

私は、手探りで閂を外し戸を開ける

「ドンッ
」

雪乃「キャッ
」

外にいた人物は、急に扉の中へ倒れ込むように
入ってくる

雪乃「ちょ、ちょっと
中には
」


「・・・何だよ
姉さん一人か
」


先程までの弱々しさが嘘のようだ

私は、一気に警戒をする・・・。
「おいおい
警戒するなよ
って、
いきなりは無理か
あはははははっ
」


いきなりは無理か


雪乃「先程の腹の痛みは嘘ですか
」

「いいや
嘘ではない


それに、、儂は痛いとは言っておらん
」

雪乃「・・・あっ
で、でも・・・。」

「儂が言いたかったのは、腹が減りすぎて
死にそうじゃ
ってことだ
死にそうじゃ


娘さん
悪いが、なにか馳走してくれんか
」


雪乃「はぁ~
・・・そこらに、大根があるでしょ


それでも食べて出ていってください
」

「そうか
悪いな・・・って・・・あんた・・・。」

雪乃「
」

男が身体を触ってくる 

雪乃「な、何を
」

「いや
娘さん・・・何の病じゃ
」


雪乃「えっ
」

「・・・それに、あんた・・・目が・・・。」
雪乃「ふ~っ
・・・前の病を患ってから、

目は殆ど見えていません・・・。」
「・・・なるほど
・・・あんたが噂の百薬師か
」


雪乃「・・・・どんな噂かは、知りませんが、
私は百薬師です・・・ですから、あなたも
早くここから立ち去らなければ、病に冒され
ますよ
」

「ふむっ
・・・はじめて見たが・・・。

まあ、よい
とにかく大根を馳走になるぞ
」


そう言うと、男はシャリシャリと大根を
貪っているようだった・・・

しばらくして・・・。
芦「いや~っ
うまかった
ご馳走になった



おっ
そう言えば、まだ名乗っていなかったな


儂は、陰陽師にして修験者の・・・・まあ、
芦(あし)とでも呼んでくれ
」

雪乃「芦
変な名ですね
」


芦「はははっ
眼の前に術者がいるのに、本名は
出せんからな~
念の為じゃ
許してくれ
」

出せんからな~



雪乃「ふ~っ
・・・っで、その芦さんは、いつ出ていくの
」


芦「おいおい
そんな邪険にするな


折角、噂の百薬師に会えたんだ、少しぐらいいいだろ
」

雪乃「病が伝染りますよ
」

芦「まあ、伝染ったときはその時に考えればいいだろう

しかし・・・あんた、何で百薬師なんかに・・・。」
雪乃「・・・・。」
芦「おっと
詮索は野暮だったな


それよりも、こんなところで一人とは、物騒だね~
」

雪乃「そうですね
・・・変な修験者が入ってくるくらい

ですから
」

芦「おっと
ちげぇ~ねぇ~
あはははははっ
」



なんか、調子が狂う・・・

芦「しかし、ここが百薬師の社となれば、人は近づかん
だろうが、死に一番近いのもあって、魑魅魍魎の類が
お前さんを狙いにくるんじゃないのかい
」
お前さんを狙いにくるんじゃないのかい

雪乃「来ますよ
・・・ただ、私にかかっている病や呪いは、

そういった者たちですら嫌いますからね

私の魂を奪う前に、自分に呪がかかってしまえば、
そんな輩ですら未来永劫苦しみますから・・・。」
芦「そ、そうか
・・・あんたの仕事の凄まじさが

わかった気がするよ・・・
」

一体、いつまでいるのだろう

病が伝染ることを恐れながら、答える私・・・。
何も気にしないような、芦という陰陽師・・・。
何も気にしないような、芦という陰陽師・・・。
夜が更けてゆく ・・・

続く ・・・。







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