on-ice off-ice

氷上のスポーツ、カーリングをやっています!カーリング以外のことも書くのでon-ice off-iceです!

Double Role

2023-05-06 22:34:13 | アート・文化
 カーリングで投げたストーンをハウス手前にあるストーンに薄く当て、両方のストーンをハウスに入れることをダブルロールインと言い、投げる力加減と当てる角度が合っていないと成功しない難しいショットです。聾者である松橋さんがカーリングと子育てを両立させるという困難を克服しているドキュメント映画「Double Role」が横浜国際映画祭で上映されました。松橋さんは東京で競技されており、松橋さんのお父様とは青森の大会で対戦したこともあるので、これを見に横浜に向かいました。クラファンのリターンで動画を見ることはできたのですが、情けないことにWi-Fiがしょぼくて静止画になったり読み込みに時間が掛かったりで前段の部分しか見れていませんでした。

 館内は満席でカーリング関係者もいますが、それよりも聾者の方々がはるかに多くい
らしているようで、会場のあちこちでは手話で会話しています。

 細かい内容はネタばらしになるので割愛しますが、松橋さんは、ご両親と旦那様が聾者ですが生まれたお子さんは聴者です。聾者から生まれた聴者をコーダと呼ぶのだそうですが、どうやって言葉を覚えていくのか気になりましたが、手話と言葉の両方を会得する頼もしさありました。

 さて、カーリングをテレビで観た人もわかると思いますが、あれは4人でコミュニケーションをとりながら進めていくスポーツで、これは耳が聞こえない人がするのは大きなハンデになるはずです。ところが実際に聾者である松橋さんのお父様のチームと何度が対戦したことがありますが、全身からもの凄いオーラを感じるジェスチャーでチームメンバーがきびきびと動いてハンデなどは全く感じさせず、私は3回対戦して2敗1分で一度も勝てていません。松橋さんもお兄様とミックスダブルスの世界デフカーリング選手権で銀メダルを獲得、国内の一般の大会でも上位に入賞するなど大きな実績を残しております。

 こんな風に氷の上ではハンデを感じさせないのですが、今回制作された記録映画を見て、日常生活の苦労を少しでも知ることができてよかったです。
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人込み避けて高山寺と神護寺へ

2022-01-30 13:08:53 | アート・文化
 2年続けてコロナ騒動の新年、昨年は人混みを避けて旧正月に初詣に行きましたが、今年は旧正月の2月1日が休みではありません。まだオミクロン株が猛威を振るう前の1月8日、人が少な目なところへ行こうと選んだのが高山寺と神護寺、京都洛中からバスで50分ほどかかりますが、料金は230円!
 碁盤の目を通り過ぎ、綺麗な庭園を有する龍安寺、仁和寺を右に眺める辺りから道は上り坂になり、立命館大学を過ぎると更に急になります。建物はまばらになり、山間の温泉地に向かうような趣です。そんな道をしばらく走り、時間通りに栂ノ尾に到着しました。



 目指す高山寺は、鳥獣人物戯画が置かれているお寺として知られており、「栂ノ尾バス停からすぐ」と書かれています。確かにバス停からすぐに「高山寺裏参道」と書かれた上り坂があり高山寺の敷地内に入りますが、まず目指す「石水院」はこの坂を上って行きます。それにしても人がほとんどいません。お正月を外したとはいえ3連休の初日、ある程度の人出は覚悟していたのですが、むしろ閑散とし過ぎて寂しい。今回は事前予約が必要ですが普段は非公開の茶室「遺香庵」などが特別公開されており、これが高山寺を選んだもうひとつの理由です。







 受付を済ませて、まず石水院の中へ。短い渡り廊下のような橋を渡って石水院の裏側から入る感じに進むと、板張りの部屋の中央に歩きながら合掌している善財童子の像があります。素材と大きさは違いますが博多人形を思わせる穏やかでかわいらしい表情をしています。その先の格子窓から外光が漏れています。広い縁側を持つ建物で、苔むした庭園、木々に緑がない季節、苔の緑が映えています。柔らかい日差しは射していますが、冬の凛とした空気に包まれています。鳥獣人物戯画はガラス張りのショーケースに置かれていました。



 特別公開は僧がご案内して下さります。まず、「一般に高山寺は鳥獣人物戯画で知られていますが、開山された明恵上人の名前を覚えておいてください」というお話がありました。「高山寺は何宗ですか」とよく聞かれるそうですが、明恵上人の「釈迦の教えはひとつであって限られた宗派にとらわれるべきではない」という考え方に基づいているため、宗派はないそうです。こういった話からもスケールの大きさを感じます。これほどの方の名前を初めて聞いたのは恐縮でしたが、明恵上人が詠まれた和歌

「あかあかやあかあかあかやあかあかや あかあかあかやあかあかや月」

これは覚えており、僅かながら面目が保てた気がしました。

 特別公開の遺香庵は、石水院のすぐ隣に位置しています。普段は閉鎖されている門が開けられ、わくわくした気分になります。小さな梵鐘の吊るされた東屋の「腰掛待合」、茶室は外観は小さく見えますが入り口から覗いた内部は奥行きもあって広々としています。庭には珍しい苔があり、これは研究材料になっているそうです。歴史的な一方で現代の科学にも役立っているあたりも素晴らしいです。




これが学術的にも貴重な苔、木に絡みついています

 特別公開の締めくくりは、日本最古の茶畑。手前に築かれた石垣は鎌倉期のものだそうで、これも言われなければ知らずに通り過ぎていました。茶畑は広くはありませんが、明恵上人が中国から贈られたお茶の種を栽培したもので、これは遺伝子分析で、中国のものと同じであることが解明されているとのこと!そして、なかなか見ることができないと言われているお茶の花が咲いているのを見ることができてluckyでした!


鎌倉期に造られた石垣






なかなか見ることができないお茶の花

 そして、明恵上人が栽培したお茶を始祖とする宇治抹茶を頂いて締めくくり。




栂ノ尾の由来にもなった栂の木




金堂の前は林が開けていますが、これは一昨年の台風の仕業。。クラウドファンディングの寄附でここまで修復




裏参道から上がって、表参道から下りたので高山寺最後の写真がこれ

 高山寺の後は、明恵上人が稚児僧として入山していた神護寺へ。。坂道を下り上り、結構きつい!




屋根の下には雪が残っています


厄除け祈願して瓦投げ

 その後瞬く間に感染者が急増してしまい、再び気軽に出かけられる状況ではなくなってしまいましたが、今回は実際に見て話を聞くことで色々な知識を身に着けることができました。コロナ禍ではリモート参拝も止む無しですが、本当に現地に赴くことの大切さを再認識しました。一日でも早く、穏やかな状況に戻ることを望みます。
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ぶらりユーラシア写真展に行きました♪

2021-11-14 20:02:38 | アート・文化
 新宿のオリンパスギャラリー東京に、72歳でユーラシア大陸を列車で通訳もガイドも付けずに一人旅された写真家の大木茂さんの「ぶらりユーラシア」写真展を見に行ってきました。



 ロシア、中国、カザフスタン、トルコ、イタリア、フランス、スペイン・・・日本から欧州に向かうときに上空をなんとなく通り過ぎたような気がする国や街の様子が大判に伸ばされた写真を通して伝わってきました。海外での写真撮影は苦労が多かったようで、高速列車の先頭の写真を撮りにいってとがめられたり、国境で撮った写真を消せと言われたりもしたそうです。

 たわわに実ったブドウを市場で売る女性、タクシー代が思ったより安かったので奮発したらメルセデスで来てくれた運転手さん、車のトランクを開けた中にこれでもかと荷物を積んだ乗用車、写っている人たちの表情やしぐさが生き生きとしていて、その場にいるような感覚が伝わってきて、見ていて自分も現地に行ったような気分になれました。

 でも撮影した大木さんは、「実際に現場へ行って見ることが大切」と仰っておりました。コロナ騒動で海外旅行が別の意味で夢のまた夢になってしまいましたが、落ち着いたらこんな旅がしたくなりました。




↑私も行ったことがある北京の写真をバックに撮りました
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絵本3粒のぶどう家族完成朗読会&原画展

2017-10-22 11:39:00 | アート・文化

 重度の障害を持つ詩人の藤枝利教さんの絵本を出したいという夢・・・私はこの夢を実現するためのプロジェクトに参加させていただいております。その完成朗読会&原画展が2017年10月14日につくば市の「つくば市民ギャラリー」で行われました。



 「3粒のブドウ家族」は藤枝さんが幼少期にある施設で受けた虐待をもとに作られたお話で、障害で手と口の自由がきかない藤枝さんがヘッドギアにつけられた棒で一文字一文字打って、12年もかけて完成させた作品です。
 この作品を絵本にしたいという藤枝さんの夢が、プロジェクトを立ち上げた橋本美佳さんをはじめ、クラウドファンディングで寄付を頂いたみなさま、20枚以上の挿絵を描かれた野歌つぐみさん、藤枝さん作詞の主題歌「アオシのように」を作曲・編曲された順いづみさん、CDの録音に携わった朗読メンバー、多くの人たちが力を合わせてCD付き絵本という形で現実のものとなったのです。この中で私は、イノシシの声の朗読を担当させていただきました。

 朗読会は先月9日に東京の新富町に続いて2回目、この朗読会でプロジェクトとしてはひと区切りとなります。

 会場入りしたのが朝の9時、何もないがらーんとしたギャラリーに原画を飾り、藤枝さんの詩を書いたパネルを掲げ、椅子を並べて、音響装置とキーボードの準備、会場らしくなっていくごとにテンションが上がってきます。3方を池に囲まれた会場の窓際のパネルを開くと水辺の景色が背後に広がって素敵な会場に仕上がりました。流れを大まかにつかむ感じでリハーサルを進めていると、ちらほらと来場者の姿がみられます。







前回は都内での開催で、狭い会場ながら30人ほどの来場者で満席でしたが、今回は東京から少し離れたつくば市なので、どれくらいの人が入るか不安がありましたが、開演時間を迎えるころには並べてある椅子では足りず、別の場所から椅子を追加する盛況ぶりです。会場にも置いてありましたが、当日朝の情報紙「常陽リビング」に掲載された公演の記事を見て来て下さった方が多かったそうで、タウン紙の影響の大きさにびっくりです!




 開演の時間を迎え、開会の挨拶、絵を描かれた野歌さんの挨拶に続いて藤枝さんの挨拶、これを代読させていただくのが私。挨拶文は文章にして15行ほどですが、藤枝さんがこれを打つのに長い長い時間を掛けていることを思いながら、ひとつひとつの言葉を大事に読ませていただきました。そして、締めの部分は藤枝さんにトーキングエイドで読んでもらいました。

 いよいよ絵本「3粒のぶどう家族」の朗読。CDと同様に5人の朗読メンバーでの群読です。イノシシ役は台詞は多くないのですが、イノシシがその場にいる設定の場面が多いので、そのあたりはあたかもその場面にいる気になって話の中に身を置きます。ストーリーに合わせて入るB.G.M.が話を盛り上げてくれて、心地よく語れました。



 B.G.M.がイントロに変わってSaigottimoさんが歌う主題歌「アオシのように」。テンポ良い曲で、藤枝さんの作詞に今回ピアノを担当されている順いづみさんが作編曲したもので、「3粒のぶどう家族」のストーリーが基になっています。

ここで、前回のプログラムにはなかった絵本の感想文の読みが入ります。藤枝さんの地元茨城県日立市の小学生たちが絵本を読んだ感想を寄せてくださったもので、学年ごとに文章ずつで私は2年生を担当しましたが、どの学年も話の主題をよくつかんでおり、小学2年生になりきりつつも感心しながら読ませていただきました。

 続いて、順いづみさんのピアノ「グレイウインド」、橋本美佳さんが歌に加わって「ともに愛」、どちらも順いづみさんが作曲された曲で、本当にメンバーが持ち味をよく出しているイベントという感じでした。

 藤枝さんは、詩人として「春雪トンネル」という詩集を出しています。朗読の締めくくりは、その詩集に収められている詩の朗読です。海辺の季節の移ろいを描いた「秋空のこよみ」、クリスマス・イブの街の風景を猫の目線で読み取った「クリスマス・イブとドラ猫」などなど、車椅子に乗りながら移動も大変なのにどうやってこれだけの感性を身に着けたのか、本当に感心しました。

 そして、絵本になくてはならない絵を描いてくださった野歌つぐみさんのギャラリートークは、ぶどうやアリをどう描くかで苦労した話と本業の看護師さんとして見た虐待の話でしたが、「3粒のぶどう家族」をもっと広めないといけないと思いました。

 フィナーレは、「アオシのように」を全員で合唱。来場者の中にも絵本にある歌詞を見ながら歌ってくれた方がいらしたのがよかったです。

 今回のプロジェクトは、メンバーが朗読会やライブで知り合った人たちが多く、それぞれのメンバーが特技を活かして完成させたもので、とってもよい経験になりました。プロジェクトのきっかけを作ってくださった藤枝さん、メンバーのみなさま、ありがとうございました。こんな素晴らしいプロジェクトに協力させていただけて、嬉しかったです。

 そして、遠くからご来場いただきましたみなさま、本当にありがとうございました。
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『夏目漱石没後百年 朗読と絵画で綴る「吾輩は猫である」』を見てきました

2016-11-06 23:50:21 | アート・文化

 11月5日、高円寺「山椿美術館」で開演された『夏目漱石没後百年 朗読と絵画で綴る「吾輩は猫である」』に行きました。

 「吾輩は猫である」の英訳版が“I am a cat.”になっていて、「そりゃそうだけどさぁ」と思ったと、夏目漱石のお孫さんである夏目房之介氏は「孫が読む漱石」に書いていました。氏は、”I am a cat.”が逆輸入されたら、「私は猫です」「私って猫」になるのか?吾輩というニュアンスが現代日本には既にないのであるとも書いています。確かに、今どき自分のことを吾輩などという人は皆無だろう。この作品が書かれたのは1905年~06年、今から110年も前のことだから、無理もない。

 この「吾輩は猫である」、タイトルと書き出しは有名だけど、全部読んだという人は少ない。事実、この日の会場での「全部読んだ方いらっしゃいますか?」の問いに手を上げた人は数名に過ぎなかったし、私もあまりの長さに斜め読みしたり、面白そうな章だけ読んだりして、全文は読んでいませんでした。

 今回の朗読は、長い長い作品を短くしたものでしたが、“朗読と絵画で綴る”というだけあって、ステージの後ろには猫を題材にした絵画が並び、朗読者の背後には話の展開に合わせて場面を描写した絵が出てくるといった趣向が斬新でした。あらためて聴いてみると、猫目線で見た人間界の描写と、好奇心旺盛な猫が雑煮を食べて難儀したり、三毛猫に恋したり、物事を体験せずに生涯を終えてはつまらないとビールを飲んだりの体験談が面白く、小説全文をきちんと読んでみたくなりました。

朗読 鉄腕アトムの声優さんの清水マリさんと橋本美佳さん



なんでも鑑定団 木澤雅博さんと清水マリさんのトーク



清水マリさんはアトムに続いて、妖怪人間ベム、マグマ大使の声を担当されましたが、マグマ大使で初めて人間の声ができて嬉しかったと話されていました。

集合写真



前列左から、木澤雅博さん 清水マリさん 千々松幸子さん(ピョン吉くん)
後列 美術館オーナー市川百色子さん 橋本美佳さん 野歌つぐみさん(画家) 安部恒美さん(画家) 伊東正次さん(画家) 順いづみさん(ピアノ)
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