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岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

「星座α」24号:作品批評・茂吉と佐太郎に学んで

2021年04月08日 23時07分00秒 | 作品批評:茂吉と佐太郎の歌論に学んで
「星座α」24号・作品批評

 人間を詠む(抒情詩の一つの視点として)

今号も収録する歌数にバラツキが出てしまった。前号は乱調気味と感じたからだが、今回は作品の豊かさゆえである。

・(母が幼子を詠う歌)

 今号は、この作者の作品に注目した。母となった作者が、子どもの成長に驚き、心を打たれている。その愛情は溢れるばかりだ。作品批評にない歌も是非読んで頂きたい。

・(母が子どもを詠う歌)
・(母が娘が身ごもったのを心に刻んでいる歌)

 子どもを素材とした作品を2首。母親や祖母としての子や孫への愛しみが感じられる。人間を歌の素材とするときは、相手に対する愛情が不可欠と考える。これは一つの視点だ。

・(いくつかの別れを経た歌)

 どのような別れかは問題ではない。細かい部分は捨象してもよいのだ。これを佐藤佐太郎は「表現の限定」と言い、尾崎主筆は「表現の削ぎ落し」と呼ぶ。

 ・(バスで席を譲られる歌)
 ・(過去にかけられた言葉に自分を振り返る歌)
 ・(一人居の部屋で自分の笑い声を聞く歌)
 ・(昼の電車で咳をする歌)

 四首目は、初句が七音だが、あまり気にならない。二句目以降に重量感があるからだろう。放哉の一句は「咳をしても一人」による。

 以上四首は、作者自身のことを詠んでいるが、悲しみや孤独感が漂い、相手への気遣いも感じられる。自己への思いやり、自分という人間への愛しみである。



 


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