仮題「心なき身にもあわれは知られけり」

2022-05-08 12:13:28 | 「死ぬことは文化である」

    仮題「心なき身にもあわれは知られけり」           


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 ニーチェは、「ニヒリズム」を「最高の諸価値が無価値になると

いうこと」と捉え、それは《目的》《統一》《真理》という三つの

《理性のカテゴリー》への信が「ニヒリズム」をもたらす原因であ

ると結論する。

「要するに、われわれが世界に価値を嵌め込むために用いてきた《

目的》、《統一》、《存在》というカテゴリーが、再びわれわれに

よって世界から抜き取られる――すると世界は、価値の相を呈す

ることになる・・・」。

 つまり、われわれは世界(存在)をわれわれにとって《意味(価値)》

のあるものとして認識しようとするが、それは「自分自身を事物の

意味と価値基準として設定すること」にちがいなく、「相も変わら

ず、人間の方もない素朴さである」とニーチェは言う。つまり、

そのような認識は世界を擬人化して歪められた世界(存在)観でしか

ないと言うのだ。つまり、「形而上学は擬人化であり――人間の像

にかたどって世界を造形し直観することである。」

                       (つづく)