ペルー地震 援助を切実に必要とする被災地
2007年10月05日
国境なき医師団@ペルー
8月15日にペルー沿岸部で発生したマグニチュード8.0の大地震により、約520人が命を落とし、1500人以上が負傷し、8万をこえる人びとが家を 失った。国境なき医師団(MSF)は地震発生の翌日に調査チームを現地に派遣し、8月17日に首都リマから南方200キロに位置する、被害が最も深刻な地 域のひとつであるピスコで援助活動を開始した。MSFはピスコを含む複数の地域で、医療ケア、心理ケア、水・衛生の整備、救援物資の配布を行うとともに、 援助から取り残された人びとを探し、彼らに援助を届けるべく活動を続けている。
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(C)François Dumont / MSF |
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[1]MSFの緊急コーディネーターであるルイス・エンシーナスは、地震発生直後に12トンの援助物資と共に最も被害が甚大だったピスコに向かった。「ま るで爆発の被害を受けた地域を見ているかのようでした。人びとは混乱状態のなか、呆然として通りをさまよっていました。ピスコ、チンチャ、イカなどの最も 被害が大きかった地域では、建物の50%~90%が破壊されました。」
[2]ピスコから南東100キロに位置する人口1万2000人の町グアダルーペにある唯一の診療所。地震発生後、診察の件数は2.5倍に 増加し、患者は適切な処置を受けられずにいた。MSFの医師は直ちに患者の治療を行い、医薬品や医療器具を寄付し、毛布を配布した。また、水もトイレもな い不衛生な環境で、ダンボールでつくった小屋で生活している人びとに対して、浴場とトイレを備えた水場を整備し、毛布や石鹸などの救援物資の配布を開始し た。
[3]MSFの移動診療チームは家々を訪問し、医療を受けられずに取り残された人びとを見つけた。チームの一員であるロレト・バルセロ医 師は、家屋が倒壊した際に子供を腕に抱いたまま壁に押しつぶされた女性と会った時のことを語る。「彼女の足は折れ、子どもは骨盤の多発性骨折に苦しんでい ました。しかし、子どもはギブスで固定されただけで、2日も経たないうちに退院したそうです。母親には整形外科手術が必要でしたが、医療スタッフが手一杯 だったために恐らく治療すら受けていなかったと思われます。」
[4]地震が過ぎ去ってもなお、被災者の心にはこれまで忘れていた辛い記憶が甦ってくる。身体に受けた深い傷と、地震による喪失と破壊か らくる悲しみという二重のショックを人びとが克服する上で、心理ケアは不可欠である。MSFはピスコ周辺で、子ども向けのグループセッションや個別カウン セリングを中心とする心理ケアプログラムも行っている。
[5]エンシーナスは、援助を必要とする人びとが存在する限り、彼らを助けるために行動することが必要だと訴える。「地震が発生してから 数週間が経ちましたが、被災者の状況は各国のメディアではほとんど報じられず、現地を去る援助団体も出始めています。しかし、MSFのスタッフは、援助を 切実に必要としながらも忘れ去られている人びとを目の当たりにしています。人びとがこのような状況に置かれ続けることを止めるために、今すぐ行動を起こす 必要があります。」
緊急コーディネータ、ルイス・エンシーナスの手記はこちらから
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【過去記事】
保守記事.16 海外も見てみよう
保守記事.16-12 海外にも目を向けよう
保守記事.16-18 結局、こちらも、まだ終わってない