性をにらみつけると、
次の瞬間、ルガーを取り出し、その客を射殺した。
窓口の男、ヘクター・ネグロン(ラズ・アロンソ)は逮捕され、
ヘクターの家宅捜索で発見されたものは、大理石の彫像の頭。
それは第2次大戦中にナチによる橋の爆破で崩壊し、
行方不明になっていたプリマベーラ(春)の頭部だった。
それはスクープとして新聞に載り、イタリアでも英字新聞に載った。
たまたまカフェテラスの紳士がその記事を読み驚いてコーヒーをこぼした。
記者はヘクターとの面会で殺害の理由を聞くが、ヘクターは答えず、
「眠る男」を知っているとつぶやくのみ。
*
舞台は第2次大戦末期の1944年、イタリア戦線。
トスカーナ地方でナチを追撃する黒人兵のみで構成されるバッファロー部隊(第92歩兵師団)は、
セルチオ川に進行中だった。
突然、ドイツ軍の銃撃が始まり、中隊のほとんどはやられる。
かろうじて対岸にたどりついたのは、3等軍曹のスタンプス(デレク・ルーク)、
3等軍曹のビショップ(マイケル・アーリー)、
通信士で伍長のヘクター(ラス・アロンソ)、
上等兵のトレイン(オマール・ベンソン・ミラー)4人だけ。
最も下のトレインは図体がでかく、信心深いがちょっと頭が弱い。
ビショップとトレインは先へ進み、小屋を発見。
トレインは男の子アンジェロ(マッテオ・シャボルディ)を見つけて助ける。
4人に子供を加えた5人は帰還せず先へ進む。
ナチの軍勢が食料を強奪し去ったばかりの村に4人は子供を連れて転がり込んだ。
イタリア語が話せるのはヘクターだけ。
村で英語が話せるのはレナータ(バレンティナ・セルビ)だけ。
アンジェロはトレインをチョコレートの巨人(ギガンテ・ディ・ショコラーテ)と呼び、
みんなには見えない「アルトゥーロ」と会話しながら、
トレインたちにとっての小さい奇跡を起こす。
無線で救援を要請したスタンプス一行は、ドイツ兵を捕虜にしろとの命令を受ける。
村出身で「蝶」と呼ばれるパルチザンのペッピ(ピエールフランチェスコ・ファビーノ)は、
森で一人はぐれたドイツ兵(=これがその脱走兵)を確保し、村へ戻ってきた。
アンジェロは怯え、危険をトレインに伝える。
はたしてアンジェロは何を見つけたのか。
4人は、そしてアンジェロは無事に脱出帰還できるのだろうか。
***
イタリアでは超有名1944年8月12日の「サンタンナ・ディ・スタッツェーマの大虐殺」
(=「サンタンナの虐殺」、サンタンナ=セントアンナ)も重要な意味を持っている。
複雑な相関関係の中で物語が展開する。
主人公である4人の黒人兵だけに識別眼を集中すると、
ドイツ兵の違いがわからなくなる。
鑑賞時はなぜ最後の方でドイツ兵がさっさと撤退したのかよくわからなかったが、
良く考えると脚本上はちゃんと筋が通っていた。
*
当たり前といえば当たり前だが、アメリカ兵は英語で、
ドイツ兵はドイツ語だし、イタリア人はイタリア語。
時々バイリンガルな人もいて、リアリティは増す。
ナチ=悪、アメリカ=善といった単純な構図ではなく、
ドイツ兵もイタリア人もアメリカ軍も末端は同じように苦しみ、
100%善も100%悪もなく、やなやつはどこにでもいるし、いい人もいる。
本国アメリカでは(当時は)当たり前だった黒人差別も、イタリアにはなく、
「自由の国から外国へ来て、本当の自由を感じる」との皮肉なセリフもある
「奇跡」は、ああこれが奇跡だったんだ、と
最後の最後にわかるようになっている。
定員は1200席強で1階席はほぼ満杯とまずまずの入り。
「ホチキスしていないのありませんか」は今日も空振り。
**
スパイク・リー監督の戦争映画。
**
1983年12月、ニューヨークの郵便局。
窓口の黒人男性は、切手を買いにきた客の男性をにらみつけると、
次の瞬間、ルガーを取り出し、その客を射殺した。
窓口の男、ヘクター・ネグロン(ラズ・アロンソ)は逮捕され、
ヘクターの家宅捜索で発見されたものは、大理石の彫像の頭。
それは第2次大戦中にナチによる橋の爆破で崩壊し、
行方不明になっていたプリマベーラ(春)の頭部だった。
それはスクープとして新聞に載り、イタリアでも英字新聞に載った。
たまたまカフェテラスの紳士がその記事を読み驚いてコーヒーをこぼした。
記者はヘクターとの面会で殺害の理由を聞くが、ヘクターは答えず、
「眠る男」を知っているとつぶやくのみ。
*
舞台は第2次大戦末期の1944年、イタリア戦線。
トスカーナ地方でナチを追撃する黒人兵のみで構成されるバッファロー部隊(第92歩兵師団)は、
セルチオ川に進行中だった。
突然、ドイツ軍の銃撃が始まり、中隊のほとんどはやられる。
かろうじて対岸にたどりついたのは、3等軍曹のスタンプス(デレク・ルーク)、
3等軍曹のビショップ(マイケル・アーリー)、
通信士で伍長のヘクター(ラス・アロンソ)、
上等兵のトレイン(オマール・ベンソン・ミラー)4人だけ。
最も下のトレインは図体がでかく、信心深いがちょっと頭が弱い。
ビショップとトレインは先へ進み、小屋を発見。
トレインは男の子アンジェロ(マッテオ・シャボルディ)を見つけて助ける。
4人に子供を加えた5人は帰還せず先へ進む。
ナチの軍勢が食料を強奪し去ったばかりの村に4人は子供を連れて転がり込んだ。
イタリア語が話せるのはヘクターだけ。
村で英語が話せるのはレナータ(バレンティナ・セルビ)だけ。
アンジェロはトレインをチョコレートの巨人(ギガンテ・ディ・ショコラーテ)と呼び、
みんなには見えない「アルトゥーロ」と会話しながら、
トレインたちにとっての小さい奇跡を起こす。
無線で救援を要請したスタンプス一行は、ドイツ兵を捕虜にしろとの命令を受ける。
村出身で「蝶」と呼ばれるパルチザンのペッピ(ピエールフランチェスコ・ファビーノ)は、
森で一人はぐれたドイツ兵(=これがその脱走兵)を確保し、村へ戻ってきた。
アンジェロは怯え、危険をトレインに伝える。
はたしてアンジェロは何を見つけたのか。
4人は、そしてアンジェロは無事に脱出帰還できるのだろうか。
***
イタリアでは超有名1944年8月12日の「サンタンナ・ディ・スタッツェーマの大虐殺」
(=「サンタンナの虐殺」、サンタンナ=セントアンナ)も重要な意味を持っている。
複雑な相関関係の中で物語が展開する。
主人公である4人の黒人兵だけに識別眼を集中すると、
ドイツ兵の違いがわからなくなる。
鑑賞時はなぜ最後の方でドイツ兵がさっさと撤退したのかよくわからなかったが、
良く考えると脚本上はちゃんと筋が通っていた。
*
当たり前といえば当たり前だが、アメリカ兵は英語で、
ドイツ兵はドイツ語だし、イタリア人はイタリア語。
時々バイリンガルな人もいて、リアリティは増す。
ナチ=悪、アメリカ=善といった単純な構図ではなく、
ドイツ兵もイタリア人もアメリカ軍も末端は同じように苦しみ、
100%善も100%悪もなく、やなやつはどこにでもいるし、いい人もいる。
本国アメリカでは(当時は)当たり前だった黒人差別も、イタリアにはなく、
「自由の国から外国へ来て、本当の自由を感じる」との皮肉なセリフもある
「奇跡」は、ああこれが奇跡だったんだ、と
最後の最後にわかるようになっている。
を背けたくなりましたよ。とくに赤ちゃんのシ
ーンは…。扱っているテーマはとても重く、ス
パイク・リー監督らしくストレートに訴求してく
るんで、観終わったあとは正直どっと疲れまし
た。
サンタンナの虐殺の再現はすごかったです。
生憎、日本語のWikiがまだないので英語ですが、
http://en.wikipedia.org/wiki/Sant%27Anna_di_Stazzema
当時の指揮官の「ゲルハルト・ゾンマー」は
Wikiに出ています。
TB・コメントありがとうございました。
丁寧に教えて頂き助かりました。
ヘクターが殺されなかった理由も納得。
原作本、読まれたのでしょうか?
詳しくご存じなので驚きました。
私も最初は村を襲ったナチの位置づけがよくわからず、
将校(ルガーをくれた人)がヘクターを見逃した理由も
よくわかりませんでしたが、
あの将校が逃亡兵の探索命令を受けた人だと気付いたわけです。
イタリア語、英語、ドイツ語と言葉のディスコミュニケーションがありながら、伝わるときには伝わるというところが面白かったですね。
を乗り越えてお互いが理解し合おうとする姿、
第92歩兵師団のいきさつを考えると、
より深みが増します。
冒頭のあの方が一体どのようにストーリーに関わってくるのか?って思ってたんですが、あ~・・そうだったんだ・・と。
やはり奇跡ですね~。
そうそう、言葉はわたしもすごく良かったと思いました。
妙なイントネーションつけただけの、イタリア英語だったり、フランス英語だったり、ドイツ英語だったりする映画が多い中、ちゃんとイタリア人はイタリア語、アメリカ人は英語、ドイツ人はドイツ語を話していて、こうでなくっちゃ!って思いました。
ブラピの「ボンジョルノ」には笑いました。
あっ、この映画じゃないですよ。
アカデミーノミネートのあの映画です。
コミュニケーションの齟齬もテーマの一つでしょう。
とてもよくできてました。