2007年10月18日06時06分
自家用車の保管場所があることを示すため、車へのはり付けが義務づけられている「自動車保管場所標章」の製造をめぐり、独立行政法人「国立印刷局」と凸
版印刷の2法人が、標章の表示制度が始まった91年以降、警察本部や都道府県からの受注を独占的に続けていることがわかった。同標章を管理する警察庁所管
の財団法人「日本交通管理技術協会」(管技協)が作成した一覧表通りに、都道府県ごとに受注が割り振られていた。公正取引委員会も、こうした2法人による
受注状況について把握しているとみられる。
関係者などによると、保管場所標章は全国の警察本部や県が入札や随意契約などの方法で発注し、都道府県費で購入している。06年度では47都道府県のうち19府県で競争入札を導入しているが、いずれも一覧表通りの受注が繰り返されていた。
2法人は06年度に計約1100万枚の標章を納入。1枚の税抜き単価は約80円で、市場規模は年間約9億円。91年以降の事業総額は約150億円に上る。
管技協が作成した一覧表「必要予定数量」によると、都道府県別に数量が1000枚単位で書かれ、16府県が印刷局、31都道府県が凸版に割り振られていた。実際の受注も、原則、一覧表通りだった。
管技協の事業報告によると、管技協は標章の制度が始まった91年7月以降、警察庁からの通達を受けて標章の品質や在庫、年間需要数の把握などをおこなっている。同年3月、印刷会社8社に試作させ、製造業者を印刷局(当時は大蔵省印刷局)と凸版の2法人に決定していた。
関係者によると、このとき2法人と同庁、管技協の協議の結果、印刷局が、工場などの拠点のある16府県を、それ以外の31都道府県を凸版が受注することが決まり、初年度から一覧表も配布されていたという。
関係者によると、警察本部や県による入札や見積もり合わせは毎年4~6月に実施されるが、管技協は前年末の時点で一覧表を作り、2法人に
渡していた。96年ごろから一部の県で競争入札が導入されはじめたが、2法人はそれぞれ落札予定のない都道府県の入札に参加しなかったり、参加しても相手
よりも高い札を入れたりするなどして、一覧表通りの受注を続けているという。関係者は「一覧表は管技協からの割り当て指示と認識していた」と話している。
管技協は「公取委から調べられている最中なので、答えられない」。警察庁交通規制課は「一覧表を作っていたことは知らなかった。公取委の調べに予断を与えかねないので、問題があるかどうかのコメントは差し控えたい」と答えている。
【過去記事】保守記事.251 グデグデな対応
保守記事.251-2 ひどい対応