・自らの制御の出来ぬもの作り滅びてゆくかホモ・サピエンス
雁部貞夫(新アララギ)
福島第一原発。事故によりメルトダウンどころかメルトスルーを起こした。灼熱の燃料棒が原子炉の底を突き破ってしまった。安全ではなかったのか、5重の壁があったのではないか、津波は壁を越えないのではなかったか、電源喪失は起こるはずがなかったのではないか。
原子炉の底を突き破ったのをデブリという。放射線量が高いので取り出すのは出来ない。地下水が常時流れ込んでいるのでコンクリートで固める石棺も不可能。氷壁は失敗続き。制御出来ないのだ。
作品はこれをシンプルに詠んだ。アララギの手法である。
「滅びてゆくか」。深刻な表現である。人類が生存するには、原発からの脱却が必要だろう。