ワニなつノート

迷子の絵本 (第一話)



迷子の絵本    第一話



《自立援助とは何か》  




迷子だから助けてあげる。
助けてあげるから、言うことを聞いてね。言う通りにしてね。
迷子なんだから勝手なことはしないでね。
余計なことは聞かないで、黙って言う通りにしてね。
また迷子にならないように、「この手」を放さないでね。



     ◇


わかった。一人じゃどうにもできないから、助けて。
いっしょにお母さんをさがして。
いつのまにか、つないでいたはずの手が、はなれちゃったの。
いっしょにさがして。なくしたもの。
しっかりにぎっていたのに、はなれちゃったの。
大切なわたしのさがしもの。



      ◇


また迷子にならないように、「この手」を放さないでね。
…いつのまにか、「この手」は、「この鎖」に変わっていった。
また迷子にならないように、この鎖を放さないでねと言われ続けた。
だから、それを信じて、言うことを聞いた。
一人じゃ生きられなかったから。



      ◇


だけどある日、義務教育は終わったからと、手を放された。
あとは、一人で生きていきなさい。自立しなくちゃね。
迷子だから親はいない。
迷子だから一人で生きるしかない。



           ◇



「自立援助」がここから始まるとき、自立援助とは何をすることだろう?

何を与える? 何を教える? 
何を助ける? 何に寄り添う? 
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