日常

昼と夜

2010-08-10 20:00:50 | 考え
昼と夜。

昼は光の世界、夜は闇の世界。 
昼は明るいだけではなくて暗い昼もある。
夜は暗いだけではなくて満月で明るい夜もある。

いづれにしても、昼と夜は同じようなバランスに保たれて動いている。 
自然は長い知恵を持っている。

昼は明晰で意識の世界。 
夜はあいまいで無意識の世界。 


昼や光の世界だけで生きていると、その長すぎた昼はいづれ夜からの反逆を受ける。
夜は地下の世界。闇と影の世界。ものごとの暗い側面。
かなしみ、くるしみ、痛みの感情で感じられるかもしれない。
ただ、それは昼と夜の均衡を保っているプロセスだと思う。
それは途中だ。



夜の世界はイメージに満ちている。

暗い夜道を歩くと、眼の前をうごめくものは奇怪な虫に見え、あるはずもない幽霊に見えることがあるだろう。
夜は、昼には見えなかったイメージの世界が生きている。


暗い夜のネオン街。
そこで出会う相手。相手のことを何ひとつ知らないのに、そこに「理想の相手」を見て、「理想の愛」を感じ、その闇の世界に突き進むこともあるだろう。
ただ、明るい昼に現実という意識の光を当ててみると、自分が作り出したイメージの世界にすぎなかったことに気づくだろう。 

そうは言えども、イメージの世界は、現実をひっくり返すほどの魅力と吸引力を持ち、異常な生命力を持っている。
別の現実を、異界を垣間見せる力を持つ。
それが、夜や闇が持つ「イメージ」の力だ。
そうして、イメージの世界では別の現実が息づいている。

絵や映像を見て感動するのは、そういうイメージの生命力だと思う。
夜や無意識の世界は、理屈がはびこる昼や意識の世界がこぼれ落としたイメージに満ちている。
そこに、現実の世界と違う「異界」の魅力を感じるのだろう。

ただ、夜の世界に埋没すると、浦島太郎のように時間を忘れ、地上で光を受ける時には人生が終わっていることもある。


・・・・・・・

自然は、昼と夜のバランスを保ちながら運動している。
昼が夜を打ち消してもいけないし、夜が昼を飲み込んでもいけない。 

自然はそういう深い知恵を持っている。
気付こうが気付かないがおかまいなしに、日々、自然は昼と夜のバランスを僕らに見せている。 
それは、日、月、年、場所・・・色んな局面でそうだろう。


夜はものごとの暗い影の面が見える。それは見たくないもう一つの現実かもしれない。

それは、人の嫌な側面であったり、欠点であったり、暗闇であったり、影であったりする。
ただ、そんな夜の世界を否定して、昼の世界の光だけを浴び続けると、必ず自然からの反逆を受けるだろう。


昼と夜のバランスを失うと、その人の内なる自然は、何らかの形でバランスを保とうとする。
時には<異常><病気>とされる形で外に現れてくるかもしれない。

長過ぎた昼に対して、夜が反逆を起こす。
例えば、その人の暗闇の時間としてのうつ状態を引き起こすかもしれない。



自然は、昼と夜のバランスを保ちながら運動している。
自然はそういう深い知恵を持っている。

そのことに気づくとき、色んなものを肯定も否定もせず、善も悪も色付けせず、そのままのありのままの眼差しで、世界そのものを見つめる事ができるんだと思う。


その人にとっての辛い状況、苦しい状況、暗闇と思える状況・・・・そこにはきっと深い意味がある。

それは、きっと昼と夜のバランスを保とうとしている。
それは、100億年近い年月を生き延びてきた、自然の知恵そのものなのだと思う。

2 コメント

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Unknown (imura)
2010-08-28 14:17:46
詩的ですね。。やっぱりさすがです。

昼と夜のこの文章を読んで思ったのは、
・視覚がある、視覚がない
・光合成できる、光合成できない
・positive、negative
といったところでしょうか。

***調べたらこんな記述が。でも出典書いてないから怪しいですけど***
◇五感の中で最も言葉で伝えやすいのは、

 視覚(75.7%)、味覚(9.9%)、触覚(6.7%)、聴覚(6.0%)、臭覚(1.9%)

◇五感の中で最も言葉で伝えにくいものは、

 臭覚(35.8%)、触覚(23.2%)、味覚(18.3%)、聴覚(17.0%)、視覚(5.8%)

◇五感の中で最も長く記憶に残るものは、

 視覚(71.9%)、聴覚(13.8%)、味覚(7.5%)、触覚(3.8%)、臭覚(3.1%) 

◇五感の中で最も思いでをよみがえらせるものは、

 視覚(74.3%)、聴覚(11.8%)、触覚(4.8%)、味覚(4.6%)、臭覚(4.6%) 

◇五感の中で最も感動を覚えるのは、

 視覚(72.6%)、聴覚(17.6%)、触覚(6.4%)、味覚(3.0%)、臭覚(0.5%) 
***
まあぶっちゃけ言いますと、USJのスパイダーマンに乗って、3D見て本気でびびったことが、視覚ばかりを頼りにしてるなぁと思ったんです。
夜は視覚がさえぎられるから、わずかなものにしがみつくような感じで、見えないものが見えたりするのかなぁとも思います。

あと昼と夜って根本的に植物にとっては違うものだと思うんですよ。光合成できる時間帯とそうじゃない時間帯ってそりゃ違うなぁと思うので。昼インプットして、(栄養素か知識かお金などなど)夜そのインプットしたものを利用するってのはまあ自然の感覚としてはあってるのかなぁとも思いました。

最後、positive、negativeですが、今でも変わらず、島田紳助の人生チャラ論は正しいと思っていて、マイナスをプラスに変えれるかどうかが、力かなぁと思ってます。
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目の時代 (いなば)
2010-08-29 18:08:32
ほんと近代とか現代って「目」の時代だと思うよー。
文字の発明、活版印刷の発明・・くらいまでは印刷物の視覚だけど、テレビ、ネットの発明に及んで、さらに視覚の依存性はたかまってるよね。
「百聞は一見にしかず」と言うように、視覚は全体を一瞬で把握する力があるし、他のエントリーに書いてるような「イメージ」の生命力とも直結しやすいものだしね。
でも、3D映像って、右目、左目の別々の像を高速で見せることで立体視の錯覚を作ってるから、なんだか疲れそう。無意識の脳への負担はすごく大きいから、きっと普及しないと思うな。


だからこそ、目以外の感覚器。
つまりは耳とか、鼻とか、皮膚感覚とか・・・そういうのは意識して鍛えないといかんよね。
改めて見直されるべきだと思うし。振り子運動は大事。



植物と動物は、これも昔ブログに書いてるよ。
なかなか奥が深いんだよねー。
『動物と植物から見た人体』
(2010-01-13)
http://blog.goo.ne.jp/usmle1789/e/0f82db57ea03e2b641049916cf48ae6b


『マイナスをプラスに変えれるかどうか』
これ、ミスチルの歌詞にも出てきて、すごく好きなんだよねー。何の曲だったかすぐ思いだせん!


でも、よくこんなにいっぱいエントリー読んでコメントまでもらって、ありがとねー。
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