《言葉の連立方程式》
「なぜ助けてと言えないのか?」。
その言葉にこだわり続けて気づいたことがある
一つでは答を出せない「問い」があるのだ。
言葉にも「連立方程式」があって、二つの問いをつなげて考えないと答えはみえない。
□
たとえば、ふつうの中学生は「高校に行かない」と言うと、「なぜ?」と聞かれる。
だけど知的障害の子は、「高校に行きたい」と言うと「なぜ?」と迫られる。
A:99%の子に向けられる問い=「なぜ高校に行かないのか?」。
B:1%の子に向けられる問い=「なぜ高校に行くのか?」。
AとBの連立方程式を解けば、問いを変える基準が明らかになるだろう。
それは「差別」の基準でもある。
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A:「義務教育じゃない? それでもみんなが行くんだから。行く意味は高校に行ってから考えればいい。他にやりたいことがある? 高校を出てからでも遅くない。今はまだ自分の言葉で考えなくていい。」
B:「障害があるのに、どうして高校に行きたいのか? 高校は義務教育じゃないのに。本当に自分の意思で行きたいと思っているのか。みんなが行くから、じゃ理由にならない。ちゃんと自分の言葉で言えないなら認めない。」
この連立方程式の答えはこうなる。
「どちらにせよ、子どもの主体性など認めない」。
1%の子どもを棄てる制度が、99%の主体性を大切にすることはできない。
「定員内不合格をなくし、希望者全入」を求める理由がここにある。
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