鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

魚図小柄 紋宗乗光孝 Sojo-Goto Kozuka

2012-05-18 | 鍔の歴史
魚図小柄 (鐔の歴史)



魚図小柄 紋宗乗光孝(花押)

 釣り得たものであろう、ススキや杜若などの植物の茎を通した魚の図。赤銅魚子地に高彫金色絵。釣りという行為や道具を描くのではなく、日常の何気ない光景に目を向けたもので、自然に生きる者の存在が窺いとれる図柄でもある。後藤の後代に魚尽図があり、本作に比較してより写実的な作風であり、作者の意識など自ずと題を得た理由の違いや、感性の違いが浮かび上がってくる。古いということ、時代の経過によって変質した表面の風合いも鑑賞の要点。笄に直したのは光孝。