日常

映画「かぐや姫の物語」

2014-01-12 11:29:25 | 映画
映画「かぐや姫の物語」、そういえば2012年の年末に見たのだった。
ブログに書こうと思い、なぜか書けなかった。
映画でも、あまりに衝撃を受けたのか、席から立てなかった。。。


感動が全体的な感情というより、感動は部分的な感情として存在していて、その他に色々な感情(それは未だに言語化できない)がピースとして存在していて、その全体的な布置や塊として衝撃として受けたというか。
自分の中でいまだ無形のものとして存在していて、その無形なものをコトバに当てはめる事が未だに難しい。


まず、映像がすさまじく美しかった。
登場人物が全員振動しているような感じだった。

実際、人間は常にかすかに動いている。振動している。
生身の人間だと脳が勝手に補正するのか気付きにくい。普通のアニメでは最初から振動していない。

高畑監督は、そういう意味でアニメーションの可能性を追及していると思った。
自然と人工との中間、そのあわい。人間が無視し感知できない領域を表現する。
人間も振動していたが、色彩自体が振動していた。
色彩が背景なのか、人間が背景なのか。
色の世界も独自の自律的な世界として生きているのだろう。色世界の振動。



登場人物の振動(それは自分の錯覚だったのだろうか?)は、登場人物の内的な感情と呼応していた。もしくは、それを作ったアニメーターの心が情報として転写されていたのだろうか。とにかく、自分に伝わってきた。


映画で出る風景は、昔の日本人の原風景が挿入された。
実際に見たことがなくても、都会暮らしの人間でも、潜在意識に刻印されている自然なのだろう。
すべての細胞にあるDNAには、色んなご先祖様の記憶が大切に保管されているのだろう。DNAというデータベースも自然の産物だ。



登場人物のかぐや姫は、僕らの中にいる魂(アニマ)の動きに感じられた。

魂は自然と躍動し調和する。魂は自然や宇宙そのもの。
ただ、魂は自然であるがゆえに人間の理性に恐れられ、人間の恣意的で人工的なルールの中でコントロールされ管理される。それが魂の成長や学習と言うプロセスに含まれる必然的な宿命なのか。そこを超えて行かなければならないのか。
魂は失われるのか、それとも魂は眠るのか。
魂は人間の核として存在し続ける。内奥にあり、人間世界と自然世界とが高い次元で統合されるのを密かに待つ。


最後の終わり方が呆然とした。宇宙的な視点に連れて行かれる感じだった。

そうだった。
人間は宇宙に浮かぶ地球と言う一つの星に浮かぶ存在だったのだ、と。
そこで一気に視点は宇宙的な場所へ持って行かれる。
終わる。




人間、魂、自然、宇宙、宿命など。
色んな複雑なことを感じた。
そして、アニメーション表現の極致を感じた。


すごい映画で唖然として呆然とした。
そして涙した。会場からもすすり泣きの声が聞こえた。


DVDではなく映画で見てほしいです。
映画館という異空間だからこそ、感じるものがあるはずです。




動画<6分 ジブリ かぐや姫 プロローグ ~序章~ 11/23より公開 Studio Ghibli "Kaguya-hime no Monogatari ">
主題歌<いのちの記憶 【かぐや姫の物語・主題歌】 生演奏>














4 コメント

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こんにちは (安藤明美)
2014-01-18 20:32:30
映画「かぐや姫」ご覧になったのですね。私もぜひ見たいと思っている映画の一つです。

このコメントを書こうとして、ふと左に「伊勢ー白山道」さんのブックマークがあって、驚きました。

伊勢白山道さんの本は、私も読ませていただいたことがあります。まだ、自分の体質が克服できずに、模索していた時期のことです。
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生かして頂いて ありがとう御座位ます (いなば)
2014-01-19 23:47:26
>安藤さん
このブログではお初です!

映画「かぐや姫」、是非ご覧ください!クリエーターの美意識や執念がすさまじい。後世に残り続ける作品だと思いますね。ほんと感動しました。ひとつひとつの動きに魂込められていて、僕らの日常の動きも、実は単に動くだけでこんなに美しいのだな、と感じた次第です。 以前、シルビギエムというバレエダンサーの歩き姿やたたずまいそのものを見た時も全身に電撃が走りましたが、それに似た感覚です。(よくわからん)

「伊勢ー白山道」さん。ブログ面白いし毎日更新されてるので結構読んでますよ。
【生かして頂いて ありがとう御座位ます】というので常に終わりますが、まさにその通りだなぁ、と日々思います。 

神社に参拝する時も、自分はお願いなどしないのですが、いつも今生きていること、生かされていることの感謝と、自分の決意や報告だけをするようにしています。それもこのブログの遠からず影響かもしれません・・・。

まあとにかく自分はなんでもかんでもジャンル問わず本読むの好きなんで、伊勢白山道さんの本も全部読んでますー。(^^


かぐや姫見てから、改めて【竹取物語(全)】 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス) 角川書店 (2001/9)を読む本の手前に持ってきました。この(角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)は、中高生向けに古典を分かりやすく書いてあって、すごく読みやすいんですよねー。(^^
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 (みみ)
2016-02-29 00:29:50
「かぐや姫の物語」
私も当時映画館で観ました。

感動で身動きできないほど
息が詰まるほどだったのを思い出しました。

最後の音楽も魂に染み込んで
繰り返し鳴り響き、
脳の中でリフレイン。
今も耳に残っています。

いなさんが感じたものが
わたしにも伝わっていたのがまた
嬉しいものですね。
共感というか、
共鳴というか。

高畑監督が
表現しようとしたものが
いなさんや私に伝わり
魂が響きあったのですね。


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Unknown (INA)
2016-04-22 16:22:11
この映画はかなりグッときましたね。
そして、最後の終わりが、一気に宇宙的な次元に持ち上げられるような終わり方で、ショックとともに、感動でした。今ここのように、あのときの感覚を思い出せます。共感いただき、嬉しいです。
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