じいの徒然日記

内野聖陽さんにfall in loveしたじいのおバカな毎日を綴った日記

ハムレット 4回目

2017-04-21 23:51:20 | 観劇記
4月18日ソワレの観劇記です。

今回はステージサイド……東京公演ではラストの舞台上 4回観た中では一番心に沁みたかもしれない。1幕からグイグイ迫ってくるものがあったので2幕ラストは大変なことになりそう と覚悟をして臨んだのですが、まさかのハプニング クローディアスの頭から落ちた王冠が決闘で倒れたレアティーズの背中付近までコロコロコロリン~ ビバ八百屋舞台 気にしなければいいのに気になってしまって集中できない(苦笑)おかげで涙が引っ込み……まぁ最後はやっぱり泣いちゃいましたけどね ステージ席でダダ泣きして収拾がつかなくなるのを避けられたのは良かったのか悪かったのか

ハムレットの狂気とオフィーリアの狂気、、、前者は「狂ったふり」で後者は「本当に狂っている」というのが自然かもしれないけど、この演目を観ていると何が本当なのか/正しいのか/間違っているのか……それを考えること自体が無意味なのかもしれませんが、あらゆる境界線が分からなくなってくる瞬間があるんですよね~~一般的に「異常」「阻害要因」とされるものを追求していくことで逆に真実が解明されることがあるけど(心理学とか…)狂気の中にあるべきものが見えることもあるのかなぁと思ってみたり あと、クローディアスやガートルードの言動についても上辺だけではなく本当にそう思っている部分があるのかもしれないなぁと思ったんですよね。少ないながらも罪の意識と善行は持ち合わせているのかもしれない ハムレットを息子と呼び王位を継がせるといったのも完全に取り繕いから出た言葉ではなく0.0000001%(笑)くらいは本当にそういう気持ちがあったから口をついて出たのかなぁと思ったんですよね。でも不幸にして相手がハムレットだった どこまで見抜いていたのか、はたまた父王の亡霊に翻弄されていたせいだったのか、奥の奥を見抜いてしまった。並の人間なら上手く立ち振る舞って過ぎ去ることができただろうに、できなかったから(それは至極正しい行いなのに)災いを招いてしまったことが不幸だったのではないかと思います。まぁ「卑劣な企みは我が身に返って」くるわけで復讐は復讐しかもたらさないのですが……分かっているんだけどね~~何か悲しくて悔しいわ。

今回は2度目のステージサイドということで本筋のお芝居もさることながらステージサイドの向かい側にある役者陣の待機場所/座る場所もウォッチ!墓掘り場面ではついつい視線上に座っているハムレットに もうぅ~~めちゃめちゃかっこいいんだもん でもちゃんと真面目に観ましたよ~~(笑)ハムレットとローゼンクランツとギルデンスターンが再会して腹の探り合いをしながらもじゃれ合う場面。それをホレイショーは上手側の待機エリアの椅子に座って見ているんだけど、もしかしたら大学ではこんな風に遠くからハムレットたちを見ていたのかもしれないと思ったんですよね。そういう表立った輪の中には入っていないけどハムレットとホレイショー二人だけの世界があって絆を育んでいたのかなと……なので後半のハムレットとホレイショーが語り合うシーンを眺めているローゼンクランツたちを見ながら彼らは何を思っていたのかなぁと気になってしまいました。

ハムレットとホレイショーの関係はホント深いと思うんですよね クローディアスの企みでハムレットをイギリスで殺させるべく学友2人を取り込むけど、それに気づいたハムレットは逆に学友たちがイギリスで殺されるように仕向ける。そのことをホレイショーに話した時に「どうせ人間の命なんて」とハムレットが言い始めた辺りからホレイショーのハムレットを見る目、雰囲気が違ってきているような……何か今までに感じたことのない違和感を感じ取っていたのか、不吉な予感が無意識に過ったのか。でもそういう人だからこそ自分自身の善悪を含めて後の世に正しく伝えられるヤツと見込んでハムレットは全てを託したのではないかと。死ぬ、眠る、普通ならそれで終わる。でも最期にハムレットはホレイショーに生きて真実を伝えるように頼む。死して尚その後に思いを巡らせてしまうハムレットの高潔さと知性は切ないものだなぁと思いましたね~~なーんか最後はいろんな思いが溢れてきてウルッと

ところでこの作品、、、結構演劇論的な皮肉やツッコミがたくさん 自分はそういうものに明るくないので感覚的なものではあるけど、これって当時のイギリス人に対する皮肉?みたいなところもあって思わず笑ってしまうシーンも 壌さん演じるポローニアスのよどみないセリフ回しといかにもイギリス人が考えそうな厭らしさがぐいぐい来て癖になる(笑)堪らんです でも劇中劇を題材に「演劇は人の姿を映し出す鏡」みたいなことを言っている場面、誰しも触れられたくない真を突くところが演劇にはあるよなぁ~と妙に納得してしまいました そして狂ったオフィーリアの言葉から「無意味な言葉がかえって意味を持つ」「聞く者は勝手に憶測し言葉を都合のいいように繋ぎ合わせる」というセリフが出てきますが、ふと……あーでもない、こーでもないとアレコレ妄想しながら頭をフル回転して観劇するのって何気ない言葉に意味を見出す人々の行為と同じことをしているのかなぁと自分自身を突っ込んでしまいました(苦笑)それが楽しんですけどね~~デヘッ
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ハムレット 3回目

2017-04-21 12:20:55 | 観劇記
4月15日ソワレの観劇記です。

前回のステージサイドを経てからの通常客席再び 初日とほぼ同じ位置のお席だったのですが余裕を持って楽しめました 今更かいっ!と突っ込まれそうな実感が多々……和のテイストが本当にしっくり来ているのね~~厳密な決まりや様式には則っていないんだろうけど能の舞台を意識した舞台の組み方だったり役者さんたちの出だったり……しかも道山さんの尺八と醸し出す雰囲気がハムレットの世界観を身近に感じさせているような気がするんですよね。先王の亡霊を見たりハムレットの独白シーンだったり……イギリスの、しかも古典の、、、分かった気になっていても実感できない部分というか、そういうところを日本にいる者の感性に訴えてイギリスのネイティブ感覚で受け止められるような……多分あっちの人で言うこういう感じ?みたいな。。。

この日は初のマチソワ公演になったということで最初の方は若干お疲れ気味???な感じがしたのですが、公演を重ねるにつれて出てくる深い感情と長セリフを感じさせない豊かさ……それぞれに演じる役が心身共に馴染んできているように思いました。シェイクスピア語(笑)アレコレ描写から様式的な挨拶から回りくどい言い回しから、、、“七面倒くさい”言い方がなぜかものすご~く自然に耳に入ってきて良い意味で巧みにスルーできる感じかな~~至極普通の会話として楽しめました

今回はハムレットの苦悩がヒシヒシと感じられました。普通の人間ならば他人に許している外見と心の内にある秘めた本心/本音がある。でもハムレットの場合は(王族という立場もあるんだろうけど)心の中の更に内側を持っていて他人の持つそれを感じ取ってしまう能力もあるように思えるんですよね~~多くの人が「大人の対応」「世間や人生ってのはそういうもの」と割り切って生きているし決して責められることではないんだけど←納得するかどうかは別として ハムレットは素直に向き合っているから苦しいしそのことで周りを不幸にしてしまう。ハムレット自身もまた間違ってないというか寧ろあるべき正しい姿だと思うのよね~~だから何か観ていると心がザワザワしてくる。

それを冷静に理解してくれる存在がホレイショーだったのかな……彼に出会えたことが唯一の救いにもなっていたのかなぁと感じました。小さい頃から一緒に育ってきたとされているローゼンクランツとギルデンスターン。逐一の言動があからさまに慇懃無礼で鼻につくんだけど(苦笑)自分たちの方から「(ハムレットの)ご寵愛を賜ってきた」と言うんですよね~~一方のホレイショー…+見張り役やお付きの者 に対してはハムレットの方から自分たちの関係性は「愛だろ」と言っている。勘ぐり過ぎかもしれないけどそういうところからして違うんだろうなぁと思ってみたり……ただハムレットの感性的にはローゼンクランツとギルデンスターンへの違和感は前々から感じていたような気もします。それが父の先王暗殺絡みの一連の動きで二人の本質を見破ることになったのかもしれないし……だからこそホレイショーの存在がハムレットの物語の伝達者という意味合い以上に大きいのよね~~ラストでハムレットを看取るホレイショーの「おやすみなさい」は号泣でした あるか、あらざるか、、、死ぬ、眠る、、、苦しみ続けたハムレットの全てを包み込むような言葉が響きました。

その2幕ラストで倒れたクローディアスの頭から転がり落ちた王冠をハムレットが死ぬ間際に手に取ろうとするシーンがあるのですが、王位に対する野心がそこまであるだろうかという疑問が!皆無だったとは思わないし内野さんがフォーティンブラスも演じているという点が面白い意味合いを持っているんだろうなぁといろいろ妄想(笑)できそうなんだけど……もしかしたら自分が王位を継承して死ぬことによって次の王位継承者を示すことができる、すなわちフォーティンブラスを王にしたかったのではないかと思ったのよね。ただ王冠を抱くことなく倒れてしまうところがこれまた切ないんだけど そして凄惨な現場にかけつけたフォーティンブラスとお付きの者2名、、、馬木也さんと今さんで「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」というシーンは突っ込みどころ満載で面白すぎるんだけど このダブルキャストによって王と周囲の者との関係性がいかようにも変化することを暗示しているようで面白いなぁと思いました。フォーティンブラスはどのような王になるのか、実際はどうだったのか、、、想像が膨らんで奥行きを感じます。どんな風に運命を抱きしめたんだろうか ってね。
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