Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

黒の妖艶な美(オハグロツバメガイ)

2017-06-30 19:43:02 | ウミウシ

昨日唐突に発生した熱帯低気圧が、すぐそばを通過していった本日の沖縄島です。

やんばるでは昨夜から雷を伴う雨…、そして今朝も激しい雨が…。

後半は台風一過的な痛い日差しが降り注ぎましたけど。

沖縄島近海の水温が高いので、こんな風に熱帯低気圧が発生・発達しやすい状況のようです。

風は南。強雨のち日差し。

■■

日本や中国の一部や東南アジアには、歯を黒く染める『お歯黒』という風習があります。

日本の場合は、明治時代以前の風習ですけど。

日本のこの風習は、「故意に女性を醜くすることで、貞節を守る役割がある風習」だと思ってました。

だから、既婚女性がするのだと…。

ところがこれは、僕の勘違いでした。

『お歯黒』には、歯を目立たなくし、顔つきを柔和に見せる効果があるのだとか。

さらには、口腔内の悪臭・虫歯・歯周病を予防する効果もあったのだそう。

つまり、美容と健康を維持するための化粧法の一つというわけです。

実は前述の間違ったイメージは、イギリス人で幕末の初代駐日総領事だったラザフォード・オールコックの推測でして、ひょっとしたらそういう欧米人的イメージの影響を受けていたのかなぁ…とか思えたり。

文豪谷崎潤一郎は、「お歯黒をつけた女性には独特の妖艶な美しさが見いだされる」とどこかで強調していたそうで、その昔は日本と欧米で、審美観に大きな違いがあったのでしょうね。

まあ、今もあるような気はしますけど…。

■■

さて…

〈カノコキセワタガイ科ニシキツバメガイ属オハグロツバメガイ Chelidonura inornata 17年5月18日 沖縄島安和〉

背面や側足の模様には、白色細点や橙色円斑、あるいはこれらを欠くものがあったりと、個体差があります。

画像の個体は、橙色円斑が目立っていますね。

しかし和名はオハグロ…。

体自色はもちろん黒ですが、その黒からどうしてお歯黒に繋がるのでしょうか。

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

学名種小名は『飾りのない、目立たない』の意。

お歯黒は歯を目立たなくさせるための化粧法ですが、それと関係があったりするのでしょうか…。

 

コメント
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