<知りたい!>さいたま・鉄道博物館 聖地あす開業
2007年10月13日(土)15:03
「鉄道の日」の14日、世界最大級の「鉄道博物館」がさいたま市にオープンする。JR東日本が発足20周年記念事業の目玉として120億円をかけて新設した“鉄ちゃん”待望の鉄道文化の拠点。歴史や教育の博物館としても位置付け、従来の見学型から体験型にシフトしたのが最大の特徴だ。【斎藤正利】
◇35両の実物、年代別に勢ぞろい
◇SLの揺れ再現、運転士気分に
◇80分の1、大迫力のジオラマ、延長1400メートル
入館は駅と同様、「Suica」「PASMO」が使える。駅改札風の1階入り口を入ると、左手に「ヒストリー(歴史)ゾーン」が現れる。
3階まで吹き抜けの大空間に、1872(明治5)年の開業時に新橋―横浜間を走った英国製「1号機関車」から200系の東北・上越新幹線まで、35両の実物車両が年代別にズラリと勢ぞろいする。中でも黒光りした蒸気機関車(SL)「C57」は圧巻。1877(明治10)年に京都―神戸間開業式で明治天皇が乗車した初代「1号御料車」は重要文化財だ。
国鉄初の特急をもとにした「とき」や特急「やまびこ」などの名物列車は座席に座れる。新幹線車両を真下から見学できるスペースも。戦前を代表する通勤電車「クモハ40」は再現された御茶ノ水駅ホームに展示。懐かしい駅弁の立ち売りも登場し、過去にタイムスリップした錯覚に浸れる。
◇
学校教育向けの「ラーニングゾーン」は、運転の模擬体験など、体験型展示に特化した。
SL運転士が数年かけて開発した「SLシミュレーター」は世界初とされる精巧な構造だ。車体の揺れなど、実際の運転状況をほぼ完全に再現しており、旅情豊かな運転士気分に浸れそう。館外に敷設されたミニ運転列車はATC(自動列車制御装置)やATS―P(自動列車停止装置)など、信号保安システムの機能を学習できる。
また、実物の自動改札機を設置した「駅構内」やメンテナンスの「車両工場」など、安全・安定輸送を裏方で支える鉄道マンの仕事を体験し、遊び感覚で鉄道の原理や仕組み、技術を学べる。
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最大の財産は旧交通博物館(東京・神田)が保管していた58万点の資料だ。開業時の測量図や時刻表、運賃・料金表など、創成期の資料から世界鉄道遺産、国鉄改革、JR東日本に関する貴重な記録が閲覧できる。
中でも明治時代の鉄道に関する公文書をまとめた鉄道古文書はここでしか見られないお宝だ。特急や寝台列車のヘッドマークなど、時代背景に合わせたゆかりの品々も陳列している。
また、鉄道模型のジオラマは、HOゲージ(実物の80分の1)としては国内最大。約200平方メートルのスペースに都市や農山漁村などを再現し、駅舎やトンネル、橋などの施設も配置した。線路の長さは約1400メートルで、模型の先頭車両に小型カメラを取り付け、走行中の迫力ある映像が観覧席から楽しめる。
年間の目標入館者は100万人。関根徹館長は「鉄道ファンだけでなく、幅広い層が楽しく学べる施設を目指した。企画展を年3回ほど開催し、愛される博物館にしたい」と話している。
◇アクセスは――
JR大宮駅から埼玉新都市交通ニューシャトルで「鉄道博物館駅」(14日に「大成駅」から改称)下車、徒歩1分。敷地は東京ドームとほぼ同じ約4万2000平方メートル。鉄筋コンクリート3階建て、延べ床面積は2万8200平方メートルで、旧交通博物館の4倍に当たる。毎週火曜と年末年始(12月29日~1月2日)は休館。入館料は一般1000円、小中高校生500円、幼児(3歳以上)200円。館内の乗り物などには別途料金が必要。問い合わせは同館(http://www.railway-museum.jp/ 048・651・0088)へ。
<こぼれ話>鉄道博物館は、クセになりそう /東京
2007年10月9日(火)10:37
14日にオープンする鉄道博物館(さいたま市大宮区)が、報道陣に公開された。お薦めは車両展示。中央に愛称「貴婦人」のC57形蒸気機関車がいる。北海道で1975年12月14日、私も乗っていた国鉄最後のSL定期旅客列車を引っ張った135号機だ。力強い汽笛が館内に響く。
その奥には昭和30年代以降の名車がずらり。東北線特急「ひばり」481系電車では、ボンネット型先頭部分の愛称板つけ替え作業を再現。それをホームで見つめる少年の人形は、昔の私と重なる。上越線特急「とき」181系電車の青い2人掛けシートに座ってみた。背もたれの倒れない旧タイプ。天井の冷房は懐かしい東芝製AU12型。父と少年が「食堂車でカレーライスを食べよう」と話す声が流れる。私も食堂車でカレーを食べるのが楽しみだった。
2階には鉄道模型の走る「ジオラマ」があり、JR東日本とJR東海の新幹線がすれ違った。幅25メートル、奥行き8メートル。縮尺80分の1のHOゲージで日本一という。残念なのは、ジオラマが大きくて遠くの細部が見えにくいこと。東京・両国の江戸東京博物館なら、江戸の街並みの縮小模型を双眼鏡で観察できるのだが。
このほか、私は新幹線運転シミュレーターで時速300キロを経験。日本初の蒸気機関車シミュレーターの操作は許可されなかったが、リアルな揺れを体験した。屋上から東北・上越新幹線と高崎、川越線の列車を眺め、楽しかった。そんなことを思い出していると、また同館に行きたくなってきた。【木下豊】
鉄道博物館がオープン ファンら殺到、入場中止(共同通信) - goo ニュース
「鉄道の日」の14日、鉄道博物館がさいたま市にオープンした。戦前、戦後に活躍した蒸気機関車(SL)など計36両、コンピューター制御の運転シミュレーターなどが一堂に展示されて、初日は親子連れや鉄道ファンら約9400人が詰め掛けた。午前10時の開館前には徹夜組も含め約2000人が列をつくり、開館後も入場者が殺到。危険を回避するとして午後1時ごろ、新たな入場を中止した。