とみぞうのお気楽ブログ

クルマ、日本、北海道を愛する生粋の道産子50歳♂です。カバー画像は、PC版は増毛駅、スマホ版は733系電車の大谷ver.

午前零時の自動車評論

2012-04-16 23:12:36 | クルマ


私が有料メールマガジン購読している、モータージャーナル。
http://motorjournal.jp/

その筆者の1人である、沢村慎太郎さんがこれまで配信してきたメルマガに加筆したものが、
ついに本になることになりました。


早速、アマゾンで注文しました。

ネットや雑誌の評論が、いかに「提灯記事」と化しているかがよくわかります。
自称「クルマ好き」の方、必読の書籍ですよ~

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(以下、メルマガのサンプル)

■感動のガヤルド 沢村慎太朗 2011.06.26
 歳のせいもあるのだろうが、クルマに乗って感動することは滅多になくなった。
 ところが最近、めずらしくも深く感動することになった。ランボルギーニ・ガヤルドである。
 ご存知のように、ガヤルドは、親会社アウディが送り出すR8とプラットフォームやパワートレインなどの主要メカニズム要素をそっくり共用している。スーパーカーの歴史の中では異例で、知る限り初めてのことだと思う。
 スーパーカーの世界は個性がいのち。にもかかわらず主要メカを流用するならば、あとの仕立ての段階で、どういう作り分けをするかが勝負になってくる。
 アウディは、乗用車に軸足を置くメーカーらしい判断をした。
 まずガヤルドの4WD駆動系をに手を加え、より前輪が利くようにした。具体的には、前輪と後輪の回転差を増やしたのだ。
 ガヤルドは、フロントとリアをビスカスカップリング一発で結んでいる。この構成だと、前輪と後輪に回転差が出たときだけビスカスが滑って拘束力が発生し4WDとなる。実用車の、いわゆる生活4駆と呼ばれる仕様の多くが、仕掛けのシンプルさからこのビスカス一発方式を採っている。
 しかしこのままでは、真っ直ぐ走っていて前輪と後輪に回転差が生じてないときには4WDにはならず、2WDのままである。だからランボルギーニは、前輪と後輪の外径や駆動系のギア比を変えて、最初からビスカスが引きずるようにした。これで真の意味のフルタイム4WDの完成である。  ちなみに、ガヤルドの場合その回転差の割合は5%。アウディはこれを10%にした。前輪に常に1割以上トルクを濃く入れておいて、地面のとコンタクト増強を図ったのだ。
 それに加えて、前輪は大キャスタ化によって転舵時ネガキャン移行率の増加を図り、逆にリアサスはロール時に同種車たちよりも対地キャンバが崩れやすいジオメトリとし、さらにはロール軸も前下がりにした。つまり旋回特性をオーバーステア方向に向けたのだ。
 これによって不足するスタビリティは、4WDによるマージンを下敷きに、電制でアンダーステア方向に押さえ込むことで補完する。R8でESPをカットすると、とりわけ高速コーナーではかなりスリリングな機動になる。
 ジェット戦闘機は、F-16ファイティングファルコン以来、ひたすら機動性と小回り旋回性に特化した基本メカニズム設計をしておいて、そのために起きる安定性の欠如は、各種操縦デバイスをコンピュータで制御することで確保している。これに似た考え方である。
 そんな風にして、R8はハンドルで曲がりやすいミドシップに仕上げられた。ミドシップは幾つもの美点の裏側に、前荷重依存性というネガをもつ。前輪荷重の変化しろが大きく、その多寡によって旋回特性が明確に入れ替わるのだ。そして、前荷重を使いこなすのはそう簡単なことではない。
 スーパーカーを高価な遊び道具としてしか認識していないひとびとに、それを要求するのは無理だ。しかし、昔も今もスーパーカーの上顧客は、お金持ちで派手な生活を送るセレブレティであり、彼らに前荷重などと言っても話は通じないし、通じたとしても訓練を重ねて身に着けようなどとは夢にも思わないだろう。しかし、R8のような仕立てなら、前荷重など使いこなせなくても、かなりの割合でクルマの能力を発揮させることができる。
 それだけでなくアウディは、R8に柔らかめのサスペンション・セッティングや、硬軟の幅の広い電制ダンパーまで与え、快適性に配慮した。全高も高めに採り、キャビンの居住性も確保した。
 こうしてR8は、70年代で言うプレイボーイカーとして超一流のスーパーカーになった。セレブならぬ自動車評論家までが軒並み「運転しやすい」などと呑気なコメントをした。小学生の感想文と言われても仕方ないだろう。
 そういうR8対してガヤルドは、ひたすら骨っぽいセッティングを選んできている。
 まず、サスペンションを思い切り硬めた。ガチガチのアシなどという表現があるが、まさしくそれ。初期型のR35系GT-Rのスポーツモードに近いが、あれよりもバネ下は暴れ、不整路ではタイヤは簡単に地面とのコンタクトを失い、クルマは跳ね飛び回ろうとする。音振も、放置なのでは思わされるほど、キャビンをノイズが間断なく襲う。優雅に流すなどという次元とは無縁のクルマである。
 おまけに、ステアフィールからブレーキまでが、かなりの負荷領域まで踏み込んだときに、ようやくリニアリティや連携が取れ始めるという仕上がりにガヤルドはなっていた。つまり、ガンガン踏んでいかないと、美味しいところが味わえないのだ。
 そして、操縦性はミドシップ4WDのセオリーどおりである。
 ガヤルドは、先述のようにR8よりもデフォルトの前後拘束力が少ない。あくまで主役は後輪で、前輪はそれを陰で補う黒子のように仕事をする。だから基本的な旋回機動は、前輪が切った方向にハナを引っ張る感覚はあるものの、LSDを効かせて外ににじり出ながらも車体を前に押していく後輪のほうがカギになる。言い換えれば、アクセルをとことん踏んで行ったときに、それを可能にする状態を前輪が内助して整える。明らかにそんな風に狙いを定めて仕上げたシャシーである。
 そういうクルマだからガヤルドは、R8よりも間違いなく速い。R8は、ミドシップの利点を何割か目減りさせることを覚悟で、あの扱いやすい仕上がりにしている。そして、そのR8の上限を超えたところになってガヤルドは本領を発揮するのだ。
 これには恐れ入った。
 スーパーカーの顧客は目を三角にしてクルマと格闘するようなことはしない。そこまで踏まないのだ。さらに言えば、ランボルギーニの支持層は、鬼面ひとを驚かす派手な外観や、フェルッチオが捏造して喧伝した反フェラーリの伝説などの、いわば衣の部分を重視する傾向が強く、スポーツカーとして扱って性能をとことん追求するようなストイシズムは薄いきらいがある。
 にもかかわらずランボルギーニは、そういう支持層のプロファイルなんか無視するかのように、これ以上ないような辛口の仕上げを施してきたのだ。新車試乗会の<技術>説明に、マーケティング屋がしゃしゃり出てきて能書きを垂れる現代のこの業界では考えられないクルマ作りだ。すばらしい。恐れ入るしかないではないか。
 しかし恐れ入っただけで、まだそれは感動ではない。
 感動は、2WDバージョンに乗ったときに訪れた。
 LP550-2と名づけられた後輪駆動ガヤルドは、ステアリングを切ったときの反応が4WDバージョンとは明らかに違っていた。その際のリアの踏ん張りが、ずっと軽いのである。もちろん2WDゆえ、前荷重依存性はっきりと現出しているし、後輪LSDのイニシャルトルクは強く、とりあえず初期には後輪は粘ろうとする構えを見せる。しかし、きちんとフロントを地面に押さえつけておいて決然と操舵すれば、クルマは結び目がはらりと解けるように俊敏に回り込んでくれる。そこからパワーを入れればLSDが利いて、さらに後輪はスリップアングルを増しつつ強烈に立ち上がる。ひたすら曲がることに特化したシャシーなのだ。その旋回機動は陶然とするほど美しい。
 4輪駆動で企画して作ったクルマを、後輪駆動に改変する。そんなとき、普通なら誰でもスタビリティのマージンを上げる方向で考えるだろう。しかしランボルギーニはそうしなかった。ミドシップの最大の優位点であるヨー慣性モーメントの少なさを磨き上げるほうに特化してきた。R8とガヤルドのあいだの予め設定された差異。その差異を、さらに先鋭化させた2WDバージョンを作る。そんなランボルギーニ実験部隊の心意気に感動したのだ。これに感動しなくて、何に感動しろというのだ――。
 日々の仕事の中で求めているのは、本当はこうした感動なのです。いつも自動車雑誌では、受けた印象と、メカ要素の構築を結びあわせることで筋道立った試乗記をと思いながら書く。だけれど、クルマに取り憑かれた人生を送ってきたひとりの男として、本当に望んでいることはそれじゃなかったりする。筋道立った追及の先に見えてくる理屈なんぞ超えた感動。ごく稀にだけど出会うことがあるそれを求めて今日もクルマに乗っているのです。
 例えば、評価者としての立場でクールに言ってしまうなら、ランボルギーニ・ガヤルドは、その洗練度においてフェラーリ458イタリアには水を開けられているのは確かで、どちらがと訊かれれば間違いなく458に軍配を上げることになるでしょう。でも458イタリアには、感心はしたけれど、感動はなかった。ガヤルドLP550-2には感動があった――。
 ですが、どんなに鮮やかな感情が心に浮かんだとしても、一生懸命それを文章にしたとしても、自動車雑誌がそういうことをテーマにした原稿を依頼してくることはありません。比較試乗の企画なら、要するにどちらが上かという結論に向けて一直線に原稿を書くことになります。そうやって、はっきりした結論を出すのも楽しい仕事だけれど、それだけじゃ漏れてしまうことがある。そして、そうやって漏れてしまうことが大事に思える。伝えたい。だから、こういう場を作りました。
 感動だけじゃなく、他にも取材をしていて原稿を書いていて、心に浮かぶことはたくさんあります。クルマ好きで行こうと腹をくくって人生を送っている皆さんと、それをこの場所で分け合いたい。皆さんが愛するクルマとのあいだに生んだ感動や懊悩や幸福感を分けてもらいたい。トークライブやQ&Aが、その場所になることでしょう。Autocar Japan誌でQ&Aコーナーは何年もやってますが、そちらよりも、もっと互いの距離が近くて体温が伝わる極私的な場になると思います。今から楽しみで仕方ありません。


■鉄チンホイールとプリウスα 沢村慎太朗 2011.06.26
 おれがまだ免許取りたてのガキだったころ、ちょっと郊外へ行くと、空中浮遊しているクルマを見ることができた。
 いや別に反重力装置を装備していたわけではない。空力性能がヒサンで揚力が働いたあけく車体がリフトして、ついに宙に浮き上がったというわけでもない。クルマは動かずに止まっていたのだ。コンクリートブロックの上に乗っかって――。
 そしてブロックの上のクルマは、タイヤとホイールがなかった。そう。アルミホイールをギられてしまったのだ。失礼。ギるってのは昔の俗語で、盗むの意味。それはともかく、今は見ない光景である。あのころはアルミホイールは偉いアイテムだったのだ。普通のクルマは、みな鉄チンホイールだった。気張ってカネ貯めてアルミホイールを買う。つける。自慢。しかし、油断して人気のない暗がりに停めて、ちょっと目を放した隙に空中浮遊の刑に遭って、バイト代の結晶であるところのアルミホイールが見事に消える。このままじゃ走れない、帰れないじゃんか。懐かしくも、しょーもない昭和のヒトコマだ。
 さて、2011年の現在、アルミ泥棒の話をあまり聞かないのは、たいがいのクルマがアルミホイールを履くからだろう。標準で鉄チンを履いているのは、安い小型車の、そのまた思い切り安いグレードくらいである。
 ただし、別に安くもないのに鉄チンを履いている場合もたまにある。例えば、先日デビューして、たったひと月のあいだに5万2000台を受注したとトヨタが自慢するプリウスαがそうだ。
 かつてαがつかないほうのプリウスを作るとき、トヨタは燃費いのちに徹するあまり、ドライバビリティまでシカトを決め込むだけでなく、燃費向上のために空気抵抗まで気にした。
 ちなみに、欧州勢のようなダウンサイジング過給エンジンという手口は、あまり止まらず渋滞も少なく、走り続けられる欧州のような道路環境のほうが高燃費を出す。ハイブリッドは、発進&停止が多い渋滞路で本領を発揮して燃費がよくなるが、高速で走り続けるとエンジンが回ってばかりいるので、下手するとデキのいいエンジン車に負ける。なのに高速で効いてくる空力までツメるとは、なんと涙ぐましい――以前そう言ったら、「30km/hでもちゃんと空力は効くんです」とトヨタの実験屋さんに切り返された。まあ言ってる意味は分かりますけど。
 話を戻そう。些細な部分の空気抵抗まで削りに削ろうと血マナコになったプリウスは、ホイールの形も頑張った。アルミホイールなのに、わざわざ空気抵抗を減らせる形にしたホイールキャップをつけたのだ。
 というわけで、プリウスは全グレードがアルミホイール標準装着である。ところが、今度のプリウスαは、2列5座バージョンのほうの最廉価グレードが鉄チンホイールを履く。プリウスαには3列7座と2列5座のふたつのバージョンがあるが、前者はファミリー向けで、後者は荷室の大きさを生かしてワゴン的に使おうというひと向けに設定されたと思しい。ということは、2列5座バージョンの最廉価グレードは、ワゴンというか営業ライトバン仕様みたいな想定なんですかね。だから鉄チンなんですかね。
 そう思ったおれは、プリウスαの試乗会でトヨタのひとに訊いてみた。同サイズのアルミホイールと鉄チンホイールで調達コストは、かなり違うんでしょうねえと。
「そのー、実はほとんど変わらないです」
 え、そうなんですか。
 じゃあ何故わざわざ鉄チンを装着するのか。鉄チンホイールは、どうしてもアルミより面剛性が落ちる。ホイールの面剛性が落ちるとアシ周り起因のノイズが増える。これはトヨタの技術者の提出した論文で知ったことだったりします。一方で、エンジンが止まってることが多いハイブリッドは、他の部分のノイズが目立ちやすくて、その対策に普通のエンジン車よりも苦労する。であれば、音振面では有利なアルミホイールを全車装着したほうが、ずっと楽だったでしょうに。
 と、横にいた音振屋さん「えー、まあそうなんです」と苦笑い。
 だとすると、わざわざ鉄チンを履かせるのは、グレード差別を明確にするためですか。
「ありていに言ってしまえば、そういうことになるのですが……」
 おれがありていに言ってしまえば、こういうことになる。鉄チンホイール標準装着は、一番安いやつを買ったお客へのお仕置きである。見た目もダサければ、音振もよくない。一番安いやつ買ったから、そういうことになるのよ。次は、アルミ履いた、もっと高いグレードをどうぞ。そういう商売上の戦術の上で鉄チンホイールは用意されているわけである。別にコスト要件ではないのだ。
 たまたまプリウスαの試乗会で聞いた話だったからトヨタが例に挙がっただけで、他社でも話は同じだろう。
 だが、考えてみれば、普通のプリウスの方は、こんなことはしていない。先ほど書いたように全車アルミホイール標準装着だ。燃費最優先でグリップがスカな185の15インチ履いた205万円の“L”でもアルミホイール。本気なのだ。出来上がった物体は、クルマとしては疑問符がいくつもつくけれど、脇目も振らずに作り込んだ燃費マシンとしての存在意義は認める。
 一方で、プリウスαは鉄チン仕様がある。
 3列シートのハイブリッドが欲しかったひとたちと、営業バンに使えるハイブリッドが欲しかったひとたちが一斉に飛びついて1ヶ月で5万2000台も受注してしまったプリウスα。名前もカッコもなんだかプリウスの兄弟に見える。しかし、プリウスαとはつまりそういうクルマなのだ。おまけに、ホイールベースで8cm、全長で15cmほど長いだけなのに、車重は150kgも重い。そこでも本気の匂いは嗅げない。燃費の究極への挑戦ではなく商売。プリウスとプリウスαを同じクルマの車体バリエーションだと思って買ってはいけない。


新型BMW328i(F30)試乗記

2012-04-14 17:58:35 | クルマ

BMWジャパンより写真を拝借しました。

328i(スポーツ)のスペック
全長×全幅×全高=4625×1800×1440mm/ホイールベース=2810mm/車重=1560kg/
駆動方式=FR/
2リッター直4DOHC16バルブターボ(245ps/5000rpm、35.7kgm/1250-4800rpm)/
価格=586万円


4月1日に人事異動があったことと、異動先が会計事務なのですが、決算時期もあり多忙でへろへろ。
今日は休みですが、なんだか疲労が取り切れていない感じです。。。

そんななか今聴いている音楽はmiwaさんという女の子のアルバム「guitarium」。
私の年齢の約半分で、現役の慶応大学の学生さんです。
何だか若い娘の元気な音楽を聴くと、自然とさわやかな気分になっていいものですね。
来月、札幌にライブで来られるとのこと。
もう少し彼女の音楽を聞き込んでみて、良さそうだったらチケット買ってみようかな。
それまでに売り切れてなければいいんですけど。

さて、ついに出ました。BMWの屋台骨を支える3シリーズ。
これまで3シリーズが刻んできた歴史を振り返ると、今回の新型に期待してしまうのも無理はありませんね。

しかし、結論から言うとあまりお勧めできません。
このクルマの出来とこの価格(かなり高額な部類に入りますよね)だと、
別な選択肢が頭に浮かんできてしまいます。

なにせ、E46から先代のE90にモデルチェンジしたとき、
BMWというブランドはそのままでも、全くおかしな車に豹変してしまいました。
今回の新型(F30)はE90のシャシを基本的には流用していると聞いてたので、
新型もそれほど変わらないだろう、でもできれば良い意味でE90のネガを解消してほしいな、と甘い期待をしてましたが、、、

イマイチと感じてしまった今回の新型3シリーズ。
悪い所を延々と文句を書き続けたくないので、端的に。

(いいところ)
ボディ剛性がこのサイズのセダンとしては半端じゃないくらい高く、不整路面を走ってもミシリともしない。
純正のナビの液晶がとてもキレイ。ただし、このナビの値段は高すぎ。
内装の作りが、最近のアウディなみに非常に高級感溢れる造りであること。
見た目は普通のブレーキだけど、非常に良く効く。
エンジンのトルクとパワーの出方はまずまず。

(イマイチなところ)
でかい → 一昔前の5シリーズと同じでしょ。
エンジン音に官能性なし → 商用車ならともかく、このクラスではエンジンサウンドというのも重要な要素。
ネット上である評論家が「このエンジンでイマイチなのはサウンドだけ」とかほざいている人がいたけど、
プレミアムブランドはそうじゃないでしょ、と突っ込みたくなった。
欧州ではCO2の排出量が販売台数に影響するから、6気筒エンジンを無くすという事情もわかるけど。
ミッション → DCTにしてほしかった。
ハンドルを切った瞬間、いきなり「ギュバっ」と横Gが出て、車の向きが変わる。
昔のBMWは切り始めはスローで、切れば切るほどジワジワとどこまでも曲がっていく、
深みのあるハンドリングだったのになぁ。
動かない足 → 先代の3シリーズのE90の悪癖はやはり抜けず。
電動パワステのフィール → 粘った感じがいやらしい。

どうしても今回の新型BMW3シリーズが欲しい方は、320iという廉価版が出るので、そちらのMTを買ったほうがいいと思います。
ATが欲しいのなら、1年待てば中古車市場に1万キロ未満のクルマがたっぷりと出るので、そちらを買ったほうがおトクです。
BMWジャパンは、いわゆる「押し込み」によりディーラーに無理矢理に新車を押し付け、
ディーラーはどうしようもなくなってオークションに流す、というのが通例なので。


最後に、私が信頼している自動車評論家の福野礼一郎さんが、
雑誌で新型BMW3シリーズについてコメントしているので、それを転記します。

昔、奥深いクルマ作りをしていたBMW。今は「全くそうではない」ということがわかっていただけると思います。

(以下、福野さんのコメントを抜粋)
「なんたって、初代レクサスLSとホイルベース/トレッド値が同じってくらいのデカさですから、安定性のポテンシャルは非常に高い。ワインディングでは「スポーツ」を選択させて操舵ゲインあげてアンダー消してヨーつけて、ソフト目のリヤサスで路面追従しつつ踏ん張りつつ、姿勢が崩れたらお助け電制、これがこのクルマのハンドリングのイメージでしょう。昔のBMWは直進性とヨー運動性の最適狙いパッケージで物理的運動条件の良さを、最適メカとそのセッティングパランスの良さで気持ちいい操作&挙動の応答感を、それぞれ満喫させるというFun To Driveカーだったけど、今のBMWは巨大なロングノーズのカッコいいクルマを作っておいて、キビキビ感はステアリングで出し、操縦性は電制で味付けるというクルマです。ゲインは前サスで出すから、リヤサスはともかくばしっと横方向に踏ん張っておきゃええぞと。以前はこういうクルマの作り方は最悪と思ってましたが、ステルス形態飛行機をバイワイヤ制御で空戦機動させたりするのと一緒で、自在制御化を前提とした利害得失の取り方というのは、ようするにこういうもんなんだろうなと。良く言えば、パッケージが操縦安定性用件に縛られていない。ステルスは対レーダー反射率に縛られ、BMWは中国と中東の売行きに縛られてるだけで。」

マツダCX-5試乗記

2012-04-07 14:12:18 | クルマ

写真はwebcgより拝借しました。

【スペック】XD(4WD車)
全長×全幅×全高=4540×1840×1705mm/ホイールベース=2700mm/
車重=1610kg/駆動方式=4WD/2.2リッター直4 DOHC16バルブ ディーゼルターボ(175ps/4500rpm、42.8kgm/2000rpm)/
価格=279万円


今日も、いきものがかりのNEWアルバム「NEWTRAL」を聞きながらコレを書いています。
すっかり彼らの曲にはまりつつありますねぇ。
サザン、B'z、ドリカムなど、日本の大物ミュージシャンに見向きもせず、
自他ともに認める洋楽好きなはずなのですが。
ちなみに我が町釧路に、いきものがかりがライブでやってきます。
チケットはとっくの間にSOLDOUT。
ネットでは高額でオークションにかけられているようです。

さて、本題に戻ってCX-5。
試乗したのは上記スペックのとおり、ディーゼルエンジンの4WD。
スカイアクティブ技術を使ったシャシ、滑りの少ないAT、そしてエンジン。
期待するなというのが無理というものです。

いきなり結論ですが、SUVを探している人にとってCX-5はイチオシです。
他メーカーのSUVを大きく引き離して、ぶっちぎりトップの座を勝ち取ったと言っていいと思います。
特に、他国産メーカーのディーゼルエンジン搭載車と比べると、その差は歴然としています。
実際、注文が予想を超えて受注が追いつかないそうです。
内容と価格を考えたら、恐るべきクルマと言ってもいいでしょう。
2ドアの実用性を無視したスポーツカーを考えている人ならともかく、
普通のセダンを考えている方であっても、このSUVは十分検討車種に加えていいと思います。

まず外見。
ともかくでかいです。そしてカッコいいと思いました。
しかし、ここまででかいと、自宅の車庫の事情から購入を諦める方もいるかもしれませんね。
ちなみにトランクルームの容量は、私のティグアンより広く感じました。

室内はどうでしょう。
ドアを開けて運転席に座り、ドアを閉めると「ドスン」と閉まります。
欧州車によくある、剛性感の非常に高い閉まり方をします。
これだけで、期待が高まりますね。
エンジンをかける前に、なにげにオーディオや空調、ハンドルに付いている各種ボタンをポチポチと押していくと、
これも高級感のあるタッチがあるのがわかります。営業の方も、開発スタッフが意識した点だと言ってました。
ちょっと気になったのがドライビングポジション。
運転席の見晴らしはスゴくいいんです。私のティグアンよりさらに開放感があって、車幅感覚がとり易いのですが、
運転席に座ってドライビングポジションをあわせようとすると、足を若干投げ出す感じ。
つまり通常のセダンのような感覚ですね。
これはちょっとばかり違和感を覚えました。
SUVたるもの、足は投げ出すものでなく、膝から下は「上から落とす」ものだと思ってましたから。
シートは厚みがあった良い感じ。長距離運転でも疲れ知らず、になるでしょう(試してないので断定はできませんが)
しかし、結果的に非常に良好なドライビングポジションがとれます。
これはクルマを開発した方達がしっかり煮詰めて設計したということですから、
他の日本車メーカーと比べてもクルマ作りに非常に真摯に取り組んでいると言えますね。
そしてこれは、試乗した皆さんが指摘してますが、「内装が安っぽい」です。
これは「対抗車種として設定したエクストレイルのディーゼルに価格で負けないこと」も影響しているのでしょう。
そして、速度計が180km/hまでしか表示がない。
そんなに飛ばすわけでもないけど、これがなんとなく萎えるんですよねぇ。
走りに関係ないからどうでもいいっちゃいいんですけど、少々寂しい点です。

さて、走り出してみましょう。
エンジンをかけると、ディーゼルとは思えない、静かなアイドリングで目覚めます。
全くうるさくありません。
ルームミラーとドアミラーを合わせて、ギアをDに入れて、いよいよスタートです。
アクセルと少しだけ踏んでみます。
42.8kgのトルクを想像していたわりには、割と穏やかな発進ですが、
もう一息踏み込むと、結構ググーッとトルクが湧き出てきます。
トランスミッションが、私のクルマのようなDCTミッションではない普通のトルコンATなので、
うまい具合にトルク増幅がでてきて、すばやくトルクゾーンまで到達します。
結果、DCTのような一瞬のもたつきがなくキレイになめらかな加速をしていきます。
そして、スカイアクティブ技術を使ったトルコンATならではのダイレクトな変速をして加速を続けていきます。
例えば、ある速度からほんの少し加速したいとき、
出来の悪いATだと、アクセルを踏んでもミッションがズルーッと滑って全然加速せず、
おかしいなと思ってさらに踏み込むと意図しない加速が突然ドーンときてブレーキ、、、
という非常に頭に来る挙動を起こすものですが、CX-5に搭載されたATにはそれがない。
単に少しずつ丁寧にアクセルを踏み足していけばいいだけです。
これはとても気持ちいい。
DCTもいいけど、ゼロ発進から目標の速度に到達するまでの過程を見ていくと、
ロックアップ領域の広いATっていうのもいいもんだな、と素直に思いました。

今回試乗したのは、札幌市手稲区にあるテイネハイランドへ行く山道。いよいよワインディングへ突入です。
この道は、カーブがいくつもあり、しかも補修路面(デコボコ道)も結構な数があり、
短時間でいろんなことが検証できる、とてもよい試乗コースです。
この道は私が過去に所有したクルマはもちろん、数々の試乗車もここで試乗しました。
なので、自分なりに評価軸ができあがっているので、ともかく試乗を楽しみにしていました。

デコボコ道を「ドドドド」っと一気に通過してみました。
若干ボディ剛性が落ちるのと、ダンパーが若干安物を使っているような振動が伝わってきます。
うーん、ちょっと残念。
CX-5の名誉のために付加えると、どうしようもないくらいひどいボディやダンパーというわけではないです。
気にしなければ慣れる程度ではあります。
なので、販売価格が50万円上がってでもいいから、レーザー溶接等を使ったボディにしたり、
もう少しカネのかかったダンパーを入れれば、かなり印象が変わりそうです。

次にワインディングを一気に結構な速度まで加速しようとすると、
数字どおりのトルクをガツンと出してきます。
この重たいボディをここまで力強く加速できれば、もう十分速いと言えますね。
カーブが近づいてきたらブレーキング。
スゴく効くというほどでもないけど、どっちかと言えば効くほうの部類にはいる減速Gがキッチリ出ます。
注意深くハンドルを切ってみます。
マツダの開発者が言っていた「1の入力で1の反応が返ってくるようにしつけた」ハンドリング。
その言葉がよくわかる、ヒトの感覚とズレがない、切った通りのコーナリングができます。
クルマによっては「1の入力で1.2の挙動が出たり、逆に0.8しか帰ってこない」という車がありますが、
CX-5はこれだけ重く大きいクルマなのに、意のままに曲がってくれます。
私のティグアンより、ドライバーにクルマの動きがゆだねられている気がしますね。
VWのクルマはある程度クルマが何とかしてくれますが、CX-5はドライバーがある程度明確な意思表示を、
クルマに対して行う必要がありそうです。
最近のクルマで気にすべきなのは、パワステの出来ですが、これはなかなか良かったです。
新型のBMW3ネットリしたフィール、トヨタ車全般に見られるヘンテコなフィーリングを出す電動パワステに比べると、
かなり自然で違和感は殆ど感じられません。
ただ、ハンドルの径が少し小さく感じました。
SUVだったらもう少し大きいハンドルにしても良かったのではないでしょうか。

そんな具合に、山道での「加速、減速、旋回、加速」の各プロセスを注意深く観察すると、
SUVの鷹揚な動きではなく、どっちかと言えば通常のセダンに近い動きをします。
それでも一般道をゆっくり走っている分には、ゆったりしたSUVらしい雰囲気が味わえる。
まさに、1台で2台分おいしいクルマ、と言えそうです。

但し、高速道路や地方の一般道を何時間もひたすら走り続けるシチュエーションでは、
ドライバーに対しどの程度の疲労感を与えるのかは試せませんでしたので、そこは何とも言えません。
以前このブログで「クルマと常に対峙しなければならないクルマは楽しいけど疲れる」と書きましたが、
CX-5がどの程度、ドライバーの自発的な意思表示を求めるクルマなのかは、
かなりの長時間運転を試す必要がありますね。
本気で購入を考えている方は、ディーラーの方にお願いして、2泊くらい試乗車をお借りしたほうが良いかもしれません。

総評です。
日本車、輸入車を含めて、内容と競争力ではかなりの出来映えのクルマとなりました。
予算とボディサイズさえ気にならなければ、是非検討してみてはいかがでしょうか。
500万円以上出して、BMWやランドローバーを買えば確かにそれなりの幸福感(所有する満足感も含めて)を得られますが、
300万円を切る価格でこれだけのパフォーマンスを得られれば、もの凄い賢い買い物になると思います。
ほんの少々気になる所はありますが、それを補ってあまりある魅力があるこのクルマ。
日本車のSUVは軒並み相手にならないくらい、それぐらいの出来だと思います。

最後に。
去年の末、VWティグアンを購入しましたが、それを一瞬後悔してしていた自分がいました。
もし、去年の時点でCX-5のディーゼルが販売されていたらどうなっていたのでしょうね、、、