山に入って木立を見上げれば、碧空に、
6回目の干支に入って、なお、
森の精、泉の精に、木の精と
出逢ったことがない。
羊飼いと群れの監視するアルカディアの神、
山羊のような角を持ち、
臀部と脚部は羊の四足獣姿の
精力あふれる、パーン。
狩りを終えて山を下りる道で現れた、
野に住む、
歌と踊りが得意な、
若くて美しい女性姿の、
ニンフに恋をした。
生娘でいたいニンフは執拗なパーンの誘いを、
断り逃げ走り、追いかけるパーン、
川の土手で捕らえられた野のニンフ、
水中のニンフに助けを叫び、
パーンの手が体に触れた時、ニンフが・・
川辺の葦になってしまった。
山がら吹く風に葦から、
悲しげな旋律でニンフの音が、山にこだました。
孤独になったパーン、ニンフを讃え、
数本の葦をちぎって、
山脈の頂に、空に響けと、
楽器を造る。
パンフルート。
今年は、庭園や牧場に花を咲かせ、
家畜を見張り、狩りの獲物を提供し、
守護する泉の水を飲む者に、
予言の力を授けたり病を治すという
山の精、谷の精、木の精、森の精、川の精、
ひと目逢いたくて・・・。
アルカディア「牧歌的な状態」トマス・コール(1836)
〜 The Lonely Shepherd 〜
Gheorghe Zamfir
(ルーマニア・1941~)
パン笛のマスター
八王子、今日も穏やかな陽差しでした。