塩漬けとパスタを茹でる時に使用しているのは天日塩です。一袋25kgの選別をしていないタイプをザルで2種類に分けています。以前は飾りや牡蠣を安定させるために敷いて使用するために粗い粒だけを別にしていたのですが、管理が大変で現在は止めています。この塩は原料用で、塩の加工品が作られます。もとは原料用なので価格も1500円と安め。安くても天日塩なのでミネラルもたくさん含んでいます。しかし、粒が粗いので料理用には使用していません。
それにしても安いと言っても、無駄には使いません。パンチェッタを作る時は脂身を下にして、下に粗い粒を敷き詰め水分をその間に落とします。その他は細かい粒で巻き塩にします。トントロ(Guanciale)も同じように作ります。
今回抜栓したイタリアワインは、C.O.F. メルロー “ヴィーニェ チンクアンタアーニ”(Colli Orientali del Friuli Merlot “Vigne Cinquant'anni”)です。このワインは現在のインポーターが取り扱い始めの時は、リストにあったのですが。いつの間にかリスト落ちをしていたワインです。初めて試飲した時はメルローにしては随分と硬い味わいであったように記憶をしています。時が過ぎ、色々なメルローに出会う機会に恵まれ、次第にフリウリのメルローをリストに加えなければと考えるようになりました。それと、トレ ヴェネツアのワインに徐々にシンパシーを感じるようになったからです。
ミニ試飲会にお披露目してくださいと担当にお願いしていたのですが。無理をして提供してくれることになりました。
外観はメルローそのもの、香りも上々、味わいもほぼ仕上がっていると思いました。難を言えば、ミッドレンジに厚みが出てくれれば、ふっくりとした味わいに抜群の存在感を感じさせてくれるのではないかと思いました。何といっても苦味に旨味を感じました。コメントは下記のようにするつもりです。
「コーヒー、スグリ、マラスキーノ チェリー、なめし革、ココアの香りを扇情的なスパイシーな香りが包み込んでいるようです。柔らかさが幾重にも巻きついた酸と存在感があり滑らかさだけが溶融したようなタンニンに静穏な苦み、芳ばしく曇りのない清純な果実味、暗く深く澄んでいる凄艶な味わいは、フレッシュで心地よさを憂わしげに包み込むようなアフターテイストに長い余韻が続きます。」
昨日の魚です。春の、この時期に美味しくなる魚がカサゴ(アラカブは九州の呼び名)です。煮崩れるくらいマルサーラと昆布出汁で炊きます。
この日の一番の仕事は豆焼き、モカG1 サキソーは3回目にしてコツを飲みこみました。写真では解りにくいと思いますが。フルシティーのチョイ手前ぐらいに焼くのが私流です。紅玉、ヴィノッソ、白い花、玄米を炒ったような香り。そこはかとない酸味にココアのような心地よい苦み、フルーティーなアフターテイストを感じます。最近スペシャルテーコーヒーが出始めていますが。これは、一部の組織が独占できるコーヒーではありません。公的機関がカッピングテスト85以上の豆について、便宜上使っている言葉です。当店に入荷する生豆も、ブルマンとハワイ コナ エクストラ ファンシー以外は価格と品質はそれなりに連動しています。今回購入した、サキソーとボールド グレインはマタリから比べると15%から20%くらい高い豆になりますが。個人の好みの問題は別にして、香りや味わいの構成要素と価格は連動しているように思えます。しかしマタリはそれでいて、捨てがたい魅力は在ります。