toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「ボニン浄土」 宇佐美まこと

2020年07月08日 | 読書日記
全く関係のない3つの話から始まる。
3つの話が少しずつ語られるという一番嫌いなパターン・・・かと思ったら、次の章では最初の話だけ完結するまで一気通貫。
その後、残り二つの話が互いに関係しあいながら登場する展開だったのでそれほど読みにくいことはなかった。

「ボニン」と言うのは無人島の「無人」がなまったもので小笠原諸島のことらしい。
日本人が発見したのち鎖国で大型船が無かったため放ったらかしにされている間に、いろんなところから来た人達が住み着いて、日本からはたまに遭難した船がたどり着いては日本に帰って行ったらしいが、最初の話はその話。

続く章からは残りの2編の話の続きが小笠原諸島を舞台にして交互に続いていく。
小笠原諸島にまつわる歴史が会話の中に有って、自然と理解できる仕組みになっていてお得な構成。
2篇の話は微妙にシンクロしあい、やがて最初の話とも繋がって壮大な物語になって行く。
物語の合間に小笠原の自然や文化もふんだんに登場して小笠原の魅力が満載。

最後のカリヤの告白は要らない。
そこまで読めば誰でもわかるし、最後はカリヤが幸せに過ごしている場面で十分。




小学館
コメント
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