『障害をもつ子が育つということ』
編集・野辺明子他 中央法規
(その1)
「障害児がいると周りの子の思いやりの気持ちが育つとか、
周りの子がやさしくなる」という言葉を聞くと、
今まで私はなんとなく違和感を感じてきました。
障害児は、他の子どもの思いやりを育てるための≪教材≫ではないと、
そんなふうに言いたくなることがありました。
そうした言葉で語られるときに、
当の障害をもつ子どもの気持ちが
どこかに忘れられているようにも感じていました。
でも、大事なことは言葉よりは、
先生のまなざし、子どもに関わろうする姿勢そのものなのでしょう。
☆
「できないから見といたらいい」
「でも、それでいいのかな?
みんなは見ているだけだったら、どんな気持ち?」
「それだったら、さくら組さんとちがうみたい」
「やってたら、できるかもしれない」
「あやちゃん、とび箱にのぼるの、できたよ」
「はしご渡るの、早くなってきたよ」
「あやちゃんのできることを少しずつしていこう。みんなも応援しよう」
☆
「あやちゃんのおかげというのも変なものですが、
クラスがすごくまとまっていて、みんな優しい子ばかりになってきたのよ」
☆
この本の中で、幼稚園の先生と子どもたちの会話を読んだときは、
素直にいいなと思えました。
そして、「障害児がいるから、周りの子がやさしくなる」のではなく、
「そこにいる障害児を、
クラスの一員としてふつうに受けとめようとする先生がいる」から、
クラスの子どもたちが、優しくなるのだと気づきました。
こう書いてみれば、当たり前のことですが、
「障害児」と初めて出会う子どもたちにとって、
先生のまなざしと姿勢は大きな影響を与えます。
子どもたちは、私のように「言葉や考え方」を気にするのではなく、
先生のそのときどきの心の動きを、ただ「感じ」ています。
先生が喜んだり、困ったり、怒ったり、笑ったり、
そうした日常の中に、障害を持った子どもがいて、
子どもたちはその時々に、せいいっぱいの工夫をして、
日々を楽しみ乗り越えているのでしょう。
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