Field・Finder -野鳥写真へのいざない-

主に各地の里山環境にて撮影した野鳥写真です。
オオタカ生態写真の完全保存版 『里山オオタカ物語』 のデータを販売中!。

オオタカの撮影について(ラスト)

2019-08-17 08:04:49 | 写真

オオタカの撮影で、絶対に行かないところがある。 それは、巣作り、交尾の時期から抱卵、育雛まで趣味・遊びのカメラマンが集まり、大勢で営巣木を取り巻き長時間(3時間も4時間も)撮影している場所である。 このような場所には絶対に行かない。

このように営巣木の周りで何時間も撮影していると、オオタカは必ず営巣放棄する。と、思っていた方がよい。 放棄しなかったら、それはラッキー、たまたま個体差大で性格がのんびりやで、気にしなかったのだと思った方がよい。 そのように成功しても2~3年が限度だ。 やがてその場は荒らされ居なくなる。

カメラマンたちは感じていないだろうが、営巣放棄させたらそれはカメラマンの責任、カメラマンとして恥ずかしいことだ。と、思っている。 カラスのせいだなどと責任転嫁する人達がいるが、ほとんどがカメラマンの責任である。 だから私はそのような場所には一切行かない。 営巣放棄が目に見えている。

営巣地は他にもある。 そこにカメラマンが居たとしても、オオタカのプロ同士なら互いに邪魔はしない。 育雛写真なども撮るが、撮影時間は15~20分以内、それで十分だ。 3時間4時間などは言語道断。 何時間粘っても、ストレスを与えるだけで、何もいいことはない。 ほとんど鳴き声で動きを予想し、必要な時だけ撮ればよいのである。

カメラマンは彼らの命と対峙していることを常に考えるべきである。 命に責任を持ち、安易な撮影は慎むべきと考える。

という事で、9月中旬になると狩場にオオタカが現れ始める。 10月も後半になると、新たな繁殖シーズンが始まる。 どのようなシーンに出会えるか、出会う確率を上げるにはどうしたらよいのか、などを考えながら、素晴らしい写真を目指して撮影しよう・・・・。ではないか。

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オオタカの森

2019-08-10 08:31:17 | 写真

梅雨明け以降、連日の猛暑が続いている。 暑すぎて、ちょっと出かける気にならない。 涼しさが待ち遠しい。

私の住む地域では毎年、オオタカの繁殖状況調査が行われている。(情報の依頼があったので回答した。) 以前から行っていたが、希少種指定解除した後の動向も調べるためである。 東部には、これまで30ヶ所ほどの営巣地が見つかっているが、現在でも20ヶ所位ある。

自然公園等の周辺の林に多く、畑や水田などの農耕地に隣接する林にも生息している。 だが、通常は巣などは観にくく、撮影などができる場所は少ない。 行動も忍者のようで、身近にいる割に、観察しにくい野鳥である。

現在私が重点的に観察を行っている場所は、その中の市街地化最前線と呼ばれる場所、市街地に残る森だ。 この森はどうしても守りたいと思い、保護団体などを通し保全をお願いして来た。 だが市街地化の波や、昨今の異常な暑さなどで、厳しい状況である。

最近都市公園などで繁殖するオオタカの写真等を目にするが、野性味がなく動物園のペットのようで違和感がある。 都市進出もどうやら限界があるようである。 やはり里山環境で生きる、野性味のあるオオタカが見たいと思う。

早朝の朝もやを抜け、竹林や林をスーッと通り抜け、静かに杉の枝に降り立つ。 孤高で威厳があり、自然の中で出会うと神秘性を放つ。 オオタカにはそんなイメージがある。 オオタカはやはり里山の象徴、自然や周辺の地域の人たちの生活や、農家の方たちの生活等と切り離せないのである。

と言うことで、繁殖成功率は下降気味であるが、身近に20ヶ所ぐらい営巣地がある身近な鳥である。 各地域の中で多くの人に見守られ、多くの森が存続し、生息を続けていってほしいと思う・・・・。

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オオタカという鳥

2019-08-01 11:04:06 | 写真

野生のオオタカという鳥を一言でいうと、「非常に繊細かつ人間が嫌い」である。 この性質が根底に流れている。(と思っている。)

オオタカは個体差が大きく、行動や性格において「オオタカとはこれこれ」と言う基準が全く見つからない。 これは、群れで暮らす鳥ではないので、個々の能力の確立で生きているからのようである。 なので、前例や今までこうだったからという慣例が当てはまらない。

営巣放棄に関して言えば、こんな事をしたら営巣放棄するのではないかと思っても、大丈夫だったり、居なくなったと聞いて、なんでだろうと感じたりと、つかみどころが全くない。 したがって、観察するときは十分な注意が必要で、このくらいは大丈夫という慣れが最も危険である。

今まで大丈夫だったと言っても、今までと全く同じ条件など自然界にはありえない。 特に巣の位置が変わったりペアの相手が変わった時などは、十分な注意が必要だ。 そして根底には「非常に繊細かつ人間が嫌い」が常にあることを、心に止めておかなければならないのである。

だが営巣放棄しそうな場合、その兆候がある。 でも観察者がオオタカ以上に繊細な感性を持っていないと気付きにくい。 それは言葉では表しにくいのだが、オオタカが巣や営巣林からだんだん離れていく感覚があるのである。 ♂も♀も巣に長時間戻ってこないように感じる。 営巣場所が嫌いになったように見える。 こんな時危ないと感じる。 

オオタカはあきらめが良い鳥なので、一度ヤメタと決意するとあっさりとやめてしまい、そのシーズン二度と戻らないのである。 なので、危ないと感じたら即撤収し、様子を見るのである。

というように、観察者には経験と知識、感性が必要になってくるのである。(知識の浅い者は撮影しない方が良い。) 

放棄させないためには、見なければいいのだという人達がいるが、それでは生態を知ることはできない。 我々カメラマンは生態を十分把握したうえで、素晴らしい写真が撮りたいのである。
オオタカがいつまでも住める世界、その中で素晴らしい写真を残していきたいと思うのである・・・・。

*以上は個人的な意見であり、研究者等の見解ではない。

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