後藤家の初二代について、未だ確かな研究がなされていないのが現状。これまでは江戸時代の極めに従った評価に、最新の研究を重ね合わせて判断しているようだが、「これこそ確かな初代の作である」と説明できる資料がない。それが無銘物のつらいところでもある。初二代が同時代を生きており、同じ工房で製作しているのであれば、初二代の作品に区別できないところが生じよう。どこで線引きしたらよいのであろうか。造り込みや作風、鏨使いが後代の作品群とは明らかに異なる作例を採り、これこそ初代の作であると判断せざるを得ない。以前にも述べたが、二代と極められた作品の中には、初代の作もあるだろう。両者が手がけた例もあるだろう。
それゆえ、在銘作がほとんどない三代あるいは四代も含め、初代、二代というように分けて捉えようとするのではなく、作品そのものの素晴しさを鑑賞したいもの。
三疋獅子図小柄 紋祐乗 紋宗乗 紋乗真 光壽(花押)
後藤十一代通乗光壽が極めた、初、二、三代の獅子図小柄。各々の笄などから紋を取り、赤銅魚子地に据紋したもの。後藤家の上代の作には小柄が少ないため、後に三所物が必要とされた際には笄などを小柄に仕立て直す例があった。仕立て直しも光壽。裏板や縁の魚子地仕立てなどに装飾性が強く意識されている。
それゆえ、在銘作がほとんどない三代あるいは四代も含め、初代、二代というように分けて捉えようとするのではなく、作品そのものの素晴しさを鑑賞したいもの。
三疋獅子図小柄 紋祐乗 紋宗乗 紋乗真 光壽(花押)
後藤十一代通乗光壽が極めた、初、二、三代の獅子図小柄。各々の笄などから紋を取り、赤銅魚子地に据紋したもの。後藤家の上代の作には小柄が少ないため、後に三所物が必要とされた際には笄などを小柄に仕立て直す例があった。仕立て直しも光壽。裏板や縁の魚子地仕立てなどに装飾性が強く意識されている。