田切通信

旅行に写真に究極超人あ~るに飯田線田切駅

大井川鉄道旅行その7

2011-09-09 21:59:00 | その他
 朝の散歩を終えて宿に戻り朝食を済ませたらチェックアウトだ。これが僕らが一晩お世話になったペンション寸又峡。2階建ての落ち着いた雰囲気の建物だった。


 寸又峡温泉から、例の峠のカミナリバス(褒めてるんですよ~絶妙の運転技術)に揺られ奥泉の駅前を通過し、一挙に千頭駅前に至る。千頭駅の駅舎を正面から見る。矢印は例によって局長だ。


 ホームで待っていたのはこれ。3000系で、元は京阪電鉄のテレビカーとか言う車体らしい。大井川鉄道はこうして他社で活躍した古い車体を現役で運行している。まるで野外鉄道博物館の風情だ。僕自身は関西方面の古い電車を知らないから懐かしい感じはしないが、それでもこういった古い車体は見ても乗っても楽しい。


 車内はこんな感じで、ドアの所の座席の背板には補助席がある。


 なんと車内にジュースの自販機がある。これはちょっと嬉しい。観光鉄道ならではといったところか。でも、車内に僕ら以外の観光客はほとんど乗ってない。


 神尾駅でSLと交換。この駅の山側は信楽焼きのたぬきがいっぱい居て、たぬき村と呼ばれているらしい。やってきた蒸気機関車はC10だった。


 新金谷駅で降りた。ホームには大きな信楽のたぬき君が居た。
ここは駅の奥の駐車スペースが広く、観光バスなどが横付けで大量の観光客を吐き出していた。ほとんどの観光客は始発の金谷駅からではなく、ここ新金谷駅からSLに乗り込むのだ。


 駅構内も広く、車両基地になっている。2便目のSLが待機中だ。


 ホーム側から見た新金谷の駅舎で、金谷鉄道の本社屋も兼ねている。下見板張りの洋風建築でアーリーアメリカンスタイルだろうか。通過していくのは元近鉄の16000系。


 改札を出て、駅舎を正面側から見る。建物右下の売店スペースに名物のうなぎアイスの看板が出ているが、冷蔵庫が故障中だったか節電で停止中だったか、とにかくアイスクリームの販売をしていなかった。残念。


 駅構内で古い車両やSLを写真に取ったあと、改札を出て駅前の探検。駅前になにやら大きな建物があって「プラザ・ロコ」と看板が出ている。はて、一見パチンコ屋にしか見えないがこれは何だ?

大井川鉄道旅行その6

2011-09-07 21:52:00 | その他
 奥大井湖上駅を出て、また長島ダム駅に戻る。今度は帰りだから下り斜面だけど、それでもアプト式機関車を連結してしまうのだった。今回は僕ら以外の観光客も少ないので、連結場面を間近で見る事が出来た。


 これだけ大きさが違う。車体下の台車そのものの大きさと言うか高さが段違いなのだ。アプト式電気機関車ということなので、何の疑いもなくドイツ製(根拠は何もない)かと思っていたのだが、なんと日本製だった。行きに急勾配を上る時も、帰りに下る時も、このアプト式機関車を編成の最後尾に連結する。帰りに連結するのはブレーキを強力にかけるためだ。


 なんだか前と同じ写真??ではなく坂を下っている最中。ブレーキ、強力に活躍中。


 アプトいちしろで機関車を外し、更に一駅先の奥泉駅で降りる。ここは寸又峡温泉への玄関口になっている駅だ。駅前にあった「竪穴式トイレ」・・・この辺にある下開土(したのかいと)遺跡にちなんでこんな形になったらしい。ここからバスで峠道を越えて寸又峡温泉に至る。そこが僕らの今夜の宿だ。


 バスが来た。普通に路線バスで使う大型バスだが、これで狭い峠の山道を突っ走るのは、なかなかのテクニックだ。実際、僕らの乗ったバスがブラインドのカーブで徐行せずに突っ込んできた軽自動車と正面衝突寸前になった。このバスも普通に乗ったら料金が高いのだが、僕らの持っているフリー切符で乗れるのだ。
 寸又峡温泉は、ものすごい山奥の谷間に13軒ほどの温泉宿がある温泉地で、よく言えば鄙びた雰囲気の風情ある温泉。悪く言えば寂れて何もない場末の温泉街だ。ここには3原則があると言う事で、それは「芸者やコンパニオンは置かない、ネオンサインはつけない、山への立て看板は設置しない」で、目指しているのは「日本一清楚な温泉保養地」だ!


 13軒のうち泊まったのは「ペンション寸又峡」さすがに温泉地で、ペンションのお風呂も温泉だった。入ると肌がつるつるになる美女づくりの湯だ。だけど僕らはおっさんなので効用は未確認なのだ。

 一晩明けて、朝食前に散歩に出る。観音堂があって、お線香を買ってお祈りするのだが、置いてあったマッチがしけりまくっていて火が点かない。散々苦労してやっと線香に点火、それぞれに何かお祈りをする。


 観光案内所前の広場に、森林鉄道の機関車と客車が保存展示されていた。う~ん、この状態は保存と呼べるのか。カバーが外れて、サビだらけだ。このような重要な産業記念物が朽ち果てるままにされているのを見ると、心が痛む。


 ホース掛けとして利用されている台車。恐らくは木材を運搬する為のものだろう。こちらなど屋根もなく雨ざらしだ。


 日本一清楚な温泉保養地だけあり、実に静かな夜を過ごし、温泉を満喫し、疲れを癒した。さあ、2日目は来た道を戻り帰路に着くのだ。

大井川鉄道旅行その5

2011-09-05 21:07:00 | その他
 前回、この先に線路はない・・などと格好つけて書いたが、実は線路だけはある。
旅客輸送はこの井川駅で終点だが、その先も後1キロ弱ほど線路が続いている。おそらくは資材輸送用なのだろう。平行した道路があり、やはり1キロ弱追跡すれば、本当の線路の終端があるはずだ。この日は雨が降っているのであきらめたが、天気が良くて、かつ時間がある人は、見に行くのも面白いかもしれない。


 さて、しばらく井川で時間をつぶしたら、もと来た道を引き返す。雨の具合を見つつ、強いようならそのまま宿に向かう計画だったが、小降りになったので来た時ただ通過した奥大井湖上駅で下車する。終点で折り返しの列車だったので、ずっと一緒だった車掌さんともここでお別れだ。
 この列車で降りたのは僕ら4人だけだった。往きに来た時は、この駅で降りた乗客がとても多かった。日帰りの旅行客は、アプト式区間を満喫した後、この湖上駅で下車見学して、次の反対方向の列車で折り返して帰るのだ。そうしないと便が少ないので、時間がないのだ。終点井川まで行ったりする物好きは僕らのようにこの辺で泊まる客だけだ。


 駅名版。この駅は最近「奥大井恋錠駅」とも呼ばれている・・・って、声に出せばどちらも同じじゃん。


 前にこの駅で結婚式イベントがあり、それ以来恋愛関係にご利益がある駅として売り出しているのだ。一時の小和田駅のようだ。で、恋愛方面のコーナーがこれ。Happy Happy Bellと言う名の鐘を鳴らし、愛の鍵箱に恋錠をかけるのだ~!ハート型の恋錠は1000円で販売中だ。独身だが恋人のいない局長にはまったく縁のない事だった。


 こちらが駅の待合。小さくドアのない開放型で・・と普段なら紹介するタイプだが、この駅にはもっと大きな建物がある。


 駅から斜面にある階段を上ると、上の方になにやら大きな建物がある。ログハウスの2階建ての休憩所だ。とてもしっかりした造りで、それこそ快適な駅寝ができそうだ。ただ、熊が出る可能性が高いので、駅寝を推奨したりはしない。


 ホームとの位置関係はこんな感じ。テラスからの眺めもよく、無料の望遠鏡が備え付けてあるのもポイントが高い。しかもちゃんとしたトイレもあり、女性でも安心だ。局長は恋愛関係が気になっている様子。


 さあ次の列車が入ってきた。今夜の宿に向かうのだ


 見ての通り、走っている列車はみな同じタイプで、新しい古いの違いはあるが変化は乏しい。

大井川鉄道旅行その4

2011-09-04 21:49:00 | その他
 この週末は、台風の通過する中で、田切駅の掃除に行ってきました。その話はまた後ほど紹介するとして、大井川鉄道の旅シリーズを続けます。

 90‰の急勾配の先にある長島ダム。ダム下の右手から放水が行われているのが分かるが、そのすぐ手前につり橋が架かっている。これがその名も「しぶき橋」で、その名のとおり渡るとしぶきが激しくかかると言う事だ。つまり工事用とか保守用とかの関係者専用の橋ではなく、観光客が気軽に歩けるハイキングコースの一部なのだ。それはまた面白そうだが、今回の旅ではトロッコの車窓から見学するだけだ。


 長島ダム駅とひらんだ駅を越えると、列車は長島ダムのダム湖の上に掛かる鉄橋を渡り、奥大井湖上駅に至る。この駅は、ダムの完成によりそれまでの線路が水没するので、線路の付け替えをした時にわざわざ湖上に作られた駅で、湖の上の岬の先端に駅だけがある。つまり周りには民家もお店もない。いわば企画物として作られた秘境駅といえよう。ここはまた後でゆっくり立ち寄る予定なので、車内から見学をして通過する。


 尾盛駅に着いた。ここも周囲に民家一軒ない秘境駅だが、奥大井湖上駅と違うのは、秘境駅として作られたのではなく、結果として秘境駅になってしまったと言う正統派の秘境駅なのだ。上流の奥泉ダムと発電所の工事人の為の駅として作られ、最盛期は周辺に200人ほどが住んでいたとの事だが、工事が終わり工事人がいなくなった結果何もない秘境駅となったのだ。ここも降りる時間的余裕がなかったので車内から見学だけだったが、秘境駅マニアには人気のある駅との事だった。見たところ、写真に写っている保線用の小屋が1軒のほか、林の中に朽ち果てた廃屋が2軒あった。


 尾盛駅を出てしばらく進むと、鉄道橋で日本一の高さを誇る「関の沢鉄橋」に差し掛かる。川底から高さが約71mあるそうで、列車はこの橋の上でのろのろ運転、中央部分でついに完全停止の大サービスだ。見下ろすとこんな感じでかなり怖いです。 


 で、ついに終点井川駅に到着。金谷駅から延々と山の深部に向かい65キロに及んだ旅の終点である。実に山深い場所に鉄道があり人の営みがある事に感動する。


 僕等を運んだ車両、これだけが塗装が新しく艶々している。


 そっけない駅名板。
さて、今回のこの旅行で、同行しているみやした君が「日本の鉄道全線完乗」を成し遂げた。その瞬間の感動を、一緒に旅して共有できた事は友人として喜びである。一口に全線完乗と言うが、それを成し遂げるのは並大抵の事ではない。ためしに東京でも大阪でも、大都市圏のJRだけでいいからフリー切符で回ってみるといい。たったそれだけの範囲でさえ完乗するのが如何に困難か分かるはずだ。


 平屋の小さな駅を出るとお土産物屋が店を出していた。


 もうこの先に線路はないので、来た道を引き返すだけだ。

大井川鉄道旅行その3

2011-09-01 18:48:00 | その他
 大井川鉄道の井川線のトロッコに乗り換える。そのとおりに小さなトロッコ列車だ。
これがまた変わっていて、電気機関車は編成の最後尾に連結されている。つまり、後押しで進むのだ。


 途中駅のアプトいちしろに着いた。ここで機関車の後方に更にアプト式の機関車を連結するのだ。連結には少し時間がかかるし、特に過密ダイヤでもないから、お客さんはトロッコを降りて見学に後方に向かう。最近は若い女性の鉄が増えた・・のか、いわゆるカメラ女子が増えたのか?


 駅で待機していたアプト機関車が接近してくる。通常の車輪以外に大きな歯車が出ていて。それが線路中央に設置された歯のあるレール、ラックレールに噛み合う事により、急な勾配を滑らずに上り下りする事が出来るのだ。
このアプト式に加えて、ループトンネルとスイッチバックを、日本鉄道3大奥義と呼ぶ。


 いよいよ連結だ、観光客が集まって覗き込んでいる。黄色い矢印が局長だ。
機関車の縮尺が何か変??アプト式の機関車が手前の線路にあるように見えるが、同じ線路にあってまさに繋がる直前だ。つまり単に大きさが違うのだ。アプト式の機関車でかっ!


 アプト式は現在日本ではここだけで、観光の大きな売りになっている。機関車の手前下に線路の中央部にある歯付きレールが写っている。ラックレールは1条ではなく3条束ねたような形状なのが分かる。


 機関車の横っ腹に誇らしげに書かれた「システム アプト」のエンブレム。このアプトいちしろ駅と次の長島ダム駅の間が、日本の鉄道でもっとも急な勾配90‰(パーミル)だ。パーミルはパーセントの1/10で、日本語では千分率。つまり90‰とは1000メートル水平に進むうち、90メートル上がる(または下がる)勾配の事だ。


 車内から長島ダム方向を見る。山肌を右手の登っているあたりが90‰だ。


 歯車が噛んで上るという構造から、もっとギクシャクして、しかもガタピシうるさいのかと思っていたが、ぜんぜん違った。動きもスムーズで違和感がない。これは驚きだった。