toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「どっこい生きてる90歳」 樋口恵子

2022年07月09日 | 読書日記
「老い」だけでなく、様々な社会問題に対しての辛口エッセイ。

軽薄そうなタイトルから、勝手に赤瀬川原平の「老人力自慢」とか吉行和子の「老嬢は今日も上機嫌」のような、老いることを笑い飛ばすような内容かと思ったら、結構シリアス。
これから自分も仲間入りしていく世界の先輩の知恵を参考に・・・と言った気持ちで読み始めたら全く違う内容だった。
上手に歳をとるための指南書を期待している人には残念だけど、読んで損はない。

樋口恵子の本は(多分)初めて読むけれど、核心をズバズバ突いてくる発言は読んでいて気持ちいい。
瀬戸内寂聴とか佐藤愛子とか落合恵子なんかの書く社会派エッセイの世界に近いかな。

辛口だけど、難しいことは言ってないし、活字が大きくて読みやすいのですぐに読めてしまう。
ちょっとした隙間時間に読むのにお勧め。



印象に残った文章は、

きのうできてたことが今日できないことがある。

(長寿とは)同期の人を、より多く見送り、悲しみに沈む体験をより多くすること。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「コンビニたそがれ堂セレクション」 村山早紀

2022年07月09日 | 読書日記
「コンビニたそがれ堂」シリーズ(読んだことなかったけど・・・)から抜粋した4作に書き下ろし1作を加えた一冊。

村山早紀の一部ファンタジーと言う作品は何冊か読んでるけど、設定そのものがファンタジーと言うのははじめて。
いつも中途半端な感じがしていたけれど、最初からだと違和感が無くて良い。

どの作品もいかにも村山早紀という物語。
おまけのような後日譚が付いているけれど、どれも無かったほうがいいと思った。



ポプラ社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「さんず」 降田天

2022年07月07日 | 読書日記
「さんず」とは三途の川の「さんず」、と言うことで、自殺したい人の手助けをする有限会社(組織?)。
心残りが有って死ねない人に対して、それを解消して死ねるようにしてあげるサービスを提供するという何とも突飛な設定の連作短編集。
面白いんだけど、自殺したいと思うだけあってそこに至るまでの内容がどれも壮絶で読むのが辛くなる。
各話で、物語が終わった後、後日譚のようにくっついている部分は余計かと思っていたら、この部分が全体のストーリを構成しているという仕組みになってました。




小学館
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ナゾトキ・ジパング」 青柳碧人

2022年07月06日 | 読書日記
タイトルや表紙の絵から想像できる通りのコージーミステリの連作短編集。
探偵役が日本通の留学生という設定がユニークで、各物語のテーマが桜、富士山、茶道、すき焼き、京都と彼が喜ぶ内容になっている。

ライトミステリとしてはまずまずで、ライトノベルとしては良い方な。

書き下ろしの短いエピローグは中途半端。
これだったら無い方が良かった。





小学館
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「揚羽の夢」 朱川湊人

2022年07月04日 | 読書日記
「知らぬ火文庫」と副題のようなものが書いてあるので調べてみたところ、光文社の「ジャーロ」という雑誌にその名前で連載していた短編小説と言うことらしい。

各話の前に、「『方丈記』より」とか「『平家物語』巻第○・・・より」と書いてあるから、それを基にしているか、そこからヒントを得て書いたということかも。。
(と言われてもどちらも読んだことないから良く分からないけれど・・・)

鴨長明が主人公の連作短編集と言った感じだけど、『方丈記』をうたってない2作に鴨長明は登場せず、その2作は内容もちょっと分かりにくいしつまらない。
第五話「餓鬼京」の喰い残しこと雨里の物語は悲しすぎる。

朱川湊人と言うより青山文平と言った感じで、舞台は平安京だけどやっぱり朱川湊人は昭和の下町がお似合い。





光文社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「錨草」 草川勝

2022年07月02日 | 読書日記
色んなタイプの短編集。
みんな面白くて読みやすいので、すぐに読み終わってしまう。
ただ、どの作品も完成度にもう一歩感があるし、細かい部分に色々突っ込みどころとか、何を言ってるのか分からないところが有る。
もしかして自費出版で第三者の推敲などが無かったのかも。


「さようなら、ジェシカ―復讐するは我にあり 我これに報いん―」は星新一を連想させるような作品。
ネタばらしの後の2ページは余計な感じだし、副題の意味も不明。
もしかして私が理解できないだけで、この後に何かが起こる?

「ニンジンの恋」はカレーを食べると思い出す、子供時代の淡い恋の物語。
最後の会話の部分のツメがちょっと甘い感じで惜しい。
それに週に2回もカレーなのにそのたびに思い出すというのもちょっと・・・・。

「夕暮れの微睡」は前作と似たテーマの内容。
同窓会の場面は空想?
私の理解力が無いのか、説明が足りないのか、ちょっと意味不明なラスト。

「凍える心の河底で」はホラーテイストの作品だけど、ちょっと中途半端な感じで内容もイマイチ。
これは入れない方が良かったんじゃないかな。

「錨草―貴方を離さない―」(表題作)は後半半分を占める長めの作品。
この作品が一番完成度が高い。
これを冒頭に置いた方が、一冊の本として良い感じになったと思う。




自費出版
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする