全長×全幅×全高=3545×1650×1495mm/ホイールベース=2420mm/
車重=920kg/駆動方式=FF/1リッター直3DOHC12バルブ(75ps/6200rpm、9.7kgm/3000-4300rpm)/
価格=183万円
今回試乗したのは上位グレードの「high up!」
下位グレードの「move up!」は168万円です。
日本車なら、ビッツ、ノート、デミオ、スイフト、スプラッシュ、なんかが同クラスですね。
価格だけ比較すれば、日本車勢の方が明らかに安いです。
「車に、性能やしっかりしたクルマ作りなんてものは求めない。とにかく車に払うカネは1円でも少なくしたい。」
と言う方ならup!は勧めません。マーチやミラージュなんていう、海外生産の激安カーを買った方がいいのでしょう。
でも、こんな小さい車で価格も高いこのクルマ。
乗ってみれば、日本向けの日本車(欧州向けの日本車はコストがかかっている)とは、
まるっきり物が違うことがわかるはずです。
それでも手抜きだらけの日本車を買うのであれば、それは自分の判断ですから結構な事です。
デミオ、スイフト、スプラッシュは、コストカットしているわりにはよく出来てますけどね。
さて、up!は具体的にどんな感じのクルマなのでしょう。
運転席に座ってドライビングポジションを調整しようとすると、
フットレストが無い、ハンドルはチルト(上下)はするがテレスコ(前後)はない、といった事が気になります。
運転しだすと、ブレーキペダルとアクセルペダルの段差が大きく、運転中は気になります。
それでもなんとかドラポジは取れますね。
フロントシートに関しては、ゴルフほどカネのかかったシートではなさそうな雰囲気です。
リアシートはさらにコストを切った感触があります。
パワーウインドウは運転席から助手席側の窓を開閉するためのスイッチがありません。
助手席の窓を開けるときは、助手席に手を伸ばしてスイッチを押す必要があります。
さて、動かしてみましょう。
純日本車ユーザーが一番気にする「トランスミッション」は、
やはり変速のたびに船をこぐような動きになります。
アルファロメオのセレスピード初期のような未成熟感は無いものの、
強く加速すればするほど、変速ショックは盛大になります。
追い越し加速で一気にアクセルを踏みつけても、
普通のオートマのように瞬時に加速体勢に行かず、一拍いや二拍ほど遅れて加速を始めます。
輸入車ばかり乗っている人なら、Dに入れっぱなしではなく、マニュアル操作は変速ショックは減りますので、
(私も試乗中はDに入れっぱなしがイヤになり、そうそうにマニュアル操作での試乗になりました)
「別にコレでいいじゃん」となりますが、日本車しか知らない人ならかなりのマイナス点になりそうです。
しかし、変速のリズムが掴めたら、エンジンが比較的静かなことがわかります。
3気筒なので、それなりの音質&音量なのですが、あるところから音量が盛大になったり、
振動が激しくなったりする事は無いです。
1次関数的に、まっすぐ音と振動が増えて行く感じなので、決して不快ではありません。
フィアット500の2気筒エンジンの懐かしい楽しさを個人的に感じました(若い人にはわからないかも)
高速域での走りっぷりは、このクラスの日本車はup!に勝てないでしょう。
スズキのクルマは比較的up!に近いですが、やはりこのどっしり感は正直スゴいモノを感じました。
カーブが続く道を走っていても、やはり足回りやシャシの頑丈さが伝わってきますし、
電動パワステのフィールも良好ですし、ゴルフより曲がる楽しさはあるかもしれません。
ここで辛いのが「ポロ」の存在です。
このクルマは正直、飛ばすのが怖いです。
まっすぐ飛ばしても、曲がっても、なんとなく怖さを感じますし、
特に曲がっている最中には、手からロードインフォメーションがあまり返ってこないので、
余計怖さが倍増するのだと思います。
もう眠たくなってきたので、そろそろここまでにしたいと思います。
トランスミッションの不自然さと、若干の値段の高さに納得できれば、とても良いクルマ。
今回試乗したディーラーのセールスの方が
「プリウスに乗っている人が試乗に来て、こんなにいいだね、と言って帰っていった」
との話がありましたので、輸入車を知らない人への宣伝カー的な役割もキッチリ果たしているup!。
ビッツのようなコストダウンと手抜きの塊のような車を考えている人は、ぜひ一度試乗して頂きたいものです。