田切通信

旅行に写真に究極超人あ~るに飯田線田切駅

高遠の町

2006-04-15 20:48:51 | 飯田線の旅
 今回の春の旅では高遠に寄った。あらためて高遠は山の中にあるのを実感した。伊那市からはバスでほんの30~40分くらいの距離なのだが、周りをぐるり山に囲まれ、川で数カ所に分断された小さな町だ。だが町中の道幅は歩道を含めて広く、また、道に面した建物はどれも古い風情の造りで、恐らく新築の際にもデザインに気をつかっているか、あるいは一定のガイドラインがあるのだろう。これは木曽路のいくつかの宿場と同じ試みでもある。
 そんな中で特に目につくのが「高遠蕎麦」ののぼりである。これもどちらかというと町並みにとけ込むように青というか紺地で、景観に気を使っているのが分かる。そもそも蕎麦は土地のやせたところの作物で、米が作れないような場所での栽培に向いている。僕も一度だけ家庭菜園で栽培したことがあるが、結構簡単に実が収穫できた。この時期はまだ花が咲くか咲かないかといった頃で、実が出来るのは夏の終わりから秋になる。花は小さな白い可憐な花だが、茎は何故か真っ赤なのだ。
 だから今時店で出ている蕎麦は、いわゆる「新蕎麦」ではないはずだ。食べ物は何に寄らず「旬の物を地元で」食べるのが旨いと言われている。最近は保存や流通技術の進歩で、野菜のような物まで年がら年中同じ物が手にはいるようになっているが、やはり本来はその時期時期の旬がある。
 こう言っちゃ何だが、駅そばで食べるような安い蕎麦ならいざ知らず(と言っても、僕はこの安い駅そばが大好きなのだが)いやしくも「蕎麦屋」の看板を出すような店で、高い蕎麦を食べるのなら、時期を選ぶ方がよい。従って本当に旨いぞばを食べようと思ったら、秋にあらためて高遠に来る必要がある。