今、私が受講している朗読講座で課題になっている吉野せい著「洟を垂らした神」は開拓期の福島県いわき市小名浜が舞台となった作品です。
苦しい開墾地の生活の中でおもちゃも買い与えられなかった子どもたちは、親にねだることをせず、竹トンボもコマもヨーヨーも自分で作って遊んでいました。それらは売り物のおもちゃのように形こそ整っていないものの、バランスに狂いがなく作り出してしまう神のような子どもたちと表現されていました。
福島県いわき市は1966年に磐城市、平市など14市町村が合併してできた市だそうです。
平成の大合併でも合併後の市の名前でもめていた所が多くありましたが、いわき市の場合も平穏にというわけにはいかなかったようです。一見すると磐城市を平仮名に変えただけと思われるのですが、そうではないのです。語源は聖徳太子の十七条の憲法にある「和を以って貴しとなす」を漢文で書いた「以和貴」を“いわき”としたそうです。
何もないところからの開墾、合併の融和を導き出す知恵、これらを結集させて震災からの復興を成し遂げてくれると信じています。