Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

超人的存在(ハクトウミノウミウシ)

2020-02-04 19:05:28 | ウミウシ

今日は二十四節気の立春ですね。

暦の通り、日中は陽光たっぷりで、春の始まりっぽい感じだったやんばるです。

インターバルで、ウェットスーツのまま風に吹かれても心地良い感じでした。

この先一週間も過ごしやすい日が続きそうな予報です。

風は北東のち南東。晴れのち曇り、のち雨。

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『白頭(はくとう)』

年老いて白髪になった頭。しらがあたまのこと。米国の国鳥、ハクトウワシ(白頭鷲)の白頭ですね。

同じ『白頭』と書いて、『しろがしら』と読む言葉もあります。これは能楽用語。

ある春の日のこと。鞍馬寺の僧が、寺で修業している稚児を連れて花見に出かけました。彼らが花見を楽しんでいると、いつの間にか見知らぬ山伏が一人紛れ込んでいました。山伏を気味悪がった一行は、稚児を一人残して帰ってしまいました。その残された稚児は山伏に向かってこう言います。

「私以外の子は皆平家の子で、私だけが源氏の子なのです。だからいつも辛い目に遭わされるのです」

この稚児は源義朝の子、牛若丸でした。つまり後の源義経です。

山伏は牛若丸を励ますために、鞍馬山の名所を案内します。そして感激している牛若丸にこう言います。

「実は私は本当は山伏ではなく、鞍馬山に住んでいる大天狗なのだ」

こうして天狗と知り合った牛若丸は、鞍馬山の天狗たちから武芸を教わり、兵法を学び、鍛錬の日々を送ることになりました。

とこれは『鞍馬天狗』という能の演目です。

この演目に登場する大天狗は『白頭』を頭部につけています。つまり白髪のかつらですね。

能では、老体の超人的な存在の役にこの『白頭』が用いられるのだそうです。

天狗ですから、それはまあ超人的キャラクターですよね。

もちろんこれは伝説をもとにした演目で、実際に牛若丸が天狗に剣術を教わったわけではありません。ですが、鞍馬山で過ごした幼少期に義経が武芸の鍛錬に励んでいた、ということはあったようです。そのとき牛若丸に剣術を教えたのは、天狗の仮面つけた義朝の遺臣だったのではという説や、平家に不満を持っていた鞍馬寺の僧侶だったのではという説などがあるのだそうです。

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さて…

〈フジエラミノウミウシ科フジエラミノウミウシ属ハクトウミノウミウシ Trinchesia sp. 19年12月19日 沖縄島安和〉

触覚間から両口触手の基部を結ぶ白色の三角斑が印象的な本種。

『白頭』ですが、超人的な存在ではなさそうですね…。

 

 

コメント
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