イタリアワインかぶれの料理人

イタリアワインとコーヒーが大好きな料理人が、呆れるほど愉快に溢れるイタリアワインの魅力を伝えていきます。

大七 木桶 純米キモト

2009-07-09 09:17:57 | 食・レシピ

日本酒に生酛造りというのがあります。生酛造りと乳酸発酵というキーワードだけを記憶に日本酒好きのSさんに、このことを話していたことがあり。その事を覚えていただいて、大七酒造の木桶で醸した純米生酛をわざわざ持ってきて頂きました。私の記憶にある日本酒は、味わいに酸があったような気がしています。かれこれ、30年以上も真剣に飲んだ事がないので、日本酒事情がさっぱりわかりませんが。この大七は甘さの中におぼろな輪郭の酸が後口の最終章をクリアーに締めくくっています。若かりし頃教えられたうまい酒は、このような味がしていたような気がします。燗もいろいろ試してみましたが40度以上に温度を上げると、苦みがざらつくような気がしました。私は緩々としたダラ燗が好きなこともあり、人肌に温もった頃か、室温が美味しく頂けました。酔いを楽しみながら、思いついたことは、ヴェルディッキオに雰囲気が似ているなと思ったことです。それよりも、プロヴェンツァ社のルガーナがより似ているかなと考えながら。そう言えば、ソアーヴェを灘の剣菱に例えていたことを思い出し、懐かしく思いながら。あの頃の若気のいたれり、とピュアーな自分、そして苦さと温もり。器の中の風景が語り掛けてくれることは、ほろ苦い思い出を酔い心地の良いお酒が、楽しいことばかりを記憶の書庫から取り出してくれます。


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