そのシーズンを終えようとする時、
涸沢はひと時、時を止め燃え上がる…
そんなふうに評される、涸沢の紅葉に
山に登りだしてから いつしか憧れを抱いていた…
10月初旬、連休二日目の早朝、僕たちは平湯温泉バスターミナルにいた…
憧れはいつも軽い諦めと共にあった。
なにしろ その涸沢の紅葉を求めて、例年 本当に殺人的な数の人が、
ここ上高地を訪ねて来る。
まずマイカー規制のある上高地への足の便の確保、それも往復。
更に泊まる山小屋では、布団1枚に3~4人 (!!)
という、「過酷」な状況…
10月の頭にとれた連休は、世間でも3連休のど真ん中!
笑ってしまうほどの「悪条件」。ダメもとで 臨んだ足の便 確保が奇跡的に叶い、
今ここに僕たちはいた…
到着した上高地は、まだ深い霧の中に沈んでいた。
回復がずれ込んだ天気は、予報ではこれからどんどん良くなるはずだった。
まずは しっかりと腹ごしらえ。
シーズンのピークを迎え、前に来たときは まだ営業を始めていなかったB.T.の食堂も
もう開いていた。
予定はこうだ。
最終的な登頂先を、『奥穂』とするが、
一般的な「上高地→横尾→本谷橋→涸沢→穂高岳山荘→奥穂高岳」というルートの
ピストンではなく、「上高地→岳沢小屋→(重太郎新道)→紀美子平→(吊尾根)→
奥穂高岳→穂高岳山荘→涸沢→本谷橋→横尾→上高地」という周回コース。
こうすることで、殺人的な混雑をかなり回避でき、時間も効率的に短縮できる、
と踏んだのだったが…
朝靄の中を、河童橋を渡り、岳沢・前穂高岳登山口へと向かう。
気がかりは、登山届けを提出した時に聞いた、穂高岳の初冠雪。
稜線では3~5センチの積雪だとか…
いずれにせよ、アイゼンの効く積雪量ではないし、どうしようもないんだけどね。
稜線に上がる頃には、天気は良さそうだし、初冠雪の雪だから融けてしまっているよ、うんっ
岳沢小屋まで一気に登ってしまうメリットは、まだある。
一般ルートだと、横尾まで3時間も ほぼフラットな道を歩かなくてはならない。
テント泊を覚悟し、重い装備を背負った今回は、いくらフラットでも3時間も歩けば
体力の消耗は防げない。
その消耗後の急登は、できれば避けたかった、 のに…
1時間ほど登り、そろそろリズムが出始めたかと思う頃、
上から下ってきたおじさんグループに、声を掛けられる。
同じルートを目指していたおじさん達も、岳沢小屋で、山岳救助隊にこの先の登頂を
止められたのだとか…
稜線の積雪で、とても危険な状況だから、これ以上進むなと…
しばし逡巡…
重い装備、慣れぬ初めてのルート(吊尾根は岩稜帯のけっこうな難ルートと言われている)、
自分たちの技量…
一瞬は迷ったが、撤退を決める。
今、この時点なら、まだリカバリーも可能かもしれないし…
行けるとこ(涸沢)まで、行ってみよう…
明神までは、そのまま梓川の左岸を進む。左岸側の道は、それほど人の流れは感じない。
徐々にふりかかる陽射しに、「登頂モード」から、「紅葉モード」へ、
歩みながら気分を変えていく…
明神橋から右岸へ渡り返し進む。
さすがに人が多い。
歩みを進めながら、前を歩く人、すれ違う人の「出で立ち」やザックの大きさを目で楽しむ。
今回 テント装備を背負うため、warazaemon隊長が60~70ℓザック、
おサル隊員も新調の50~55ℓザック。
人のザックの大きさや、パッキンの仕方が、どうしても気になってしょうがない(笑)
徳澤までやってきた。
ここのキャンプ場は、いつ来ても気持ち良さそうで、ちょっと誘惑に駆られる…
このまま、上に登るの止めて ここでテント張って、のんびりと過ごしちゃおっかなぁ♪と…
うん、いつか そんな行き当たりばったりの のんびりした旅も良いかなぁ…
小腹がすいたし、カレーライスでお昼を…
壁に掛かっていたプレートに、こうあった。
“No Mounten No Life”
「山梨では生きられない…」、ん?
いや 失礼、「山無しでは生きられない」だ。( 山梨県人の人、ごめんなさい )
山がなくて、人生にいったい何のたのしみがあるんだいっ?って感じだね…
うん、うん…
横尾へ、なんとか到着。
結局、岳沢へ登りかけ、引き返してからこっちへルートを変えた2時間近くのロスを短縮できなかった。
振り仰ぐと、前穂の北尾根が大きな塊で で~ん と…
橋を渡り、さあ、ここからちょっとづつ、登りが始まるぞ。
さすがに3連休の中日。多くの登る人、下る人が細い山道ですれ違うため、たびたび渋滞が発生。
黄葉に色づいた木が、樹林の中に混ざりだした。
これが「屏風岩」。ほぼ垂直に張り出した岩に、人影らしきものがへばりついているのが見えた。
(実は見事に色づいた、一本の黄葉だったことが後で判明)
でも、ここを登るロッククライマーも多いとか… warazaemon隊長には、ごめん、無理。
本谷橋から、いよいよ本格的な登り。
おサル隊員、調子がいいのか、ひょこひょこ先を行く。
標高が上がるにつれ、紅葉が目に見えて濃くなっていくのが判る。
それでは、しばらく画像をお楽しみあれ。
ここまで順調に登ってきたおサル隊員、急にペースダウン。
どうやら燃費の悪いおサル、「しゃりばて」の様子。
涸沢ヒュッテは、ちょこちょこと顔をのぞかせるものの、まだまだ近づかない。
エナジージェルを口にさせ、乗り切る。
涸沢ヒュッテ到着!!
時刻は2時半。やはり これから穂高岳山荘横の「テン場」まで登るのは無理。
潔く諦め、ここ涸沢でテント泊することに。
そうと決まったら、テントを手早く隊長の指示のもと組み立てると、
おでんとビール!!
まるで絵の具をぶちまけてしまったかのような、色とりどりの紅葉…
これが今日の「我が家」。アライテントのエアライズ2。
それにしても、すごいテントの数。見渡してみると、恐らく300張りは下らない。
トイレも、テラスも、大混雑。
テント場は、下が岩場だから、なるだけ平らで岩が床面に当たらないところを探すのに一苦労。
テント場受付で、「コンパネ」を貸していたみたいだけど、これがあればベスト。快適度が増す。
向こうに見えるは、北穂直下の崖下に立つ「涸沢小屋」。
いくら混んでても、やっぱり その建物の、雨露をしのげる暖かさが、ちょっとうらやましい。
北アルプスに、人が憧れるベスト3の内の、最後の一つ『涸沢カール』!!
ついに、今、目の前に広がっている。
雪渓の上に連なる「吊尾根」、その左側に『前穂』、右に『奥穂』。
槍ヶ岳に似たシルエットの『涸沢岳』、別名『涸沢槍』。
今、その稜線の向こうに日が落ちていく。
まもなく、今日一日が、終わろうとしている。
これから迎える夜、そして明け方、『涸沢カール』は、どんな表情を見せてくれるのだろう…
( 涸沢燃ゆ編 後半に続く…)
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そんなふうに評される、涸沢の紅葉に
山に登りだしてから いつしか憧れを抱いていた…
10月初旬、連休二日目の早朝、僕たちは平湯温泉バスターミナルにいた…
憧れはいつも軽い諦めと共にあった。
なにしろ その涸沢の紅葉を求めて、例年 本当に殺人的な数の人が、
ここ上高地を訪ねて来る。
まずマイカー規制のある上高地への足の便の確保、それも往復。
更に泊まる山小屋では、布団1枚に3~4人 (!!)
という、「過酷」な状況…
10月の頭にとれた連休は、世間でも3連休のど真ん中!
笑ってしまうほどの「悪条件」。ダメもとで 臨んだ足の便 確保が奇跡的に叶い、
今ここに僕たちはいた…
到着した上高地は、まだ深い霧の中に沈んでいた。
回復がずれ込んだ天気は、予報ではこれからどんどん良くなるはずだった。
まずは しっかりと腹ごしらえ。
シーズンのピークを迎え、前に来たときは まだ営業を始めていなかったB.T.の食堂も
もう開いていた。
予定はこうだ。
最終的な登頂先を、『奥穂』とするが、
一般的な「上高地→横尾→本谷橋→涸沢→穂高岳山荘→奥穂高岳」というルートの
ピストンではなく、「上高地→岳沢小屋→(重太郎新道)→紀美子平→(吊尾根)→
奥穂高岳→穂高岳山荘→涸沢→本谷橋→横尾→上高地」という周回コース。
こうすることで、殺人的な混雑をかなり回避でき、時間も効率的に短縮できる、
と踏んだのだったが…
朝靄の中を、河童橋を渡り、岳沢・前穂高岳登山口へと向かう。
気がかりは、登山届けを提出した時に聞いた、穂高岳の初冠雪。
稜線では3~5センチの積雪だとか…
いずれにせよ、アイゼンの効く積雪量ではないし、どうしようもないんだけどね。
稜線に上がる頃には、天気は良さそうだし、初冠雪の雪だから融けてしまっているよ、うんっ
岳沢小屋まで一気に登ってしまうメリットは、まだある。
一般ルートだと、横尾まで3時間も ほぼフラットな道を歩かなくてはならない。
テント泊を覚悟し、重い装備を背負った今回は、いくらフラットでも3時間も歩けば
体力の消耗は防げない。
その消耗後の急登は、できれば避けたかった、 のに…
1時間ほど登り、そろそろリズムが出始めたかと思う頃、
上から下ってきたおじさんグループに、声を掛けられる。
同じルートを目指していたおじさん達も、岳沢小屋で、山岳救助隊にこの先の登頂を
止められたのだとか…
稜線の積雪で、とても危険な状況だから、これ以上進むなと…
しばし逡巡…
重い装備、慣れぬ初めてのルート(吊尾根は岩稜帯のけっこうな難ルートと言われている)、
自分たちの技量…
一瞬は迷ったが、撤退を決める。
今、この時点なら、まだリカバリーも可能かもしれないし…
行けるとこ(涸沢)まで、行ってみよう…
明神までは、そのまま梓川の左岸を進む。左岸側の道は、それほど人の流れは感じない。
徐々にふりかかる陽射しに、「登頂モード」から、「紅葉モード」へ、
歩みながら気分を変えていく…
明神橋から右岸へ渡り返し進む。
さすがに人が多い。
歩みを進めながら、前を歩く人、すれ違う人の「出で立ち」やザックの大きさを目で楽しむ。
今回 テント装備を背負うため、warazaemon隊長が60~70ℓザック、
おサル隊員も新調の50~55ℓザック。
人のザックの大きさや、パッキンの仕方が、どうしても気になってしょうがない(笑)
徳澤までやってきた。
ここのキャンプ場は、いつ来ても気持ち良さそうで、ちょっと誘惑に駆られる…
このまま、上に登るの止めて ここでテント張って、のんびりと過ごしちゃおっかなぁ♪と…
うん、いつか そんな行き当たりばったりの のんびりした旅も良いかなぁ…
小腹がすいたし、カレーライスでお昼を…
壁に掛かっていたプレートに、こうあった。
“No Mounten No Life”
「山梨では生きられない…」、ん?
いや 失礼、「山無しでは生きられない」だ。( 山梨県人の人、ごめんなさい )
山がなくて、人生にいったい何のたのしみがあるんだいっ?って感じだね…
うん、うん…
横尾へ、なんとか到着。
結局、岳沢へ登りかけ、引き返してからこっちへルートを変えた2時間近くのロスを短縮できなかった。
振り仰ぐと、前穂の北尾根が大きな塊で で~ん と…
橋を渡り、さあ、ここからちょっとづつ、登りが始まるぞ。
さすがに3連休の中日。多くの登る人、下る人が細い山道ですれ違うため、たびたび渋滞が発生。
黄葉に色づいた木が、樹林の中に混ざりだした。
これが「屏風岩」。ほぼ垂直に張り出した岩に、人影らしきものがへばりついているのが見えた。
(実は見事に色づいた、一本の黄葉だったことが後で判明)
でも、ここを登るロッククライマーも多いとか… warazaemon隊長には、ごめん、無理。
本谷橋から、いよいよ本格的な登り。
おサル隊員、調子がいいのか、ひょこひょこ先を行く。
標高が上がるにつれ、紅葉が目に見えて濃くなっていくのが判る。
それでは、しばらく画像をお楽しみあれ。
ここまで順調に登ってきたおサル隊員、急にペースダウン。
どうやら燃費の悪いおサル、「しゃりばて」の様子。
涸沢ヒュッテは、ちょこちょこと顔をのぞかせるものの、まだまだ近づかない。
エナジージェルを口にさせ、乗り切る。
涸沢ヒュッテ到着!!
時刻は2時半。やはり これから穂高岳山荘横の「テン場」まで登るのは無理。
潔く諦め、ここ涸沢でテント泊することに。
そうと決まったら、テントを手早く隊長の指示のもと組み立てると、
おでんとビール!!
まるで絵の具をぶちまけてしまったかのような、色とりどりの紅葉…
これが今日の「我が家」。アライテントのエアライズ2。
それにしても、すごいテントの数。見渡してみると、恐らく300張りは下らない。
トイレも、テラスも、大混雑。
テント場は、下が岩場だから、なるだけ平らで岩が床面に当たらないところを探すのに一苦労。
テント場受付で、「コンパネ」を貸していたみたいだけど、これがあればベスト。快適度が増す。
向こうに見えるは、北穂直下の崖下に立つ「涸沢小屋」。
いくら混んでても、やっぱり その建物の、雨露をしのげる暖かさが、ちょっとうらやましい。
北アルプスに、人が憧れるベスト3の内の、最後の一つ『涸沢カール』!!
ついに、今、目の前に広がっている。
雪渓の上に連なる「吊尾根」、その左側に『前穂』、右に『奥穂』。
槍ヶ岳に似たシルエットの『涸沢岳』、別名『涸沢槍』。
今、その稜線の向こうに日が落ちていく。
まもなく、今日一日が、終わろうとしている。
これから迎える夜、そして明け方、『涸沢カール』は、どんな表情を見せてくれるのだろう…
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