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「ヴォイス」を見て

2009-01-12 22:56:00 | 徒然なるままに
「ヴォイス」を見た。
トレンディなラブストーリーが多い若者向けのドラマが主流の『月9』には珍しい、見ごたえのあるドラマだった。
 「生きている人間だけではなく亡くなった人の声に耳を傾ける医学があってもいいのではないか」
 死者の死因を明らかにする医学ー『法医学』
 私も人は死んだらそれまでだと思っていた。でも、主人公の加地大己(瑛太)が、
「死んだ人がどんなところで生活して、どんな道を歩いて、どんなことを考えていたか、いつ、どんな死に方をしたか、遺体は最後にそれを教えてくれている。僕はその声を聞きたい」
というようなことを言っていたのを聞いて、人は死に方というのも大切なんだと思った。。

日常何気なく聞いている事件や事故で亡くなった人の死因や、死後何日経過しているかといった情報・・・。
ニュースの影でそういう遺体と向き合って、謎を解明している人たちがいるのだということを、改めて知った。

劇中で、もと暴走族の学生が、かつて事件に巻き込まれた時、法医学のおかげで無実が証明され、刑務所行きを救われて、それをきっかけに死ぬほど勉強し、バイトをして、医学生になったというエピソードがあった。
メインのストーリーも良かったが、そのエピソードに感動してしまった。

あと、ヒロインの久保秋佳奈子(石原さとみ)がゼミの教授の佐川文彦(時任三郎)に、優秀な法医学者になるための要素は何かと問うた時、佐川が
「普通の感覚を持つこと。怒りや悲しみや、遺族の気持ちを察することができるイマジネーション。」と語ったのが印象的だった。

命の尊さや、人間の尊厳という基本的なことをこういう角度で扱ったドラマはあまりない。この作品の中で医学生たちがどう成長していくかが楽しみだ。

主役の加地大己役の瑛太君が、大河ドラマの小松帯刀役を終え、とてもいい表情で役作りに挑んでいる様子が分かる。初めての主役ということでも張り切っているのだろう。ぜひ、自身の代表作となるよう、頑張ってほしい。




『天地人』の与六の泣き顔にメロメロ~!

2009-01-12 16:42:00 | 徒然なるままに
 去年は、NHK大河ドラマ『篤姫』にハマリまくりでした~!
 宮崎あおいちゃん、好演でしたね~!!瑛太君の尚五郎さんも好きでした~!
他の役者さんたちも、それぞれナイスキャスティングで、毎週楽しませてもらいました。

 今年は『天地人』。もう、初回から涙涙・・・。与六(後の直江兼続)のかわいさ、いじらしさ、けなげさにKO!特に、意地を張っているときの下唇がムウッとなるところとか、舌っ足らずながらも一生懸命昔の言葉遣いを言うところとか、勝気な目とか・・・!娘たちと「かわいい!!」を連発しながら見ている。
 5歳で親元を離れ、国主の小姓となる修行を頑張る姿はもう、けなげで・・・。ついに意を決して雪の中を家に帰ってくるも、母が心を鬼にして追い返すシーンは、今思い出しても鼻の奥がツーンとなる。そこに、生涯の主君となる喜平次(後の上杉景勝)が迎えに来て、二人は固い絆で結ばれる。
 上杉謙信を師と仰ぎ、兜に「愛」の文字を掲げ、その波乱の生涯を通じて、民・義・故郷への愛を貫いたという直江兼続。
 来週からの主役の妻夫木聡君の演技も楽しみだ。

世界(の美術史)を変えたジャポニズム

2009-01-12 12:35:00 | 徒然なるままに
1月12日
 今日は成人式。朝から相変わらずマイペースな息子をたたき出し、式に向かわせ、私は連休最後の日、朝から授業の資料作りをしている。11;00そろそろ式が始まった頃。ちゃんと受付は済ませたかしら?

 年末に浮世絵を鑑賞させたところ、すごい反響だった。事前に『ゴッホ』(浮世絵に出会って、ゴッホは自分の黄色を発見し、それを輝かす青色の効果を知った。)をやり、その後『ジャポニズム』(パリ万博で日本美術が大ブレイク!その仕掛け人林忠正)をやったせいか、日本の美術を見直そうという意識が芽生えてきていたからだろう。
 実際に私自身、資料を作りながら、浮世絵の魅力に取り付かれつつある。特に、今回取り上げている『北斎』と『広重』はまさに、天才だ。『北斎』にいたっては1999年アメリカの雑誌「LIFE」が『この1000年間で世界に重要な影響を与えた人物100人』という企画で、日本人でただ一人ランクインした人物である。
 実際に北斎は浮世絵だけでなく、北斎漫画や肉筆画でもその才能を発揮し、そのデッサン力と着眼点はまさに天才!! 40歳年下の広重は、そういう北斎という巨匠が同時代に先を行っていたからこそ、努力し、才能以上の力を引き出せたのだと思う。広重の構図や遠近法はゴッホに影響を与えているが、その遠近法や影の効果はまた、広重が西洋絵画から学んだものである。この人は本当の秀才だと思う。
 広重の『江戸名所百景』を調べていたら、この作品はあの安政の大地震の4ヵ月後から制作が始まっている。この大地震で江戸市中では1万人以上の死傷者が出た。江戸の復興を祈り、応援し、祝う気持ち、失われつつある江戸の景観を絵に残そうという意欲が感じられる連作だと思う。
 
 その二人がいたからこそ、ゴッホやモネの傑作が生まれるのだが、その仕掛け人は林忠正。
 1900年のパリ万博に通訳として活躍する傍ら、フランス語訳の日本美術のパンフレットを出版し、『ジャポニズム』と呼ばれる日本美術ブームを巻き起こす。林忠正は、浮世絵のほかにも尾形光琳も紹介し、光琳の『紅白梅図』はクリムトに影響を与え、日本の花鳥画はエミール・ガレに影響を与える。
 
 授業では、「将来,外国に行ったり、外国の人と接する機会があった時、英語がしゃべれなくても、その国の文化や歴史や有名人や言葉を知らなくても恥ずかしいことではないけれど、日本人なのに箸の持ち方が下手だったり、『葛飾北斎』を知らないほうがよっぽど恥ずかしい。そういうことができて、認識があるということのほうが英語がペラペラな人よりよっぽど国際人だと思う。自国の文化を理解し、大切にできる人は、他国の文化も大切にできる人だ。そういう意識の人がたくさん増えてくれば、世界から戦争なんかなくなっていくと思う。」と教えた。
 そう生徒に教えておきながら、私自身、日本の美術に精通しているかというと怪しいものである。まだまだこれからが勉強である。
 
『ジャポニズム』と『浮世絵』の授業をしてよかっなたぁと思ったのは、生徒の中に祖父が浮世絵師の仕事をしているという子がいた。帰国子女の子で、幼い頃は浮世絵に興味がなく、やってみろといわれても、あまり興味が持てなかったそう・・・。でも、授業を受けた後の彼女は明らかに変わったように思う。
「お正月、おじいちゃんのところに行くの?」
と聞いたら、
「受験だから今年は行けない」
というので、
「じゃあ、春になったらうれしい報告を兼ねて会いに行けたら良いね。その前に、春休み、江戸東京博物館で、浮世絵の制作風景の再現コーナーがあるからそれ見てから行くといいよ」
と言ったら、嬉しそうに頷いていた。
 『薬師寺展』を見に行ったとき、NHKのDVD「国宝・日本の美術」全20巻を大金はたいて買った甲斐があると思った瞬間だった!
 
 昨年、江戸東京博物館で開催された『ボストン美術館展』を見に行って、ボストン美術館所蔵の之浮世絵がどれだけ保存状態が良いかつくづく感心させられた。ほとんどが初版にもかかわらず、今刷り上ったような発色と艶があった。
 原爆を作り、落とした同じ国の人が、日本の美術を愛し、守り、完璧な形で里帰りさせてくれた。また、その国のアニメーターたちが、戦時中に『ファンタジア』を作成し、1940年に公開した。私たちは戦争反対を叫ぶ前に、学ばなくてはならないことがあり、地球上から戦争をなくすために、ひとり一人ができることは何かを考えなくてはならない。
 3学期の授業がますます楽しみになった。