「なぜと問う」大人と「問いをもたない」子どもたち①
《合理的配慮を差別の根拠にはさせない》
「障害者差別解消法」により、日本の学校にも「合理的配慮」が義務づけられました。
合理的配慮の目的は、障害のある人もない人も同じように社会参加するために、「障害者の存在を考慮せずに作られてきた社会・制度を、誰もがふつうに利用できるように「調整」することです。
これまで、障害のある人の参加を想定しないで作られた社会・制度を、目の前にいる「一人」に合わせて変えるために使われるものです。
「視覚障害」や「身体障害」への配慮という、「障害」別にまとめられた配慮とも違います。
一人の人、一人の子どもの「障害・困難」に合わせて「調整」されるのです。
これまでの「制度」を守るための「調整」ではありません。
そう、まさに「ドラえもん」の道具が現実になったようなものです。
その夢のような道具を、教育委員会は、15歳の子の「教育を受ける権利を奪うため」の道具として使っています。
「合理的配慮は行ったから、障害が理由ではない」=「公平・公正」に判断したのだと言い、「定員が空いている学校」への、障害児の入学を「拒否」しています。
そして「合理的配慮を差別の道具に使われた」犠牲者は、いつも各県にたった一人という状況であり、大きなニュースになることもありませんでした。被害はほとんど表には出ず、社会からも学校からも教育委員会からも、黙殺されてきました。
でも、康治たちが人生をかけて闘い、願った、障害者差別をなくすための「差別解消法」とその実現のための「合理的配慮」が、よりによって、「空いている席に座らせない」ための道具、根拠にしているのです。知的障害の子が、「点数」で差別される時代より、さらに暗く残酷な時代です。
点数で差別されるなら、「0点でも高校へ」と声を上げられます。
でも、手厚い合理的配慮があって、なお99%の仲間から、席が空いていても切り捨てられるとき、子どもは自分に救いがないと間違えてしまいます。
この状況で、目の前の子どもたちが間違わないように、私たちは踏みとどまる。
「あなたはひとつも悪くない」
「誰もあなたのことを責めはしない」という言葉が、説得力をもつ状況」を私たち自身が感じていなければいけない。
子どもたちが間違わないように。希望を手放さずに生きられるように。
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