イタリアワインかぶれの料理人

イタリアワインとコーヒーが大好きな料理人が、呆れるほど愉快に溢れるイタリアワインの魅力を伝えていきます。

マキアヴェッリ社のキアンティ クラッシコ リゼルヴァ ヴィーニャ ディ フォンタッレ 1997

2012-10-25 09:43:42 | ブログ

Photo 今回のイタリアワインは、キアンティ クラッシコ リゼルヴァ ヴィーニャ ディ フォンタッレ(Chianti Classico Riserva Vigna di Fontalle)1997です。抜栓し一口めは、フレッシュなブドウ ジュースを思わせる味と香り。色も老成した濁りはなく、透明感があり深遠なルビー色。味わいに複雑さはあるがアルコール感がなく、「あれれ」といった感じでした。
注がれたワインはグラスの中で大きくアクビをしています。淀みの中に浮かぶ泡沫のように、そろそろと浮かび上がりながら、果実味にエーテルのドライブ感を与え、そして、酸が加わりアンゴラのような滑らかなタンニンが実に気持ちのよい後味を残します。味覚がフェードインするように徐々に覚醒されます。バランス感覚が整然とした上品な味わいは、華奢な作りのフレームの中に、背景が鮮やかな絵画でも見ているような印象を深く残します。
スミレやアイリスの香りが、このキアンティにはあります。近頃のキアンティはプラムのような果実の香りに、ココアやチョコレートの香りのニュアンスを感じさせることがありますが。以前のキアンティに感じていた味わいや香りのニュアンスを思い出させてくれました。
キアンティの味わいや香りの表現方法の変化は能動的なのか受動的なのかは解りませんが。動きがあることだけは確かだと思います。最近リストに加えた2006や2007は5~6年から10年後が楽しみなワインです。しかし、将来の姿を言い当てることは難しく、確信がある訳ではありませんが。それにしても、趣向の変化を的確に捉え、趣向の変化に対応したキアンティならよいのですが。方向性を見誤ってほしくはないと思っています。長距離を走るマラソン ランナーがマッチョな肉体に作り上げることはしないと思います。