FPと文学・エッセイ 〜是れ日々なり〜

ライフプラン、資産設計のほか、文学・社会・芸術・文化など気まぐれに日々、FPがつづるエッセイ。

最近のハローワーク ~ 失業者は「お客様」?

2014-06-18 00:45:11 | 経済・金融・ビジネス

 10年ぶりくらいにハローワークへ行きました。5月末に発表された有効求人倍率が1.08とわずかに改善されたと発表されても、これは非正規労働者が中心となった数字で、正社員の求人倍率は0.61 倍で逆に下がっています。企業が出した求人のうち、採用に結びついたのはわずか2割ということです。 

 相変わらず、ハローワークでは仕事を探している人たちが溢れています。ちょっと驚いたのは、ハローワークの職員の人たちが、親切・丁寧(表向きは)になったことです。順番待ちのアナウンスからして「○○番のカードでお待ちのお客様、○○の窓口までお越しください」――。 お客様? 一瞬、銀行かどこかに来たのかと思いました。失業者を「お客様」と呼ぶのです。

 失業しているとはいえ、税金を払って、その税金で運営されている機関である以上、「お客様」に変わりはありません。確か10年くらい前にお世話になった時は「○○番のカードをお持ちの方」だったと思います。求人票を持って紹介カウンターに行くと、担当者がわざわざ立ち上がって、「どうぞお掛け下さい」と丁寧にあいさつしてくれます。終了後も立ち上がって、「お疲れ様です。よろしくお願いいたします」と礼をしてくれます。ハローワークの紹介出張所でも同じで、受付カウンターでは男女の職員が直立していて、入って来た求職者を見るなり「いらっしゃいませ」と声をかけてくれます。これなんか、ちょっと違和感を感じたりしています。

 前回(10年ほど前)の時は、番号を呼ばれてどの窓口へ行っていいのかまごついていると、「何をしているの! あなた、あなたよ、早くここに来なさい、みんな待っているんだから」まったくもう、と中年の女性職員に失業者みんなの前で怒鳴られたことがあります。「失業者という弱者」と「仕事を紹介してやる側」という構図がこんなところにもあるのかと、その時思いました(その職員は特別だったのかもしれません)。

 失業者といっても、大企業の役職者が定年とか事情があって退職しここへ来る場合もあるでしょう。そういう人は、今まで管理する立場にあった人間として相当、自分のプライドが傷つけられるでしょう(プライドというものがあればの話ですが)。ああいう言い方はないだろうと私も思いましたが、そんな場所で多くの失業者の前で職員と言い合うのもみっともない、第一、それでいい職が見つかるわけではないので、その場はおとなしくしていました。

 考えうるに、10年前はこれほどスマホが普及していなかったということがあります。これは憶測でしかありませんが、今どきは、職員から嫌な対応を受けた失業者がツィッター、ブログなどで告げ口を載せたり、あるいは直接ハローワークに抗議メールを送りつけるということも考えられます。10年前のあの時の対応をされたら、今の私でも抗議メールくらい送りたくなります(現に、こうして書いているくらいですから)。

 職員の対応が良くなるのはもちろんうれしいことですが、それにしても「お客様」は違和感があります。お客様だからといって、「またお越しください」というのはさすがにありませんでしたが、できれば、いつまでも「お客様」(失業者)ではいたくないものです。



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