僕はいま病気療養中なのだが、療養にはいる前から、近所(自宅より徒歩30秒)の集会所で短歌を学ぶ会を開いている。僕を除いて初心者。なかなか上達は難しく、メンバーの方がなくなったりして、会員の入れ替わりなどもあったけれども、このところある変化が。
一つは「新聞歌壇」を卒業したこと。本格的な専門歌人の著書などを読まずに新聞歌壇で済ます。短歌総合誌を読んでもあれこれ目移りがして、ひどい場合は「こんなのあるんですけど」とふざけた短歌をみせあったり、隠れて短歌大会に応募して他の人を出し抜こうとしたり。それをやっと「卒業」した。
そういう騒ぎの中心になっていた人は、「短歌で有名になりたい」という意識がありありで、困ったもの(しかもその人、地元の名士のつもり。行政の肩代わりをする役についていて市からヒョウシヨウされたりするので、鼻が高い)だったが、退会してもらってから会も少し落ち着いた。
「そういう人はいずれ歌の道から脱落する人です。」
とある歌人のアドバイス通り、今は短歌と無縁の生活をしている。まず「有名になりたい」「目立ちたい」という気持ちは捨てること。これが必要だ。それからまるでファッションのように短歌をやるのも長続きしない。
短歌は文学。新聞歌壇は読者サービスのようなところがあるから、あまり参考にはならない。まあ半分くらいは狂歌まがいのものがはいっている。それを全員が卒業したのだ。
二つ目。新しい人がはいって来た。「神奈川文化センター」が会社を解散し、「若葉台カルチャースクール」の講座も閉講になったので、そこの受講生がはいってきた。それから何と東北に住む方が、遠隔会員になった。いわば「通信会員」だ。年に二回は直接出席するそうだ。
そういう熱意は会を熱くする。「目に見えるものを『写』すことで、作者の心を『写』すことになる。」という岡井隆の言葉を理解し始めたのも大きい。当然作品も力作が多くなる。それは自分ではよくわからないが、僕から「どこがいいのか」を言うと皆はっとする。逆にどこをどう変えれば、作者の表現したいものが鮮明になるか、はっきりするとますます意欲が出る。
というわけで、なかなか充実してきた。教える僕も逆に多くのことに気付かされた。
通信会員大歓迎。(連絡先:090-8017-9217 岩田亨・携帯)