マンボウ遊泳記

今度の三陸地震・津波で、助かった人達への聞き込みが行われました。
波に巻き込まれても、無事に済んだ人達の多くが　『　あおむけ泳ぎ！　』　でいたと。
コレは、　“　水泳教育でも生かすべし　”　との意見が起きました。

あおむけ泳ぎとは？
普通は、うつ伏せ姿勢で泳ぎます。
プールやらで、主にクロール・平泳ぎで泳ぐ方法です。
この泳法は、海ではあまり役に立たない時もあります。
何しろ短いプールと違い、とんでもない長い距離が多い海の世界。
普通の体力では、エネルギーがしれてます。
海に引きずり込まれて助かった人達は、下手にクロールで泳がず、あおむけ泳ぎで
海上に浮遊しているのを助けられた様だ。
魚のマンボウさんが、海面近くで横になって、ぷかぷかと浮いてるのと似てます。
言わば、ある種の省エネ泳ぎ。
肺の空気を利用して、海面で浮かび続ける方法です。
慣れれば簡単です。　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　

例えば、アクシデントで海中に落ちたとします。
うろたえて浮上を試みるなんて、落とし穴に飛び込むみたいなもんです。
どうせ、ほっといても直ぐに浮き上がるハズです。
沈んでる間に、周りの様子や、海面の具合を確認しておきましょう。
浮上しても、慌てて岸を目指すのも考えもの。
海の潮流は、とても凄い時があります。
逆らって泳ぐと、助からないぐらいの。
こんな時、マンボウさん泳ぎで、体力を温存して時を待つのです。
潮目が変わるまで。

ヒゲが、Ｔ麻台病院にリハビリ入院中の時の事です。
当日は、障がい者と高齢者の入浴日。
ヒゲは、検査が入っていたので、最終組に。
風呂は、まるでゴボウを洗う様に、流れ作業で洗われて行きます。
ヒゲが湯槽に浸かり、周りを見ると誰も居ません。
ラストの入浴者のようです。
人間洗いのおばちゃん達も、ラストのヒゲを入浴させたと云う事で、ホッと気が抜けたのでしょう。
ペチャクチャと、女のお喋りが始まりました。
何時もは芋の子洗うような所に、ひとり切りのヒゲ！
嬉しくなって、プカリプカリとマンボウさん泳ぎで浮かんでおりました。
そうしたら、洗いのおばちゃんのひとりが、
「　ギャーッ!　 患者さんが溺れとらす！　ハヨー、引き上げなん　」
慌てて、浴槽から引っ張り上げられたのでした。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
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