軍人歌人として知られる斎藤瀏。戦前の歌壇を、大きくファシズムの方へ転換させ、戦後には公職追放になりました。2・26事件の実行犯でもあります。その斎藤劉が、自らの心情を、幕末の尊王攘夷の志士になぞらえた歌があります。各種のアンソロジーでは紹介されないので、ここで紹介したいと思います。 . . . 本文を読む
「ノモンハン事件」。日米開戦に先立って起った日本とソ連の軍事衝突です。日本軍は大損害をこうむったのですが、その詳細は終戦まで明らかにされませんでした。ただ「戦死者が出た」。と国内には伝わりましたが、坪野哲久はこれを短歌作品として残しています。 . . . 本文を読む
戦後の「アララギ」中心だった土屋文明。終戦の年の6月には群馬県吾妻郡に疎開します。ここで数年間を過ごし、おりおり上京しては「アララギ」復刊と再建に取り組みます。その時代の一首。人口に膾炙した短歌作品です。 . . . 本文を読む
前衛短歌の歌人のひとりに数えられる寺山修司。終戦時に満10歳。この少年にとって「昨日まで戦争に邁進していた祖国」「実は戦争にはんたいだった」「昨日まで言っていたことは間違っていた」と言う大人への根本的な問いがあったでしょう。「国家とは何」「社会とは何」。そして「祖国とは何」。・・・ . . . 本文を読む
塚本邦雄の作風の特徴は、暗喩(「ごとし」「~のように」を使わない比喩)を使ったことでしょう。そのため難解歌になる傾向があるのですが、暗喩を使わなくても難解、あるいは解釈が分かれる場合が多々あります。この作品もそのひとつでしょう。 . . . 本文を読む
伊藤左千夫の弟子のなかで、「写生」をリアリズムに発展させたのが土屋文明。「叙情詩人からリアリズムへ転換」というのは岩波文庫「土屋文明歌集」の帯文にある言葉です。6月23日は「アジア太平洋戦争」末期の沖縄戦が終結した時期。組織的な日本軍の戦闘はこれを以て終結したと言われます。その戦争を戦前・戦中の土屋文明はどう見ていたか。興味のあるところです。 . . . 本文を読む
原子力発電所。今度の震災で「原子力災害」を引き起こしていますが、短くて数週間、長くて数か月、放射性物質を出しつ続けるという見通しが出されています。そういったことをいちはやく短歌作品に詠み込んだ短歌作家がいます。塚本邦雄です。 . . . 本文を読む
昨年、歌人の玉城徹が亡くなりました。そこで思いだしたのは、僕が十年以上前に買いあさった短歌関係の書籍のなかに玉城徹の著作があったこと。そのときは内容が難解でほったらかしていたのですが。 . . . 本文を読む