山好き ojisan の ひねもすだいありー 

あの山この山、山行の備忘録。♪憧れの山に旅して、登って、食べて、飲んで…♪ 心地よい生き方を探しましょ♪

涸沢燃ゆ 本編

2012年10月15日 03時02分18秒 | 北アルプス
そのシーズンを終えようとする時、
『涸沢』はひと時、時を止め燃え上がる…

そんなふうに評される、涸沢の紅葉
たびたび山雑誌に掲載される、その燃え上がるような写真を見るにつけ 
憧れは募っていった…

そして今、僕は涸沢にいる。

しかし、だんだんと日が暮れていく中、
思わぬルート変更の結果とは言え、
まだその時の僕は、そこに立っていることの実感が沸かないでいた…

秋の短い陽射しが、稜線の向こうに落ちると、あっという間に 夜の帳が押し寄せてくる。
暗くなりきる前にと、慌てて夕食を済ます
( そんな訳で、写真を撮る暇もなかった
もちろん食材・調理担当は おサル隊員なんだけどね。)



テント泊に対応し、出来るだけ軽量化に努めた食材の中で、
今回もこれだけは削れずに持ち上げてきたワインで プチ宴会

深く濃くなる闇の海に、色とりどりに浮かびだすテントの花…
非日常感たっぷりな そんな光景に、心地よく酔う…
( っていうか、
毎回酔ってんな、このおっさんは… )



明日は、一体どんな風景に出会えるだろう…   んっ?おやすみ… 


深夜、目が覚める… 
山小屋と違い、良くも悪くも テントは外の空気をダイレクトに感じられる。

夜半まで、ぼそぼそと話しこむ、近くのテント住人の気配を、
子守唄のように どこか遠くで感じながら、寝入った記憶があったが…、

一体 今 何時だろう? 風もなく静まり返り、だけど何か、感じる… 
人とかの気配じゃなくて、何か空?に包まれているかのような 気配…

そーっと起き出し、テントの入口のジッパーをゆっくりと下げる…
夜の、膚を刺す冷気がさーっと入ってくる。
顔を外へ出す。

ぼーっと青白く明るい。見上げると半分に欠けた月。それでもじゅうぶん過ぎる程 明るい。




ベートーベンの『月光ソナタ』が、どこかで 聞こえた気がした…
どこで?  自分の意識の底から、だったかも知れない…

急いで、だけど音を立てないように、肉襦袢のように 更に服を着こんで外へ出る…  
息を呑む…



すごい!! 満天の星だ…

明るい月光に邪魔されても、尚、無数の星が、穂高のシルエットと共に光り輝いていた…

※この画像、ネットからお借りしました。自分のカメラでも撮影チャレンジしてみたのですが
上手く撮れず…




時間のたつのを忘れ( たぶん1時間くらい?)、寒いのも忘れ、
首が痛くなりながら、見飽きることなく見続けていた…



その間に、流れ星を3つ数えた。へへっ。得した気分。


やがて、少しづつ、テントから起き出す人が出始める。朝の気配が、どこからか 近づきつつある。




自分はただ、自然の織り成す壮大な映像ドラマを、見飽きることなく見続けていた…



(この画像、ピントが甘過ぎ…)



時々、チカチカと、稜線に向け登り始めた人の ヘッドライトの灯りが、
あっちでも、こっちの山の斜面でも光る。
人間って、偉いなぁ、ほんと。
衝き動かす想いはさまざまに、皆 一様にこの雄大な涸沢の自然の中で
自分のちっぽけさを 今かみしめているんだろうな…



さぁ、おサル隊員を起こし、我が隊も朝の準備に取り掛かることにしよう。

おサル食堂の開店を待ちながら、今日の計画を練る。
雲ひとつない、最高のコンディションながら、どう計算しても 何度考えても
今日一日で、今いる地点から奥穂を登り詰め、更に上高地まで下り、午後4時半のバスに乗る、
というのは 無理みたい…。

だったら、ゆっくりと、山でしか味わえない、こうした時間を楽しんでいこう…

とりあえず、
今の目の前の楽しみは、朝食だ!!


今朝のおサル食堂、献立は?、
「フカひれ雑炊」に「かに雑炊」、「カップラーメン」に「おにぎり」って
おいおいっ、炭水化物のオンパレード!!



そうこうしている内に、
いよいよ涸沢ゴールデンタイム!!








涸沢は その朝 確かに“燃え上がった”

紅葉の赤と、朝陽照らし出された山肌の赤と、
( 彦麻呂ふうに )「 まるで紅葉のサンドイッチや~」

バリバリバリッ と、ヘリが飛んでくる


明るくなると同時の飛来は、即ち遭難者がいるってこと。
案の定、『ザイデングラード』の中腹辺りから、誰か、ピックアップして行く。

人事じゃないね、どうか、無事だといいね、無事でいて下さい…



明け方に一番冷え込む気温、恐らくこの朝は氷点下近くまで下がったに違いない。
テントについていた露が、小さくツララ状に凍っていた。( テントの外に置いた隊長の靴までも!! 笑)


改めて陽の光のありがたさを感じる。
今、こんだけ冷え切った体でも、ちょっとでも陽に当たれれば、たちどころに温もりを感じ取ることが出来る。
太陽さん、あんたは偉いっ!!


さ、“朝のお勤め” すっきりと済ましたら、出掛けよか



( 『涸沢燃ゆ 後半パノラマ編』に続く…)

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