都城木青会の機関紙に「杉コレ一次審査を終えて」の原稿の依頼きた。思わず、2つ原稿を書いて出してしまった。
多分こちらの方が、「没」になったと思うので海杉の問答無用に掲載する。
日本を代表するデザイナーと建築家2人の格闘
杉コレクションの本当の魅力は、一次審査なのです。海杉は、過去3回の一次審査に関わってきました。どの、一次審査も思い出深いものでしたが、今回の都城での一次審査は、さまざまな面で勉強になった審査でした。ここからは、海杉独自の視点ですので、誤解のないようにお願いします。
まず、杉コレクションの場合、審査方法、審査の基準がどんなコンテストとも違うのです。杉コレクション流と言っても良いでしょう。作品のデザイン的水準を求めるのは、コンテストとしては当然ですが、さらに、内藤廣氏や南雲勝志氏の視点は、実物を作るという前提に立っていました。これは、構造や加工のテクニック、杉と言う材料のクセなどさまざまな面が、選ぶ側の力量が問われています。作品の大きさ、広がり感、形、杉の使用量などなど、全作品の傾向も重要なポイントとなります。どんなに素晴らしい作品でも、もし、選ばれた作品がベンチばかりだったらどうなるでしょう。そんな細かい配慮が感じさせる一次審査でした。作品の全体の出来やデザインのポイントを即座に判断してその中から最も優れた作品を開催場所である神柱公園をイメージに描きながら選び出す作業は、格闘技のような真剣勝負そのものでした。
海杉が思う杉コレクションが他のコンテストと一線を画くところに屋外での演出力があります。演出には、2つポイントがあります。実物作品と応募者です。一次審査通過者は、プレゼンテーターとなって木青会の製作した実物でプレゼンテーションを審査員に向けてするのです。しかし、これは、プレゼンテーターにとってはどえらい落とし穴なのです。杉コレクションには、一般の入場者が作品に触れているのです。一般の入場者は、審査には加わることはありませんが、この一般入場者が作品を引き立てるのです。杉コレクションは、木材関係者が出来なかった。いえ、やりたかった一般の人を杉で惹きつけるデザインを求めているわけで木青会のメンバーは此処一点に注目をしなければなりません。そうなんです。出来た実物は、作者の思いやコンセプトを越えて作品自体が説明し始めるのです。実物があれば、力のある、魅力あるデザインは、一般の人には説明は要らないのです。小手先のプレゼンテーションが全く通じないことに応募者は戸惑うでしょう。それが杉コレクションなのです。
海杉は、一次審査をマジかに見て日本のデザイン界で最も注目されている天才2人が選んだ作品のパワーは、杉コレクションIN都城の成功がゆるぎないものになったと確信しました。それどころか、今回の杉コレクションは、デザインコンテストの常識が変わるくらいのインパクトのあるかもしれないと予感しているのです。