弓矢に冥加あり図小柄 (鐔の歴史)
弓矢に冥加あり図小柄 紋乗真光孝(花押)
後藤家に限らず、時代の上がる所謂古金工の作にはその時代の道具を図としたものがある。武士の身の回りに存在するものであれば理解できるのだが、使用されなくなって全く理解できない図も頗る多いのが現実である。それが故に作品を紹介する上で苦労する。写真は弓矢に茗荷の採り合わせになる図。判り易い物だが、この取り合わせは、現代では理解し難い。古く「弓矢に冥加あり」の謂いがあった。武士として弓矢に長じていることに誇りを感じていた意識を示したものである。作品として面白いのは、冥加を茗荷に擬えて添え描き、さらに蟻をも描いている。今では駄洒落と切り捨てる人もいるようだが、我が国の古典には言葉遊びが備わっている。赤銅魚子地高彫金色絵。地板をはみ出すほどに大きく描いているところに乗真の特徴がある。
弓矢に冥加あり図小柄 紋乗真光孝(花押)
後藤家に限らず、時代の上がる所謂古金工の作にはその時代の道具を図としたものがある。武士の身の回りに存在するものであれば理解できるのだが、使用されなくなって全く理解できない図も頗る多いのが現実である。それが故に作品を紹介する上で苦労する。写真は弓矢に茗荷の採り合わせになる図。判り易い物だが、この取り合わせは、現代では理解し難い。古く「弓矢に冥加あり」の謂いがあった。武士として弓矢に長じていることに誇りを感じていた意識を示したものである。作品として面白いのは、冥加を茗荷に擬えて添え描き、さらに蟻をも描いている。今では駄洒落と切り捨てる人もいるようだが、我が国の古典には言葉遊びが備わっている。赤銅魚子地高彫金色絵。地板をはみ出すほどに大きく描いているところに乗真の特徴がある。