「あほリズム」
(539)
「生成」とは、つまり「愛」のことである。
ハイデガー著「ニーチェ」Ⅰ、Ⅱ(平凡社)
――⑧――
ニーチェの思想を、すでに再びではなく四度五度と繰り返してい
るが、ただ私自身のために要約して箇条書きすると、
1、世界とは変遷流転する「生成」である。
2、変遷流転する「生成」の世界では「(絶対不変の)真理とは幻想」
である。
3、いわゆる存在の本質(真理)を問う《形而上学》的命題は「真理」
に的中できずにその使命を終える。形而上学的境涯、つまり「何
であるか」を問うことは意味がない。
4、「真理」に到達できなかった理性はニヒリズムに陥らざるを得
ない。それでも、形而上学的思惟に拘るのなら死ぬしかない。
5、そこで、ニヒリズムに陥らないようにするためにわれわれは芸
術を持っている。
6、芸術は生物学的「陶酔」からもたらされる。
7、科学は絶対不変の「真理」からもたらされるので、変遷流転す「
生成」にはそぐわない。世界とは「生成」であるとすれば、回帰
再生されない科学技術はやがて破たんする。つまり、近代科学文
明は「永劫回帰」できないので行き詰って「淘汰」される。
(つづく)