

しばらく、根掘り葉掘り聞いてくる
芦さんを躱していると・・・。
芦「おお
話が長くなってしまったな


さてと・・・。」
やっと、お帰りか

芦「雪さん
あんた、利き手はどっちだ
」


雪乃「はぁ
多分、左だと・・・。」

芦「そうか
だったら、困らねぇ~な
」


雪乃「なに
」

芦「いや、その右手、そろそろ落とさねぇ~と、
命に関わるぜ
」
命に関わるぜ

雪乃「
」

芦「指先から、腐ってきてやがる

このままだと、身体の方まで腐っちまうだろ

先に、手首よりちょいと上で落とさねぇ~と
」

雪乃「・・・そう
・・・痛みが強いわけね・・・。」

芦「ナタか何か
あるかい
」


雪乃「・・・右の棚の中にあると思う・・・。」
芦「どうせ、もう動かねぇんだろ
」

雪乃「うん・・・
」

芦「大根の礼だ
儂が落として治療してやるよ


右腕とは今生の別れとなるが、いいか
」

雪乃「うん・・・悪いわね・・・お願いします
」

芦「何か、口に入れて噛んでおいた方が良いぞ
」

雪乃「大丈夫
さっさとやって
」


芦「わかった
」

それから、芦さんは、湯を沸かし、ナタを綺麗に
しているようだった

芦「それじゃぁ~、いくぞ
」

雪乃「うん・・・。」
台の上に腕がのせられ、大きな音が木霊する

「ドンッ
」

鈍い痛みが全身に広がってゆく

雪乃「・・・・。」
芦「今、止血してやるからな
」

芦という男は、手際よく処置をしてくれている

私は、全身に広がる痛みを感じながら、今まで
役に立ってくれていた右腕に感謝し別れをつげていた

芦「よし
これで大丈夫だろう・・・。

しかし・・・本当にうめき声ひとつ上げんとは

真似できねぇ~なぁ~
」

雪乃「・・・・。」
ここからは、自分との勝負・・・。
病と痛み・・・そこから出る高熱と戦いながらも
意識を保とうと必死に堪える・・・。
数日後

雪乃「ううっ
」

芦「おっ
気がついたかい
」


雪乃「・・・芦・・・さん
」

芦「もう大丈夫だろうよ

少し、喰えるか
」


雪乃「う・・ん
」

どうやら、芦さんは、私の身体が安定するまで
看病をしてくれていたみたいだ・・・。
雪乃「・・・芦さん・・・ありがとう・・・
」

芦「恨んでもいいんだぞ

あんたの大切な腕を切り落とした野郎だからな
」

雪乃「腕は失ったけど、命は拾えた・・・ありがとう
」

芦「はははっ
あんたは本当に利口なやつだ


尊敬するよ
」

雪乃「あれっ
病も治ってる・・・。」

芦「ああ
乗り越えたみたいだな


そう言えば、さっき寺の薬師がきて、お前さんの
血を取っていったぞ
血を取っていったぞ

しかし、容赦ねぇ~なぁ~

腕を失って、血が足りねぇ~っていうのに・・・
」

雪乃「それが・・・仕事だから・・・。」
芦「そんなもんかねぇ~
」


私は、芦さんが作ってくれた重湯を飲み、
一息ついた

それから、2日が経ち・・・。
腕の痛みは未だあるが、失った不便さの方が気になる

芦さんは、明日にはここを経ち、自分の修行に戻ると
言っていた・・・何だかんだで、沢山お世話になって
しまった・・・。
しまった・・・。
その夜

雪乃「芦さん・・・本当にありがとうございました
」

芦「いやいや
儂も救ってもらったからなぁ~


おあいこじゃ
」

雪乃「クスッ
」

芦「しかし、儂も後から考えたんじゃが
」

雪乃「
」

芦「あの時、あのままの方が、雪さんにとっては
楽だったんじゃないか
って、思ってな
楽だったんじゃないか


まあ、切っちまってから言うのもなんだが・・・。」
雪乃「ううん
おかげで命がつながったから・・・。

少しでも、人を救えることの方が、私には
大事だから・・・。」
芦「そうか
・・・そのこと何だが・・・。」

雪乃「
」

芦「儂は陰陽師と言っただろう

お前さんの腕を切り落としてから、お前さんが
生き残ることができるか

運命を少し算命させてもらったんじゃよ・・・。」
雪乃「そっか
・・・・で、どうだった
」


芦「うむっ
・・・まあ、儂の拙い読みじゃから、

信じんでも良いのじゃが、儂の読みでは、
後1年半というところか・・・。」
雪乃「・・・一年半か
・・・わかった
ありがとう



芦さんのおかげで、希望が持てたよ
」

芦「え~っ
おいおい
」


雪乃「だって、後1年半も身体がもってくれるんでしょ

だったら、沢山の病や呪と闘える

もともと、明日をもしれない命だもの

1年半の猶予をもらったのは、本当に嬉しいよ
」

芦「はははははっ
さすが雪さんじゃなぁ~
」


そして、次の日・・・。
芦さんとの別れが訪れる
芦さんとの別れが訪れる

続く ・・・。







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