山好き ojisan の ひねもすだいありー 

あの山この山、山行の備忘録。♪憧れの山に旅して、登って、食べて、飲んで…♪ 心地よい生き方を探しましょ♪

涸沢燃ゆ 前穂・奥穂断念編

2012年10月13日 02時28分14秒 | 北アルプス
そのシーズンを終えようとする時、
涸沢はひと時、時を止め燃え上がる…

そんなふうに評される、涸沢の紅葉に
山に登りだしてから いつしか憧れを抱いていた…




10月初旬、連休二日目の早朝、僕たちは平湯温泉バスターミナルにいた…


憧れはいつも軽い諦めと共にあった。

なにしろ その涸沢の紅葉を求めて、例年 本当に殺人的な数の人が、

ここ上高地を訪ねて来る。

まずマイカー規制のある上高地への足の便の確保、それも往復。  

更に泊まる山小屋では、布団1枚に3~4人 (!!)

という、「過酷」な状況…


10月の頭にとれた連休は、世間でも3連休のど真ん中!

笑ってしまうほどの「悪条件」。ダメもとで 臨んだ足の便 確保が奇跡的に叶い、

今ここに僕たちはいた…





到着した上高地は、まだ深い霧の中に沈んでいた。

回復がずれ込んだ天気は、予報ではこれからどんどん良くなるはずだった。

まずは しっかりと腹ごしらえ。

シーズンのピークを迎え、前に来たときは まだ営業を始めていなかったB.T.の食堂も

もう開いていた。



予定はこうだ。

最終的な登頂先を、『奥穂』とするが、

一般的な「上高地→横尾→本谷橋→涸沢→穂高岳山荘→奥穂高岳」というルートの

ピストンではなく、「上高地→岳沢小屋→(重太郎新道)→紀美子平→(吊尾根)→

奥穂高岳→穂高岳山荘→涸沢→本谷橋→横尾→上高地」という周回コース

こうすることで、殺人的な混雑をかなり回避でき、時間も効率的に短縮できる、

と踏んだのだったが…





朝靄の中を、河童橋を渡り、岳沢・前穂高岳登山口へと向かう。

気がかりは、登山届けを提出した時に聞いた、穂高岳の初冠雪

稜線では3~5センチの積雪だとか…

いずれにせよ、アイゼンの効く積雪量ではないし、どうしようもないんだけどね。

稜線に上がる頃には、天気は良さそうだし、初冠雪の雪だから融けてしまっているよ、うんっ




岳沢小屋まで一気に登ってしまうメリットは、まだある。

一般ルートだと、横尾まで3時間も ほぼフラットな道を歩かなくてはならない。

テント泊を覚悟し、重い装備を背負った今回は、いくらフラットでも3時間も歩けば

体力の消耗は防げない。

その消耗後の急登は、できれば避けたかった、     のに…


1時間ほど登り、そろそろリズムが出始めたかと思う頃、

上から下ってきたおじさんグループに、声を掛けられる。

同じルートを目指していたおじさん達も、岳沢小屋で、山岳救助隊にこの先の登頂を

止められたのだとか…

稜線の積雪で、とても危険な状況だから、これ以上進むなと…

しばし逡巡…

重い装備、慣れぬ初めてのルート(吊尾根は岩稜帯のけっこうな難ルートと言われている)、

自分たちの技量…


一瞬は迷ったが、撤退を決める。

今、この時点なら、まだリカバリーも可能かもしれないし…

行けるとこ(涸沢)まで、行ってみよう…



明神までは、そのまま梓川の左岸を進む。左岸側の道は、それほど人の流れは感じない。

徐々にふりかかる陽射しに、「登頂モード」から、「紅葉モード」へ、

歩みながら気分を変えていく…






明神橋から右岸へ渡り返し進む。

さすがに人が多い。

歩みを進めながら、前を歩く人、すれ違う人の「出で立ち」やザックの大きさを目で楽しむ。

今回 テント装備を背負うため、warazaemon隊長が60~70ℓザック、

おサル隊員も新調の50~55ℓザック。

人のザックの大きさや、パッキンの仕方が、どうしても気になってしょうがない(笑)





徳澤までやってきた。

ここのキャンプ場は、いつ来ても気持ち良さそうで、ちょっと誘惑に駆られる…

このまま、上に登るの止めて ここでテント張って、のんびりと過ごしちゃおっかなぁ♪と…

うん、いつか そんな行き当たりばったりの のんびりした旅も良いかなぁ…


小腹がすいたし、カレーライスでお昼を…




壁に掛かっていたプレートに、こうあった。

“No Mounten No Life” 

「山梨では生きられない…」、ん?
 

いや 失礼、「山無しでは生きられない」だ。( 山梨県人の人、ごめんなさい )

山がなくて、人生にいったい何のたのしみがあるんだいっ?って感じだね…

うん、うん…



横尾へ、なんとか到着。

結局、岳沢へ登りかけ、引き返してからこっちへルートを変えた2時間近くのロスを短縮できなかった。


振り仰ぐと、前穂の北尾根が大きな塊で で~ん と…



橋を渡り、さあ、ここからちょっとづつ、登りが始まるぞ。

さすがに3連休の中日。多くの登る人、下る人が細い山道ですれ違うため、たびたび渋滞が発生。


黄葉に色づいた木が、樹林の中に混ざりだした。

これが「屏風岩」。ほぼ垂直に張り出した岩に、人影らしきものがへばりついているのが見えた。

(実は見事に色づいた、一本の黄葉だったことが後で判明)

でも、ここを登るロッククライマーも多いとか…  warazaemon隊長には、ごめん、無理




本谷橋から、いよいよ本格的な登り。



おサル隊員、調子がいいのか、ひょこひょこ先を行く。


標高が上がるにつれ、紅葉が目に見えて濃くなっていくのが判る。

それでは、しばらく画像をお楽しみあれ。
















ここまで順調に登ってきたおサル隊員、急にペースダウン。

どうやら燃費の悪いおサル、「しゃりばて」の様子。

涸沢ヒュッテは、ちょこちょこと顔をのぞかせるものの、まだまだ近づかない。

エナジージェルを口にさせ、乗り切る。



涸沢ヒュッテ到着!!

時刻は2時半。やはり これから穂高岳山荘横の「テン場」まで登るのは無理。

潔く諦め、ここ涸沢でテント泊することに。

そうと決まったら、テントを手早く隊長の指示のもと組み立てると、

おでんとビール!!



まるで絵の具をぶちまけてしまったかのような、色とりどりの紅葉…





これが今日の「我が家」。アライテントのエアライズ2。

それにしても、すごいテントの数。見渡してみると、恐らく300張りは下らない。

トイレも、テラスも、大混雑。

テント場は、下が岩場だから、なるだけ平らで岩が床面に当たらないところを探すのに一苦労。

テント場受付で、「コンパネ」を貸していたみたいだけど、これがあればベスト。快適度が増す。



向こうに見えるは、北穂直下の崖下に立つ「涸沢小屋」。

いくら混んでても、やっぱり その建物の、雨露をしのげる暖かさが、ちょっとうらやましい。



北アルプスに、人が憧れるベスト3の内の、最後の一つ『涸沢カール』!!

ついに、今、目の前に広がっている。



雪渓の上に連なる「吊尾根」、その左側に『前穂』、右に『奥穂』。



槍ヶ岳に似たシルエットの『涸沢岳』、別名『涸沢槍』。

今、その稜線の向こうに日が落ちていく。



まもなく、今日一日が、終わろうとしている。

これから迎える夜、そして明け方、『涸沢カール』は、どんな表情を見せてくれるのだろう…


( 涸沢燃ゆ編 後半に続く…)

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