Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

日本人の美意識(ヤツシハゼ)

2018-12-24 19:33:34 | ハゼ科

強めの北風に雨交じり、少し肌寒かった本日のやんばるです。

クリスマス気分が高まる天候…という感じかな。

ホワイトクリスマス、とまではなりませんでしたけど…。

エントリー時に、海水を温~く感じた一日でした。

風は北~北東。曇ときどき弱雨。

■■

『略す』『行儀をくずす』『常と違える』『姿をみすぼらしく変える』『擬装する』『化粧したり、身なりを飾る』

これらの全ての意味を、一つの言葉に置き換えることが出来るのだとか。その言葉は…

『やつし』

なのだそうです。ご存じですか? 日常的に使ったりしますか? まあ、僕はないです。

この言葉、日本の芸術の表現方法を表す言葉なのだとか。日本の文学・美術・芸能の随所に見ることができ、『やつしの美』とも呼ばれているのだそう。

例えば茶道。簡素簡略の境地である日本のわび茶、その精神は『やつし』にあるのだとか。

歌舞伎では、本来の高い身分を隠してみすぼらしい姿に零落し苦難や恋愛を乗り越える演目を『やつし事』というのだそう。

浮世絵では、古典を当世風にアレンジしたものの画題に『やつし』という語が含まれるのだとか。

『やつし』ってどんな美意識なのでしょう。

「かくまでやつしたれど、みにくくなどはあらで」

とこれは『虫めずる姫君』の一文。

「これほどまでにみすぼらしくしているが、見苦しいなどということはない」という意味なのだそう。

つまり姫君の美しさはどんなにみすぼらしい格好をしていても損なわれない、というようなことみたい。

簡素化したり、くずしたり、みすぼらしく変えたりして、あえて不完全なものにしてそこに美しさを見いだす美意識が『やつし』なのだそうです。

日本人特有のふるまいである『謙遜』も、あえて自分を不完全なように見せる『やつし』の美意識からきているのかもしれませんね。

■■

さて…

〈ハゼ科ハゼ亜科ヤツシハゼ属ヤツシハゼ Vanderhorstia phaeosticta 18年11月22日 沖縄島湾奥〉

学名種小名は『灰色の斑の』の意。

派手さはないかもしれませんが、美しいハゼです。

 

コメント
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