《自己を守る技術の話》B
(4)《おおかみとやぎとさきちゃん》
「安心できる人」を見分けることは、なぜ大切か。
安心できない人を、「違う」と分かることも、守りの技術。安心できない人に頼るのは、自分を失うこと。自分を守れない。引き換えにするくらいなら、「いらない」と強がることも、大切な技。
「一人でも大丈夫」「け」
「け」と言いながら、おおかみは探す。
「じぶんに にたこは いないかな」。
くりかえす「け」。自分の安心の人は、「これではない」。自分の「け」に気づく力。それでも次の町へ向かう力。「け」にとどまりながら、次へ向かう力。
その先に、「え」とか「お」が見つかるかもしれない。
「ほー」とか「くー」に出会えるかもしれない。
□
ここで「ヤギさんのてがみ」を思い出す。
手紙を食べてしまって、「中身」が分からない。
でも、「け」とは言わず「さっきのおてがみ ごようじなあに」と返す。
「手紙の中身は分からない」けれど、つながりはここにある。
「あなたのことばはわからない」けれど、「安心できる」ことは分かる。
「わからない」ままに、踏みとどまる技。
ここで、「わからないことがたのしい」というさきちゃんのことばが、きこえる。
5年生になって、授業が難しくなって、それでも「こくご」や「しゃかい」が楽しいのはなぜか?
「安心できる先生が、わからないことをおしえてくれるたのしさ」
「安心できる仲間と、あたらしいことをまなぶたのしさ」。
まわりの子どもたちは、ずっと前から知ってる。
「わからない授業はかわいそう」という怖れが、消えていく。
《自己を守る技術の話》(5)
《おおかみと『生き心地の良い町』》
おおかみは あるいて いく。
じぶんを さがしに いく
にたこを さがしに いく。
じぶんで さがしに いく。
いつでも いきたい ときに。
じぶんの ちからで いける。
バスや でんしゃじゃ なく。
だれかの たすけをかりずに いける
さがしに いける。
じぶんで いける。
きがねなく いける。ふらっと いける。
じゆうに まちを いける。
《地域のふつう学級》という、「地理的特性」。
《地域のふつう学級》で身につく、自己を「守る技術」。
(つづく)
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